近時記憶とエピソード記憶が障害お昼寝どきの電話

2019年01月06日

エピソード記憶の積み重ね

日曜日のきょう、ねえちゃから、朝8時ごろ、夜は寝る前の9時ごろ、そして「電話したんだっけ」と5分後にまたと、計3回電話がかかって来ました。

「アタマがおかしい」以外は特に不満もなく、穏やかな話ぶりですが、このまま最近のことをうまく覚えられないまま、どんどん時間がたって行ってしまったらどうなるのだろうと時に不安になります。

こうした「時間」がどんどんたっていくと、正しい記憶や情報を脳の中に次々に呼び出しておこなっている判断や思考にも問題が出てきます。

アルツハイマーの病状が進んでいくと、それまで覚えていたはずの、発病前のかなりむかしのことまで忘れてしまって、だれが見てもおかしいと思う状態になるといいます。

たとえば、すでに結婚して何十年にもなった娘が、「父親の様子がおかしい」と聞いて実家に戻ってみたところ、父親の頭の中からは、娘が結婚したということも、何十年もたっているという記憶も消えているといった事例も。

「ある時に、何をした」というエピソード記憶が、順々に残っていかないので、時間が経過したという概念自体がなくなってしまうのです。

そのため、娘の顔も何十年前のままの記憶しかなく、現在の顔と大きく異なるので「これは私の娘ではない」と判断して娘を嘆かせることになります。

こうした明確な誤りを本人は自覚せず、逆に娘に向かって「変なことをいう女だ」と迷惑がられると、娘にはたまったものではありません。父親の論理的判断をする回路はまだ十分働いているので、相手のほうがおかしいと断定してしまうのです。

このような具合に自分が病気であるという自覚がない状態に陥るのが、アルツハイマー病の一つの特徴とされています。逆に考えると、私たちが、“私たち自身”でいられるのは、さまざまなエピソード記憶のすべてが、脳のなかに順序よく蓄えられ、呼び出されているからだ、ということが分かります。


harutoshura at 23:26│Comments(0)アルツハイマー考 

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