2019年01月

2019年01月31日

PET

微量の放射線を出す薬を体内に投与して体外からその分布を計測し、画像化する方法には、きのう見たSPECTのほかに、PET(陽電子放出断層撮影) があります。

SPECTが利用する放射線はガンマ線であるのに対して、PETは、陽電子(ポジトロン)を放出して崩壊する放射性薬剤を用い、それを特殊なカメラでとらえて「脳の働き」を画像化します。

SPECTでは脳血流を表す断層画像が得られますが、PETでは局所の脳血流量のほか、酸素消費量、ブドウ糖利用率などを測定することができます。

PET
*浜松PET診断センターの資料から

脳の中では、大量のブドウ糖や酸素が消費されていますが、神経細胞の活動が活発な部分ほど、それらの代謝が盛んで、活動の低下したところの代謝は低くなります。

脳のPET検査でブドウ糖や酸素の代謝を見ることによって、アルツハイマー病の初期症状を見つけることが可能になるのです。

また、先日見たアルツハイマー病の脳に見られる「老人斑」は、アミロイドβというタンパク質が蓄積したものと考えられます

症状が現れる何年も前に脳内にアミロイドβの沈着がはじまり、続いてシナプス機能障害、神経細胞障害、脳萎縮がおこり、最終的に認知機能障害などが現れるとも考えられます。

このアミロイドβやシナプス機能障害もPETで測定できます。ですから、症状が現れる前にアルツハイマー病の発症を診断することもできるのでは、と期待されています。


2019年01月30日

SPECT

CTやMRIで脳の断面の形を写し出すことによって、脳の局所的な萎縮や異常構造を探ることができるようになってきました。

こうした形態の画像のほかに、脳の「働き」を調べる検査機器も進歩してきています。その一つに脳血流シンチグラフィ=写真=があります。

シンチ
*国立国際医療研究センター病院のサイトから

ごく微量の放射線を出す薬を注射して、それを信号として、専用のカメラで検出するもので、脳の血流が十分かどうか、脳の機能が低下していないかどうかなどの情報を得ることができます。

薬から出る放射線の分布をコンピューターで再構成した断層画像は、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)と呼ばれていています。

SPECTを用いれば、従来のCTでは表わせなかった血流や代謝の情報が得られるので、脳内の血流量が少なくなっている場所を特定すれば認知症の診断にも役立つわけです。

ただ、従来のSPECTは、CTに比べると解像度が悪く、病変の部位を特定することが困難でした。

しかし近年は、SPECTとCTの画像を重ね合わせることで、病変の正確な位置を突き止めることもできるようになってきています。


2019年01月29日

病院で集団感染

インフルエンザが猛威をふるっていますが、ねえちゃが暮らす長野県の病院でも、集団感染が発生して80代の男女2人が亡くなりました。

集団感染が発生したのは、松本協立病院。今月11日以降、インフルエンザが流行り、入院患者19人、職員35人の計54人に陽性反応が確認されたそうです。

亡くなった女性は12月上旬に入院して1月18日に発熱。その後、気管支炎の症状を発症して25日に、男性は12月中旬に入院して1月26日に発熱し、同28日に亡くなったそうです。

死因とインフルエンザとの関連について、病院側の記者会見では「女性は関連がないとは言い切れない。男性は判断が極めて難しい」としているとか。

入院患者や職員の多くは快方に向かっているそうですが、23日に発表された感染症情報によると県内のインフルエンザ患者は1医療機関当たり58.09人で、近年では大流行した2005年に次ぐレベル。まだまだ油断はできないそうです。

きょうの夜、いつものようにねえちゃから電話がかかってきたので「長野県の病院でも集団感染で2人亡くなったそうだけど、大丈夫?」と聞いてみると、「ええっ、そんなに流行ってるんだ。気を付けないとね」。


harutoshura at 23:30|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月28日

MRI

きのう見たCTは、1895年にレントゲンが発見したX線を脳などにあてて輪切りの像を見る装置でした。これに対してMRI (Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像)は、大きな磁石による強い磁場と電波の力で断面像を撮る画像診断装置です。

磁力と電波を用いた、文字通り「磁気の共鳴」によって、体の大半を構成する水などの中にある水素原子の信号をとらえて、組織の断層を撮影するのです。

米国の化学者ポール・ラウターバーらが1970(昭和45)年に考案。彼はこの業績で2003年のノーベル生理学・医学賞を受けています。

MRI
*認知症患者のMRI。健常高齢者に比べて脳室の拡大や脳表面の萎縮が著しい
(循環器病研究センター循環器病情報サービスのサイトから)

