2019年05月
2019年05月26日
2019年05月17日
2019年05月16日
勝率2分7厘
期待を集めていたエーザイと米バイオジェンのアルツハイマー病新薬候補「アデュカヌマブ」の治験も、この3月、突如中止に追い込まれ、頓挫してしまいました。
米国研究製薬工業協会によると、1998年から2017年までに承認された新薬はわずかに四つだけ。失敗した治験の数は146にのぼるのだそうです。
4勝146敗。勝率2分7厘。プロ野球だったらとっくに戦力外通告を受けている、惨憺たる結果です。
アデュカヌマブの初期の治験では、アルツハイマー病と関連があるとされる蛋白、アミロイドベータを脳内から減少させる結果を出し、2016年には英科学誌ネイチャーの表紙を飾りました。
それでも「薬」の誕生、というところまで行きつけなかったのです。
薬に頼らずに、どう病気と共存していくか。模索の時代が、まだまだつづいていくのです。
2019年05月15日
ちょっと風邪
グループホームの生活記録によれば、先月26日、お医者さんの往診で「どこも悪いところはないです。頭がパーおばかさんで」と笑っていたねえちゃですが、その直後からちょっと体調を崩したようです。
27日には、風邪をひいたのか、咳込んで鼻声になったのでマスクを着用。自室で食事をとるなどするようになりました。
みぞおちのあたりが痛んだり、といったことはあったようですが、体温や血圧などに異常はなし。ちゃんと管理してもらったおかげで大したことはなく、2、3日で治ったようです。
いつもならみんなといっしょなのに、一人でいると不安になるようで、そういえば、このときの2、3日間は、私のところへひっきりなしに電話がかかって来ていました。
2019年05月14日
2019年05月13日
2019年05月12日
2019年05月11日
低出力パルス波超音波
いまだ確かな治療法がないアルツハイマー病ですが、いろんな方法で治療が試みられています。
東北大学では、低出力パルス波超音波(LIPUS)が、マウスのアルツハイマー型認知症モデルで認知機能低下を抑制する可能性があることを見つけ、臨床試験に入っているとか。
超音波は、人間の可聴域を超える周波数(20kHz以上)を持った音波。連続的に音波を発信し続ける連続波に対し、パルス波は断続的に音波を発して照射します。
これを使えば、生体内の機械的振動によって生じる熱の発生を抑えられるため高い強度での照射が可能になります。
同大学の研究グループでは、低出力パルス波超音波を全脳に照射すると、認知機能低下が抑制される可能性があることを2種類の認知症モデルマウスにおいて確認しました。
また、アルツハイマー型認知症の動物モデルでは、アミロイドβの蓄積を著明に減少させていることもわかりました。
そこで、安全性を評価したうえで、患者40人を対象に有効性を確かめる治験治療を開始。治験は3カ月ごとに行い、全観察期間は18カ月だそうです。
2019年05月10日
プレセニリン遺伝子群
家族性アルツハイマー病にかかわる第三、第四の遺伝子、「プレセニリン1(PS1)」、「プレセニリン2(PS2)」は、1990年代に相次いで同定されました。
特に14番目の染色体にあるプレセニリン1は、アルツハイマー病の普遍的な原因遺伝子という見方もあります。
仲間の遺伝子がほかに数十種類存在すると推測されています。
こうしたプレセニリン遺伝子群の変異によって、βアミロイド蛋白の代謝異常が起こり、アルツハイマー病が発症すると考えらます。
こうしたプレセニリン遺伝子群の変異によって、βアミロイド蛋白の代謝異常が起こり、アルツハイマー病が発症すると考えらます。
また、プレセニリン1やプレセニリン2の変異は、この蛋白の蓄積を促して老人斑を形成させるほか、神経細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)にもかかわりがあるようです。
2019年05月09日
アポリポ蛋白E4遺伝子
アルツハイマー病の遺伝因子として2番目に突き止められたのは、19番染色体の「アポリポ蛋白E4遺伝子」でした。
きのう見た「βアミロイド蛋白前駆体(APP)遺伝子」の異常は、それがあれば必ずアルツハイマー病になるという意味での原因ですが、こちらは原因というよりも、むしろアルツハイマー病になりやすい危険因子とみることができます。
「アポリポ蛋白E4遺伝子」は、脳で脂質の運搬や組織の修復にかかわっている蛋白で、老人斑や神経原繊維のなかに存在していることがわかっていました。
これをもとに、米国デューク大学の研究者らが、アポリポ蛋白Eのアミノ酸配列が一つずつ異なる多型のうちでE4タイプを作り出す遺伝子をもっていると遅発型の家族性アルツハイマー病になりやすいことを明らかにしたのです。
さらに、大多数のアルツハイマー病患者が含まれる遅発型孤発性アルツハイマー病についても、E4タイプのアポリポ蛋白E遺伝子を二つ持っている人、一つ持つ人、持っていない人では、アルツハイマー病の発病年齢に差があることも見出しました。
つまり、一般のアルツハイマー病でも危険因子であると考えられるわけです。ただし、論文に発表されたデータはサンプルに偏りがあり、より大きな集団による疫学調査では、その危険度はそれほど強いものではないことも分かったそうです。
2019年05月08日
APP遺伝子
1980年代からの研究で、家族性アルツハイマー病にかかわる遺伝子には、おおよそ四つのタイプがあり、それぞれ別の染色体上にあることがわかってきました。
その一つが、老人斑の主成分であるβアミロイド蛋白の「前駆体(APP)遺伝子」です。1991年の英国の生化学者ハーディーらの報告などで、「21番染色体」に異常をもつ家族性アルツハイマー病の原因遺伝子が、このAPP遺伝子であることが明らかになったのです。
