確認ができたことグリア

2018年11月10日

標本

アルツハイマーの学会講演は、スライドでアウグステの脳の標本を示しながら、次第に詳細な説明へと入っていきました。

「剖検では肉眼で明らかな局所病変はないものの、脳が一様に委縮していました。脳血管に動脈硬化性変化が認められました。ビルショウスキー鍍銀染色標本では、神経細線維に顕著な変化が見られました。細胞内部に、まず若干の太くて強固な細線維が現れました」

ここで「ビルショウスキー鍍銀染色標本」というのは、格子線維や細網線維が銀の微粒子をよく吸着する性質を利用して組織切片に銀処理を施し、こうした線維を選択的に黒色に染め出す方法です。Bielschowskyが1904年に考案しました。

アルツ
*アウグステの神経細線維

「最初のスライドをお願いします」。アルツハイマーはつづけました。

「平行して走っている細線維にも同様に変化が現れ、徐々に密な束になりました。最後には核が消失し、細線維のからみあった束のみが、そこに以前神経細胞が存在したことを示しています。

この細線維は通常の物とは異なる染色法が必要なため、神経細線維の化学変化が起こっているに違いありません。細線維の変化は、未知の点が多い神経細胞内病的代謝産物の沈着と結び付いているようです」。

「次のスライドをお願いします。大脳皮質神経細胞の四分の一から三分の一は、前述の変化を示しています。多くの神経細胞は、特に表層で完全に消滅しています」。


harutoshura at 21:56│Comments(0)アルツハイマー考 

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