こんなじゃないのに悪く思わないで

2018年10月19日

ここはどこ

初診から4日後の1901年11月30日、アウグステはたびたび病院のホールへ行って、他の患者の顔をつかんだり、叩いたりしました。

なぜ彼女がそうするのか、誰もわかりませんでした。彼女は隔離され、アルツハイマーは惑わされずに診察を続けました。

「気分はどうですか?」
「ここしばらくとても良かったです」
「ここはどこですか?」
「ここでもどこでも、ここでも今、私のことを悪く思わないでくださいね」
「ここはどこですか」
「そこに私たちはまだ住むと思います」
「あなたのベッドはどこですか?」 「どこになきゃいけないんですか」
「昨晩よく眠れましたか?」
「ええ、とても」……

この日、アウグステはずっと奇妙な振る舞いを続けました。そして彼女はアルツハイマーに「ここは先生の来るようなところではないのです」と、部屋かだ出ていくように指図しました。

そうかと思うと、彼女はまた、アルツハイマーを客人のように迎えて「どうぞ、椅子に掛けてください。今まで時間がなかったんです」とあいさつしました。

その後でまた、彼を隔離室から押し出し、小さな子どものように部屋の外に向かって大声で泣き叫びましました。

harutoshura at 22:29│Comments(0)アルツハイマー考 

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