キャベツの千切り長電話

2016年04月13日

郷愁の家

親戚の結婚式で久しぶりに生まれ育った家のある村を訪れたせいか、ねえちゃは、ときおり実家にいるような気になって、あれこれ昔の話をします。

伊那谷の小さな村の農家に生まれ育ったねえちゃ。当時は10人近い大家族で、子どものころから農作業の手伝いや「お蚕さま」の世話に追われたそうです。

そのころ村では、中学を卒業したらたいていの人が、働きに出たり、嫁入りの準備をしたりしていたとか。「なのに、たいして頭も良くなかったのに、飯田市の高校に入れてもらえることになった」。

まだ、家に自動車などない時代。通学のため隣村にある国鉄の駅へ行くのに、歩いて50分くらいかかったといいます。「行きは下りだったからまだよかったけど、帰りは上り坂ばかりで大変。おばあちゃんが毎晩、提灯を持って迎えに来てくれて……」。

結婚して23歳で実家を離れたねえちゃですが、夏休みなどに息子たちを連れて毎年のように里帰りをしてきました。

懐かしい思い出がいっぱい詰まっている実家ですが、ずっと住んでいた兄嫁も昨年亡くなってしまいました。現在は、常時住んでいる人はいません。

「いまからでも懐かしい実家に戻って、残りの人生をそこで過ごしてみる気はないの?」と、ねえちゃに聞くと、

「近くに何もない山のなかの大きな一軒家。とても怖くて、この歳で住むことなんてできないわ。でも、あの家、これからどうなるんだろうね」と、気にかかっているようです。



harutoshura at 22:10│Comments(0)ねえちゃの近況 

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