2018年11月19日
アルツハイマーの特殊群
クレペリン(1856-1926)は、フロイトとならんで、近代精神医学の基礎を築いたと位置づけられるドイツの偉大な医学者です。
脳病理学の大家グッデンや実験心理学の創始者ブントに師事し、30歳でドルパート(現・タルトゥ)大学の精神科教授に就任。
1903年には、ミュンヘン大学教授ならびに王立ミュンヘン精神病院のトップとして招かれます。アルツハイマーも、クレペリンを助けてこの病院で働くことになったのです。
待望の精神医学教科書の第8版は、1909年2月に第1巻の「一般精神医学」が、1910年7月に第2巻の「臨床精神医学」が完成しました。
クレペリンはこの第2巻の序文の最後に「特に私の期待を裏切らなかった長年の親愛なる同僚、アルツハイマー教授に心から感謝の意を表します」と記しています。
さらに、目次には「老年性痴呆」の項目には「アルツハイマーの特殊群」の名称が見られ、この章の624ページでは、アウグステなどの症例について「高度の細胞変性を伴った症例の特異な一群をアルツハイマーが記述した」としています。
この1910年の出版を機に、ねえちゃも苦しんでいる現代の難病「アルツハイマー病」が、一つの病気として把握されていくことになるのです。
harutoshura at 19:01│Comments(0)│アルツハイマー考