X線を使って画像を得るCTと違って大きな磁石を用いるMRIは、放射線による被ばくがなく、小児でも安心して検査を受けることができます。 

またMRIは、横に輪切りにするのが主のCTに比べ、縦、横、斜めなど体の断面をより自由に撮影できるのも特長です。

CTだと骨と重なって見えにくいところが出て来ることがありますが、MRIではそういうことが少なく、とくに脳をはじめ、水分を多く含む臓器や血管など、柔らかい組織を鮮明に映し出すのに適しています。

ただ、わずかな時間でできるCTとちがい、MRIは30分から1時間程度と撮影に時間がかかるうえ、磁石や電波を使うのでペースメーカーなどの金属が入っていると検査を受けられなかったり、騒音を我慢する必要があるといったデメリットもあります。

ねえちゃもCTとMRIの両方を用いましたが、互いの長所を生かし、見比べながら、お医者さんたちは認知症を見極めているのです。


2019年01月27日

CT

画像診断でいま、病院で最も日常的に利用されているのがCTでしょう。

CTとは、コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)のこと。エックス線を使って脳を含め体を輪切りにして画像にする装置です。

ねえちゃも、物忘れがひどくなって近所の脳神経外科に行ったとき、まず最初に受けたのがCTの検査でした。

image-preview
*国立循環器病研究センター循環器病情報サービスのサイトから借用

CTの技術は、いまから40年余り前、英国の電子技術者ゴッドフリー・ニューボルド・ハウンスフィールド(Godfrey Newbold Hounsfield、1919-2004)らによって開発されました。

1975年に全身スキャナの装置が完成し、ハウンスフィールドは1979年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

よく見かけるように、CT検査は丸い筒の中に頭を入れて行われます。この筒の中から、患者の頭を一周するようにエックス線が照射されます。

そして頭を通過したエックス線をコンピューター計算で重ね合わせると、頭の中を輪切りにしたような画像が得られるのです。5分ほどで撮影でき、後処理も早いので患者への負担もあまりありません。

CTでは、骨は白く、水は黒く、脳はその間のいろんな濃淡を伴った灰色に見えます。脳のしわ、脳脊髄液が入っている脳室、周囲の骨などもくっきりと分かります。

とくに脳出血など出血を伴う病気でCTは威力を発揮しています。新しい出血があると、素人のでも一目瞭然なくらい、白くはっきりわかるのです。

たとえば体にまひが起こってCT検査を受けて、白い塊が見つかれば脳出血、そうでなければ血管が詰まる脳梗塞の可能性が高い、といった迅速な診断につながっていきます。

MRIが登場して、CTは少し古い検査のようにも見られがちですが、性能は日進月歩で進化して、ひととき前とは比べものにならないほど脳の中がきれいに、短時間で見えるようになってきているそうです。


2019年01月26日

画像診断

アルツハイマー病かどうかを調べるため、生きている脳から細胞の切片を取ってきて病理学的な診断をするわけにはいきません。

その代り、近年、脳をはじめ人間のからだの中を文字通り「見る」画像診断技術が進歩し、病院への普及も急速に進んでいます。生きている脳の中を随時、外から観察できるようになってきたのです。

脳神経外科や脳神経内科のクリニックなら、最近はCT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)が置かれているのが当たり前になってきました。

CTやMRIを用いれば、脳の萎縮の程度を調べることができます。さらに、SPECT(単一フォトン放出撮影)やPET(陽電子放射断層撮影)を使えば、脳のどの部分で活動の低下が起っているのか、いわば“血のめぐり”の状況を眼で見ることができるのです。

ねえちゃも、アルツハイマー病の診断や症状の進行状況を調べるのにCTやMRIの検査を何回も受けてきました。

最近はとくに高性能のMRIが普及してきたので、研究者たちでも、最初に被験者となるとき「脳がスカスカだったらどうしよう」などと、ちょっぴり不安になるのだそうです。


2019年01月25日

猛威

インフルエンザが猛威をふるっています。厚生労働省はきょう、全国約5000カ所の医療機関から今月14~20日に報告されたインフルエンザの患者数が、1医療機関当たり53.91人となったと発表しました。