もともとアルツハイマー病と似た脳の病態を示すダウン症は、この21番染色体が、通常2本のところが3本になるという染色体異常が原因で起こります。
アルツハイマー病の脳の組織には、特徴的な2種類の構造物があります。一つは老人斑、もう一つは神経原線維変化と呼ばれるものです。
このうち老人斑は、アルツハイマー病の脳のほか、ダウン症の脳に多く見られます。そのダウン症の脳の研究から、老人斑と神経原線維変化のうち、老人斑が時間的に早く生じることも分かりました。
そこで、老人斑がアルツハイマー病の原因ではないかという考えが強まり、ならば、主成分であるβアミロイド蛋白のもとになるAPPの遺伝子に異常が起こったに違いない、とハーディたちは考えたのでした。
患者のDNA内の突然変異をしらみつぶしに調べた結果、APPの遺伝子のアミノ酸たった一つの変化が、アルツハイマー病の発症と関係していることが分かったのです。
2019年05月07日
原因遺伝子
アルツハイマーは、一度発達した知的機能が、脳へのアミロイドベータ(Aβ)タンパクとタウ(tau)タンパクの蓄積に伴い、ゆっくりと障害されていく病気、と現在ではふつう定義されています。
先天的要因である個々人の遺伝情報と、後天的な環境要因が複雑に絡み合って発症します。そういう意味ではありふれた病ですが、加齢が最大のリスクファクターとなるという大きな特徴があります。
遺伝子については、変異の頻度は低いものの疾患寄与率が極めて高い原因遺伝子や、頻度は高いが疾患寄与率の低い感受性遺伝子など、いろんなものが同定されてきています。
未知の原因遺伝子を発見するための遺伝子解析がしやすい遺伝性アルツハイマー病の患者家系は、日本ではほとんどなく、世界でもごく限られているそうです。
そうした限られた患者家系について、特定の配列の遺伝子を持っていることとアルツハイマー病発病との相関関係を調べる分子レベルの疫学研究が行われて、1980年代から染色体における遺伝子のおおまかな位置が分かるようになったのです。
2019年05月06日
スパイダーマン
認知症を患って、家を抜け出して徘徊することはよくあります。が、中国では、アルツハイマー病の高齢女性が、スパイダーマンのように高層マンションの外壁を伝って降りたのだそうです。
先月25日の午前中のこと。四川省成都市大邑県で、高層マンションの14階に住む高齢女性が、外壁の換気用シャフトが設置されている格子をハシゴ代わりにして降りる姿が目撃されたのだとか。
いっしょに暮らす家族は、その日、外出中に家を出ないように鍵をかけていたそうですが、女性はトイレの窓から抜け出してしまいました。
群衆が見守るなか女性が4階に達したところで、幸い、この階の住人が女性を窓から引き寄せてレスキュー隊が到着する前に無事救助されたそうです。
10連休の最終日の夜、いまのところ、こんなアクロバティックなのとは無縁なねえちゃからかかって来た電話は、最近になく穏やかで落ち着いていました。
2019年05月05日
2019年05月04日
2019年05月03日
「アデュカヌマブ」断念
実用化間近と期待されていた「アデュカヌマブ」というアルツハイマー病治療薬の臨床試験が中止になりました。
アデュカヌマブは、エーザイと米国の製薬企業バイオジェンが共同で開発を進めていた、「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる化合物の一つです。
アルツハイマー病は、脳内に「アミロイドβ」という物質等がたまり、それらが神経細胞を破壊することで起こると考えられています。
そこで、アミロイドβを取り除けば根治につながるのではないかと、開発が進められているのが抗アミロイドβ抗体です。
アデュカヌマブは、最終段階の第Ⅲ相試験まで来ていました。しかし、認知機能の低下抑制効果などの主要評価項目を、クリアすることができないと判断されたようです。
2012年にには抗アミロイドβ抗体「バピネオズマブ」(米ファイザー)が第Ⅲ相試験で開発を断念。16年には軽度のアルツハイマー病患者を対象に開発を進めていた「ソラネズマブ」(米イーライリリー)が承認申請を取りやめました。
アルツハイマー病治療薬の開発は、残念ながら苦戦をつづけています。
2019年05月02日
「LATE」という認知症
これまでアルツハイマー病と診断された中に、別の種類の認知症患者が多く含まれているという国際研究チームによる衝撃的な論文が「ブレイン」という有力な医学誌に発表されたそうです。
その認知症というのは、「LATE」(Limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy、大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症)という病気で、アルツハイマーと似ているが異なるといいます。
アルツハイマーが、アミロイドなどのたんぱく質に関連するとされる一方で、LATEは「TDP-43」と呼ばれるたんぱく質に由来して発症するそうで、アルツハイマーに比べ、より緩やかに記憶が失われていくとみられています。
研究は、認知症患者の死後解剖の結果を基にしたもので、LATEは80歳以上が罹患し、この年齢の5人に1人の割合で症状が確認されたとか。
アルツハイマー型と診断された患者の最大で3分の1が実際はLATEである可能性があり、また、アルツハイマー型とLATEは併発するケースもあるそうです。
ひょっとすると、これまでの認知症の常識を大きく変えていく発見になるのかもしれません。