『海辺の光景』恍惚の人

2019年02月23日

魔の3ロック

1988年に出版された大熊一夫の『ルポ老人病棟』によれば、認知症の母親を老人病院入院後13日目で亡くした家族の手記には、次のような話があったといいます。

ある日、母の手首や足首が赤紫のアザになり、ベッドの四隅に白いもめんの帯ひもがむすんであったので、近くのおばあさんに聞いてみると――

「このおばあさんは夜中にトイレに行くと帰りがわからなくなって、よその人のベッドに寝ていて怒られて、それからオシメになったんだ。夜は歩けないように縛られてる」と言ったというのです。

いまのねえちゃのグループホームでは到底考えられないことですが、「魔の3ロック」という言葉があるのだそうです。

①薬の過剰投与や不適切な用い方によって行動を抑えつける「ドラッグ・ロック」②からだを拘束する「フィジカル・ロック」③強い言葉で行動を制限したり拘束したりする「スピーチ・ロック」です。

何も言えず、動けず。ひとむかし前の、ケアなきケアの時代にあっては、これらがあたりまえだったのです。

いまでも「魔の3ロック」が一掃されたとはいえません。けれど、少なくとも発覚すればメディアで問題視され、犯罪が疑われる時代にはなっています。


harutoshura at 19:48│Comments(0)アルツハイマー病関連 

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