20日までの1週間に全国の医療機関を受診した患者数は約213万人(前週比約50万人増)と推計されるそうです。

1医療機関当たりの患者数は、前の週に38.54人と、すでに「警報レベル」(30人)に達していましたが、さらに大幅に増えたことになります。

前橋市の特別養護老人ホームでは、入所者35人がインフルエンザに集団感染し、このうち80~90代の男女5人が亡くなったそうです。

入所者やスタッフは全員、昨年11月に予防接種を受けていたといいますから、関係者のかたたちのショックはより大きいことだろうと思います。

昨夜の電話では、ねえちゃは「アタマ以外は、元気!」のようす。そろそろ面会に行こうかな、とも考えていましたが、外部からの感染のリスクを考えると「猛威」がある程度収束してからにすべきだな、と延期することにしました。


harutoshura at 18:57|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月24日

「柄沢式」

きのう見た改訂長谷川式簡易知能評価スケールのほかにも、ミニメンタルステート検査(MMSE)、アルツハイマー病脳機能評価ステージ(FAST)、臨床評価尺度(CDR)などいろんなテストが利用されています。

MMSEだと、30点満点のうち24点以上は「正常」、23点以下で「認知障害あり」などと判定されます。

テスト形式でなく行動観察による認知症の評価法の一つとして、東京都老人総合研究所の柄沢昭秀氏が考案した「老人知能の臨床的判定基準」も用いられています。

行動観察は、その人の日常生活における意欲や関心、身の回りのことの処理能力などについて判断し、知的能力を総合的に評価するもの。

そのため、認知症の程度には関係なく評価できますが、評価対象者の日常生活について熟知している、家族、介護者、友人などから確かな情報を得る必要があります。

しかし、こうしたテストで異常が発見されたとしても、必ずしも認知症とは限らず、年齢とともに正常な変化の範囲で起こる認知・記憶力の低下であることもあります。

ねえちゃの場合もそうでしたが、アルツハイマー病は、医学的に完全な合意のある基準のないくらい、診断が難しい病気なのです。


2019年01月23日

「長谷川式」

アルツハイマー病かどうかは「老人斑」や「神経原線維変化」によって判断されるといっても、実際の臨床の場で、生きてる患者の脳細胞の切片を取ってきて顕微鏡で病理学的に解析して診断する、というわけにはいきません。

ねえちゃの場合もそうでしたが、やはり、まずはお医者さんの問診からはじまります。認知症にかかわる問診では、本人をよく知る家族や身近な人から情報を得ることが特に重要なようです。

問診で、記憶やその他の認知機能障害の症状が認められた場合には、確認のためにsん理学的なテストによって記憶力や判断力を調べることもあります。

長谷川

日本では現在、改訂「長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS-R)=写真=が広く使われています。

「長谷川式」は、聖マリアンナ医科大の長谷川和夫名誉教授が1974年に考案した10分から15分程度でできる簡易検査です。

年齢、年月日や曜日、いまいるところなどを問う9の設問で構成され、正しい答が得られたときには1点、誤答やできなかったときには0点で加算した評価点(満点は30点)が20点以下の場合は認知症が疑われる、とされます。

ねえちゃも病院で何度も受けましたが、この検査、病院だけでなく、家でも簡単に試せるというメリットもあります。


2019年01月22日

中間型

アルツハイマー病には、“脳のシミ”である老人斑と“脳のゴミ”ともいえる神経原線維変化が特徴的に見られることを、きのうまで見てきました。

しかし、老人斑も、神経原線維変化も、その量などは違っても、正常な老人の脳においても見られる現象です。

たとえば、いま82歳のねえちゃの場合にしても、こうした変化は、年齢相応の生理的な老化によるものと病気による変化が重なって現れているはずなのです。

脳を病理学的に観察する際も、実際のところ、老化によるのか、病的変化なのか、どちらの原因によっているかは、はっきりしないことも少なくないそうです。

正常な老人の脳とアルツハイマー病との区別は、これらの変化の起こる場所やその量によって判断されますが、実際は典型的なアルツハイマー病の病変をもつものだけでなく「中間型」もかなりあることがわかっています。

すなわち、「老人斑は多いけれども神経原線維変化は少ない」「海馬の周辺では老人斑や神経原線維変化が多いが大脳皮質では正常の脳と区別がつきにくい」といったケースも少なくないのです。

アルツハイマーの時代とは違い、近年は、アルツハイマー病は脳の老化と密接に関係した病気と考えられています。中には、脳の老化が何らかの原因で促進されたために起こるのがアルツハイマー病であるとみる専門家もいるそうです。


2019年01月21日

神経原線維変化

“脳のシミ”である老人斑とともに、アルツハイマー病患者に特徴的に見られるものに
神経原線維変化があります。

これはもともと、アルツハイマーがこの病気を最初に論文にしたとき図示されたもので「アルツハイマー神経原線維変化」と名前がついていましたが、神経細胞が死んでいく他の病気にも見られることから単に「神経原線維変化」と呼ばれるようになったそうです。

神経原線維変化を作っている主要な成分はタウというたんぱく質です。タウは細胞の中、とりわけ神経細胞間の情報伝達のために細長く伸びた突起の中で重要な役目を果たしています。

