建築家外山義家族であるがゆえに

2019年03月24日

「線」的ニーズと「点」的サポート

認知症高齢者グループホームがどうして登場し、全国にめざましい勢いで普及しつつあるのか。

遺作となった2003年7月発行の『自宅でない住宅』の中で外山義さんは、「その背景は2つある」として、①痴呆性高齢者ケアの現状と②施設ケアの現状をあげています。

まずは、①の痴呆性高齢者ケアの「現状」、すなわち、この本が出版された当時の認知症高齢者ケアの状況について筆者は次のような視点から考察を始めます。

〈日本には約160万人の痴呆性高齢者が存在していると推計されているが、そのうちの約3分の2は在宅にあって主として家族の介護を受けて生活している。

2000年4月からは介護保険が導入され、24時間巡回型のホームヘルプサービスが全国に普及しつつある。

在宅の要介護高齢者を朝・昼・晩・夜と「点」的に間歇的にサポートすることにより、在宅での居住継続を支援していこうとするねらいである。

しかし、24時間継続的に「線」的なケアニーズをともなう痴呆症のケアは、そうした「点」的なサポートでは対応しきれない。

家族が解放されることなく介護に縛りつけられ、最後には家族側も疲弊し共倒れになる状況がある。〉

ケアの「線」的ニーズに対する「点」的サポートの限界について、端的に指摘しているのです。


harutoshura at 22:14│Comments(0)アルツハイマー考 

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