記憶のしくみ大脳新皮質

2019年01月16日

電光掲示板

きのう見たように、記憶は大脳皮質の神経細胞がシナプスを介して結合しあった神経細胞に蓄えられます。それが再生、活動してつくられたネットワークのつながりによって人間はいろんな判断をしているわけです。

アルツハイマー病で亡くなったかたの脳を調べると、電光掲示板で言えば発光素子にあたる神経細胞が死んでいたり、素子の間の接続部分にあたるシナプスの数が減っていることが確認できるそうです。

「覚える」という行為をするとき重要な働きをする脳の海馬とその周辺で神経細胞の働きが、かなり初期の段階からおかしくなるといいます。

しかし、アルツハイマー病患者に起こる妄想、幻覚、徘徊などは、本人としては正しい判断をして当然の反応をしている、と確信して行っています。

掲示板

人間が考えているときには、脳の中に並んでいる膨大な数の神経細胞(ニューロン)が、電光掲示板のようにあるパターンでついたり消えたりして活動しています。

娘さんはもう結婚してはるか遠くに住んでいるのに、過去にインプットされたパターンが頭の中にちゃんと残っていて、「暗くなると、娘を迎えに行かなければと出かけてしまう」といった行動に出てしまうのです。

正常の人だと「ああ、それは昔のことだったな」という見当識の判断パターンも働いて行動を抑制します。しかし、アルツハイマー病が進むと「昔のことか今のことか」を判断するようなより高次の判断をする回路が切れてしまうことが、しばしば起こってしまうようです。


harutoshura at 19:05│Comments(0)アルツハイマー考 

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