そのタウが、神経細胞の中に異常な繊維を作って蓄積するのです。神経原線維変化を作るタウは、正常なものに比べてリン酸がたくさん結合していることが知られています。

この異常なリン酸化によってタウが正常な機能を失い、細胞の中で繊維性の塊を作ってしまうのが原因ではないかと見られているそうです。

簡単にいえば、神経原線維変化というのは、古くなった繊維状のたんぱく質が掃除されずに細胞内に溜まってかたまった、いわば“脳のゴミ”のようなもの、ということになります。


2019年01月20日

老人斑

アルツハイマー病患者の脳の組織には、脳の“シミ”とも呼べる「老人斑」=写真=が見られます。

老人斑はいくつかのたんぱく質のカスの塊が沈着したものですが、主成分はβアミロイドと呼ばれるアミノ酸40個前後からなるたんぱく質であることが分かっています。

老人斑
*新潟大学脳研究所のサイトから

さらに、このたんぱく質には神経細胞を殺す神経毒性があることも分かり、アルツハイマー病の原因物質として注目されるようになりました。

老人斑は、その名の通り、正常な老人の脳でも老化とともに増えてくることが多いのですが、アルツハイマー病の患者の脳内では異常なほど大量の老人斑の沈着が起こり、神経細胞死が急速に広がるそうです。

また、βアミロイドは21番目の染色体上にある遺伝子から作られ、特殊な早発性家族型アルツハイマー病では、この遺伝子の突然変異が知られているとか。

老人斑は、アルツハイマー病の脳内で最も早くから見られる特徴的な現象で、その数や分布の差が、病理診断の基準にもなっているのです。


2019年01月19日

シナプス

アルツハイマー病の中核症状である記憶力や判断力が低下する原因として、シナプスの減少があげられています。このシナプスが、脳の機能を考えるうえで非常に大きな意味を持っているようです。

シナプスは、ニューロン(神経細胞)とニューロンとの接合部のこと。ニューロンの神経線維の末端は、ほかのニューロンの神経細胞体の一部に接近してシナプスを形成しています。興奮がシナプス前部線維の末端までくると、そこから化学伝達物質が放出されて膜の電位を変化させます。


シナプス

神経細胞から神経細胞へと伝わっていく電気信号は、シナプスで一度、化学物質に変換されて次の神経細胞へと伝達されています。だから神経細胞がいくら正常でも、シナプスがなければ脳はまったく機能しません。

また、記憶などの高次機能は、このシナプス部分の化学的な変化によって行われていると考えられているそうです。

シナプスは直径0.3ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)ほどと小さいうえ、1立方ミリあたり数億個と膨大にあるため、脳の中のシナプスを数えるのは極めて困難でしたが、1990年代になって、シナプスだけにあるたんぱく質の抗体を使い脳の中のシナプスの密度を定量化する方法が開発されました。

これによって、アルツハイマー病の脳とふつうの老人の脳を比較することができるようになり、記憶障害の程度と脳の大脳皮質前頭葉のシナプス密度との間には、強い相関があることがわかって来たのです。


2019年01月18日

3回めの電話

グループホームのねえちゃからは変わらず、夜、寝る前になると毎日私のところへ電話が来ます。

きのうの夜も、午後8時半ごろ続けて2回。うとうとしてから寝て起きて1時間ほど後にまた、計3回電話がありました。

最初の2回は、ごきげんの様子。「いままでみんなとテレビ観てたの」「お向いさんの部屋に行ってたら、お前に電話したの忘れちゃった」。

しかし、3回目は、かなり落ち込んだ声で「おばあさん、帰らなきゃ。どうしたらいいの」と言います。

いつものことですが、「いったん眠ったら起きなきゃいいのに」といつものように思います。

グループホームから送ってもらった生活記録の通信欄にも、時々、自宅~入所までの経緯を忘れてしまい「どうしてこちらでお世話になってるんでしたっけ?」などの発言がある、と毎月のように書かれています。

いまのところ、ねえちゃに説明すると穏やかに応じて納得します、症状が進むにつれて少しずつ変わっていくのだろうな、と少しドキドキしながら眺めています。


harutoshura at 22:19|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月17日

大脳新皮質

アルツハイマー病で亡くなった人の脳で最初に目立つのは、脳が小さくなり、最も小さい場合には正常の60%にまでなっていることがあげられます。

これは、神経細胞が死んで脱落することが原因と考えれています。普通の老化でも、神経細胞は年を取るごとに減っていきますが、アルツハイマー病には減る部位に特徴があります。

