家族は「敵」に空間の作法

2019年04月01日

警告を発するカナリア

かつて鉱山の坑夫たちは、危険を防ぐため、二酸化炭素や一酸化炭素に敏感に反応するカナリアを携えたといいます。

頭のなかで想定したり、応用したり、臨機応変に振る舞ったり、といったことができない認知症高齢者は、ある意味で、環境に対して非常に敏感な弱い存在といえるかもしれません。

とすれば、認知症高齢者に心身症的な問題行動が出るなら、かれらの日常生活の環境が劣悪であることを意味することになります。

カナリア

そうした生活環境は当然、認知症でない人にとっても良くない環境なのです。外山さんは「痴呆性高齢者の方々がカナリアになって、人間の劣悪な住環境に対する警告を発してくれていると考えるべきだ」といいます。

これまでノーマライゼーションというと、たとえば認知症高齢者や施設でケアを受けている人たちが、社会の中で普通の生活を送れるようにすることと理解されてきました。

しかし、外山さんは、認知症の人たちと接していて、いつのまにか癒されることに気づかされる体験を重ねていくにつれて、これとは異なる理解をもつようになったといいます。

外山さんは「今日、日本社会のなかの「普通」の人びとのほうが、アブノーマルなのである。痴呆性高齢者と接するなかから、むしろわれわれの側が癒され、ノーマライズされる。こういうことをノーマライゼーションと呼ぶべきなのではないか」と提起しています。


harutoshura at 21:31│Comments(0)アルツハイマー考 

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