アルツハイマーの脳を詳しく調べた米国の研究者の報告では、神経細胞の数が減っているのは主に①大脳新皮質のうちの記憶や思考に関連している部分②記憶に重要な働きをしている海馬とその周辺、だったそうです。

大脳新皮質というのは、大脳の表面を占める皮質構造のうち、進化的に新しい部位。合理的・分析的な思考や言語機能をつかさどっていて、高等な生物ほど大きくなる傾向があるところです。

また、神経細胞が死ぬのよりも先に、他の神経細胞からの情報を受け取る「手」のような役割をしている樹状突起にも変性や脱落が起こっていることが分かっていますが、大脳新皮質では神経細胞同士の横の連絡に重要な層の神経細胞から出ている樹状突起で異常が著しいそうです。

アルツハイマー病には、きのう見た人間ならではの「より高次の判断をする回路」や、「人間らしさ」のもとになっているような繊細なところから壊されていく傾向がありそうです。


2019年01月16日

電光掲示板

きのう見たように、記憶は大脳皮質の神経細胞がシナプスを介して結合しあった神経細胞に蓄えられます。それが再生、活動してつくられたネットワークのつながりによって人間はいろんな判断をしているわけです。

アルツハイマー病で亡くなったかたの脳を調べると、電光掲示板で言えば発光素子にあたる神経細胞が死んでいたり、素子の間の接続部分にあたるシナプスの数が減っていることが確認できるそうです。

「覚える」という行為をするとき重要な働きをする脳の海馬とその周辺で神経細胞の働きが、かなり初期の段階からおかしくなるといいます。

しかし、アルツハイマー病患者に起こる妄想、幻覚、徘徊などは、本人としては正しい判断をして当然の反応をしている、と確信して行っています。

掲示板

人間が考えているときには、脳の中に並んでいる膨大な数の神経細胞(ニューロン)が、電光掲示板のようにあるパターンでついたり消えたりして活動しています。

娘さんはもう結婚してはるか遠くに住んでいるのに、過去にインプットされたパターンが頭の中にちゃんと残っていて、「暗くなると、娘を迎えに行かなければと出かけてしまう」といった行動に出てしまうのです。

正常の人だと「ああ、それは昔のことだったな」という見当識の判断パターンも働いて行動を抑制します。しかし、アルツハイマー病が進むと「昔のことか今のことか」を判断するようなより高次の判断をする回路が切れてしまうことが、しばしば起こってしまうようです。


2019年01月15日

記憶のしくみ

アルツハイマー病になると、記憶に障害が生じます。では「記憶する」とき、脳の中では、いったいどういうことが起こっているのでしょう。

そもそも、記憶したり考えたりといったことは、神経細胞(ニューロン)を通して行なわれています。

脳内には約1000億個ともいわれる神経細胞があります。神経細胞には、細胞体の周りにある短いヒゲの樹状突起と、細胞体からのびた長いヒゲ、軸索があります。

軸索は長いものだと数十センチもあって、別のニューロンの樹状突起とつながっていて、複雑なネットワークをかたち作っています。

シナプス

ものを覚えて記憶するなど脳を使っていると、神経細胞のネットワークが太くなったり、新たに形成されたり、機能を高めたりします。

記憶の正体は、このネットワークということになります。ネットワーク間の伝達は「信号」が担っています。

軸索と樹状突起が接続したところには、シナプスと呼ばれるすき間があって、つながってはいません。

神経細胞から電気信号がシナプスまで達すると、前の細胞から神経伝達物質と呼ばれる化学物質が放出されて、次の細胞の表面にあるレセプター(受容体)という受け手にキャッチされて電位が発生。その量が一定以上になると電気が発生し、信号が伝わっていくのです。


2019年01月14日

年末年始

ねえちゃのグループホームから「12月の生活記録」を送っていただきました。

孫がインフルエンザになったため、訪ねて来れなくなったりと、ねえちゃにとってちょっぴり残念な年末年始ではありました。

けれど、クリスマス会でケーキバイキングや、サンタさんのプレゼント。忘年会では、オードブルのクラッカーにチーズや果物を乗せたり。

みんなで紅白歌合戦を観たり、お正月の歌をうたったり。ひとり暮らしのときとは違って、寂しさを感じるヒマもないくらい、イベント尽くめ、すごく楽しい年末年始だったようです。

一年を振り返って「おかげさまで元気でいられました」と、みんなに感謝していたとか。

さて、グループホーム生活2年目。ねえちゃにとって、どんな一年になるでしょう。


harutoshura at 22:43|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月13日

「女性である」のもリスク?

ねえちゃのグループホームに入っているのは、それが偶然なのか、何か特に理由があるのかは知りませんが、ねえちゃも含めてほとんどが女性のかたです。

それとは直接関係はないでしょうが、一般にアルツハイマー型認知症は、男性よりも女性に多く見られる傾向があるようです。

米国のアルツハイマー病にかかった65歳以上の人々550万人のうち、340万人が女性で、200万人は男性、つまりアルツハイマー病にかかった米国人のざっと3分の2は女性である、という報告もあるとか。

では、「女性である」ということも、アルツハイマーの危険因子として考えていいのでしょうか?

一般に女性のほうが男性よりも長生きするわけですから、相対的に患者が多くなるのは当たり前のようにも思われます。が、平均寿命の違いによる影響を統計学的に差し引いても、女性のほうがリスクが高いという分析もあるそうです。

閉経後の女性ホルモンの欠乏によって脳の病的老化が進むから、といった生理学的要因から、教育や職業など社会的要素までさまざまな検討が成されていますが、まだ、はっきりとした結論が出るには至っていないようです。


2019年01月12日

アポリポ蛋白E

比較的若いときに発症するとされていたアロイス・アルツハイマーの時代と違い、現代いわれるアルツハイマー病では、高齢であるほど有病率は上がっていきます。

加齢とともに、アルツハイマー型認知症の危険因子として指摘されているのに「アポリポ蛋白E(ApoE)」というのがあります。

アポ(apo-)はギリシア語系の接頭語で「~を切り離した」、リポ(lipo-)は脂質を意味しています。

ApoEは、主に肝細胞で作られ、コレステロールや脂肪酸の運搬、神経細胞の脂質代謝などにかかわる蛋白。動脈硬化の成因とも関係すると見られています。

アポリポ蛋白EをつかさどっているApoE(アポイー)遺伝子には「ε(イプシロン)2」「ε3」、「ε4」などのタイプがあって、このうち「ε4」を持っていると、アルツハイマー型認知症になるリスクが2~5倍上がり、発病年齢も早くなる傾向があると見られているのです。

もはや、ねえちゃには関係ありませんが、リスクを知り、予防対策をしようと思えば、医療機関で採血して、ApoEの遺伝子検査も受けるという手もあるのです。


2019年01月11日

加齢との違い

アルツハイマー病に関して、さらに理解を深めていくのに先立って、ここで認知症によるもの忘れと、誰にでも起こる加齢によるもの忘れがどう違うのか、改めて整理しておきましょう。

①まず、認知症によるもの忘れは「体験全体を忘れる」のに対して、加齢による場合は「体験の一部分を忘れる」という違いがありました。そして、

②認知症の場合「ヒントを与えても思い出せない」が、加齢による場合は「ヒントを与えられると思い出せる」。

③認知症では「時間や場所の見当がつかない」が、加齢の場合は「つく」。

④認知症では「日常生活に支障がある」が、加齢だと「支障はない」。

⑤認知症だと「もの忘れに対して自覚がない」が、加齢だと「自覚がある」。

⑥認知症では「1-2年で悪化していく」が、加齢による場合は、10年単位とか「非常にゆっくりと」進む傾向があります。

また、加齢の場合と違って、認知症では「新しい出来事を記憶できない」という特徴もありました。

午後8時15分ごろ、きょうもねえちゃから電話がありました。確かに、きょう食べたものをはじめ新しい出来事の記憶の蓄積はぜんぜんなくなっているな、と実感します。


2019年01月10日

MCI

アルツハイマー病を考えるとき、初期的な症状を示す「グレイゾーン」があるという話を先日書きましたが、認知症の一歩手前の状態を軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)と呼ばれることがよくあります。

認知症における物忘れのような記憶障害が出るものの、症状はまだ軽く、正常な状態と認知症の中間と言える概念です。ですから、アルツハイマー病によるMCIというと、アルツハイマー型認知症になる一歩の段階と言えます。

MCIの段階でもアルツハイマー型認知症と同じようにアルツハイマー病の原因と考えられている脳内アミロイドベータの蓄積が認められています。ですから医学者たちは、放置しておくといずれはアルツハイマー型認知症を発症すると考えています。

アルツハイマー病によるMCIの臨床的な定義は次のようになっているそうです。

①記憶障害の訴えが本人や家族から認められている
②客観的に記憶や見当識など1つ以上の認知機能の障害が認められる
③日常生活動作は正常
④認知症ではない

では結局のところ、アルツハイマー型認知症とアルツハイマー病によるMCIの症状のどこが違うかといえば、どちらも認知障害は認められるものの、その認知障害によって日常生活で「周囲に影響を及ぼすほどの支障をきたしているかどうか」によるようです。

それから、アルツハイマー型認知症の段階に入ってしまったねえちゃは、もう遅いのですが、アルツハイマー病によるMCIなら、早期に発見して対策をすれば、発症を相当に遅らせる時代には入りつつあるようです。


2019年01月09日

おめでとうございます

きのうの夜から降り積もったねえちゃの家の前の雪をざっと掻いてから、今日の午前中、路線バスに乗ってグループホームへ行きました。

今年初めての面会だったので、職員のかたやねえちゃと「あけましておめでとうございます」のごあいさつ。

ですが、ねえちゃにとっては、いまが一年の中でどんな時期にあるのか、イマイチ定かにはなっていないようです。

インフルエンザの流行が本格化してきました。厚生労働省によると、昨年末の1週間で推計約44万6千人の患者が医療機関を受診。

前週の約31万3千人から10万人以上増えたそうで、今シーズンの推計患者数は累計106万人となったそうです。

グループホームの入口でも、インフルエンザにかかっている人は中に入らないで欲しい旨の表示が出ていました。

ねえちゃはといえば、風邪をひいた様子もなく、元気そうです。同じ話を繰り返すサイクルがまた少し短くなってきたな、とは感じますが、落ち着いた年末年始を過ごすことができたようです。


harutoshura at 22:21|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月08日

水道料金

今年はじめて、ねえちゃの家を訪れました。

昨年、親しいかたたちには、ねえちゃがグループホームへ入ったことをお知らせしておいたので、年賀状など対処が必要な郵便物はほとんどありませんでした。

ただ、水道料金徴収業務受託者だという会社から「ご使用状況確認のお願い」という通知がありました。

そこには「ご使用水量がほとんど確認できませんでした」としたうえで、「以下の点について注意いただき、ご使用状況の確認をお願いします」と、次のような注意点が記載されていました。

・お申込みいただいている設置住所は、開栓状態です。
 県営水道は、お客様から休止のお申し出がない限り、全く使用水量が認められない場合でも基本料金がかかります。
 そのため、長期間使用しない場合は、休止のお手続きをしていただきますとその間の料金はかかりません。

・水道は、ご使用がなくても水道管の老朽化、凍結などにより漏水する恐れがあります。時折、水道設備の点検等をお願いいたします。

ねえちゃがここに住まなくなったので、ほとんど水を使用していないのは確かです。が、まったく空き家状態にはできないので、家の状態を確かめに来たときなど、水道やトイレは必要です。

しかし、ほとんど使わないのにかなりの額の基本料金がどんどん取られていくのも癪です。これからさらに寒くなって来ると、凍結も心配になります。業者とも相談して作戦を立てなければなりません。


harutoshura at 23:23|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月07日

お昼寝どきの電話

きょうの午後1時40分ごろ、グループホームにいるねえちゃから、私の携帯に電話がありました。「おバアさん、これから帰ろうと思うんだけど」といいます。「どこへ帰るの?」と聞くと、「ウチ」と答えます。

お昼寝の途中で目が覚めたのか、何がなんだか分からなくなったといって、しばしば掛けてくる電話です。

「ウチって言ったって、おバアさんのウチは、そこじゃない。去年の3月から、もう10カ月近くそこで楽しく暮らしているんでしょ」と言うと、「エェッ!。おバアさん、そんなに長くここに居るの」と、いつものようにびっくりしています。

一瞬、デイサービスに通っていたときの自分に戻ったのかもしれません。「自分の家では暮らしていけなくなったから、ここへ来たんでしょ」というと、少し落ち着いた口調に戻って「そうなんだ。それじゃ、おバアさん、ここにずっと居ていいんだね」といいます。

近ごろではすっかり慣れっこになった、ねえちゃのこうした「何がなんだか分からなくなって」の訴えも、きのう見たエピソード記憶の障害に関係していそうです。「脳科学辞典」のサイトを覗くと、エピソード記憶の定義は次のようになっていました。

〈エピソード記憶とは、「個人が経験した出来事に関する記憶」で、例えば、昨日の夕食をどこで誰と何を食べたかというような記憶に相当する。

エピソード記憶は、その出来事の内容 (「何」を経験したか)に加えて、出来事を経験したときのさまざまな付随情報(周囲の環境すなわち時間・空間的文脈、あるいはそのときの自己の身体的・心理的状態など)と共に記憶されていることが重要な特徴である。

臨床的枠組みにおいて、「記憶」という用語はエピソード記憶を指して用いられることが多く、記憶障害という場合は、通常エピソード記憶の障害を指している。〉

グループホームへ入ってから、毎日、朝昼晩食事を作ってもらい、運動会、お誕生会、カラオケ大会などいろんな行事に参加させてもらったりしても、そうしたことは記憶として積み重なることなく、結果、スコッと抜け落ちてしまうことにもなります。

こんなふうに「何が何だかわからない」くなったとき、ウチに居た時には昼間でも布団にくるまって「生きていたってしょうがない。死にたい」とうめいていました。

けれど、いまでは、午後3時になれば、おやつを食べたり、みんなで体操をしたりといった時間がやって来るし、暗くなれば、みんなでおしゃべりしながら夕食を食べて、気持がリセットできます。グループホームのありがたところです。


harutoshura at 18:18|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月06日

エピソード記憶の積み重ね

日曜日のきょう、ねえちゃから、朝8時ごろ、夜は寝る前の9時ごろ、そして「電話したんだっけ」と5分後にまたと、計3回電話がかかって来ました。

「アタマがおかしい」以外は特に不満もなく、穏やかな話ぶりですが、このまま最近のことをうまく覚えられないまま、どんどん時間がたって行ってしまったらどうなるのだろうと時に不安になります。

こうした「時間」がどんどんたっていくと、正しい記憶や情報を脳の中に次々に呼び出しておこなっている判断や思考にも問題が出てきます。

アルツハイマーの病状が進んでいくと、それまで覚えていたはずの、発病前のかなりむかしのことまで忘れてしまって、だれが見てもおかしいと思う状態になるといいます。

たとえば、すでに結婚して何十年にもなった娘が、「父親の様子がおかしい」と聞いて実家に戻ってみたところ、父親の頭の中からは、娘が結婚したということも、何十年もたっているという記憶も消えているといった事例も。

「ある時に、何をした」というエピソード記憶が、順々に残っていかないので、時間が経過したという概念自体がなくなってしまうのです。

そのため、娘の顔も何十年前のままの記憶しかなく、現在の顔と大きく異なるので「これは私の娘ではない」と判断して娘を嘆かせることになります。

こうした明確な誤りを本人は自覚せず、逆に娘に向かって「変なことをいう女だ」と迷惑がられると、娘にはたまったものではありません。父親の論理的判断をする回路はまだ十分働いているので、相手のほうがおかしいと断定してしまうのです。

このような具合に自分が病気であるという自覚がない状態に陥るのが、アルツハイマー病の一つの特徴とされています。逆に考えると、私たちが、“私たち自身”でいられるのは、さまざまなエピソード記憶のすべてが、脳のなかに順序よく蓄えられ、呼び出されているからだ、ということが分かります。


2019年01月05日

近時記憶とエピソード記憶が障害

一昨日の記事で、物忘れの中でも、起こったことを全体を覚えていない(忘れてしまう)ところに、アルツハイマー病の特徴の一つがあると記しましたが、このような記憶障害は、アルツハイマー病の全例に認められ、進行するにつれて悪化していきます。

では、アルツハイマー病の記憶障害にはどのような特徴があるのか、もう少し詳しく追っていくことにしましょう。

まず、その保持感覚によって記憶は、①秒単位で保持される即時記憶(短期記憶)②数分後に一旦脳裏から消えてから再生される近時記憶③過去の出来事に関する遠隔記憶、の三つに大別することができます。

また別の記憶の分類としては、意識的に想起できる陳述記憶と、意識的には想起されない非陳述記憶に大別することもできます。この陳述記憶はさらに、「きのう上野の美術館に行った」というような個人的体験に相当するエピソード記憶と、「日本の首都は東京だ」といった知識に相当する意味記憶に細かく分けることができます。

このように見ていったとき、アルツハイマー病患者が最も初期から障害を受けるのは、保持感覚による分類では「近時記憶」、想起されるタイプによる分類では陳述記憶の「エピソード記憶」と、考えられているのです。

ふりかえって見れば確かにねえちゃの場合も、ここで分類した「近時記憶」と「エピソード記憶」の二つが失われつつあるな、という感じがします。


2019年01月04日

見当識障害

以前も少し見たことがありますが、アルツハイマー病の典型的な症状といわれるものに「見当識」の障害があげられます。

推測や判断を誤ることを見当違いといいますが、見当識とは、現在自分が生活している状況や自身の存在を客観的に正しくとらえる精神機能のこと。周囲に対する認識を意味する「指南力」という言葉も当てはまります。

現在置かれている状況を洞察・展望し、照合し、確認することが見当識ですから、注意や認知、思考、判断、記憶などの精神機能の統合が不可欠になります。

見当識は、①現在の日時に関するもの②場所やそのときの状況に関するもの③生年月日、年齢、職業、家族関係など自分自身や周囲の人に関するもの、に区別できます。

こうした日時、場所や人に関する見当識が不確かになる状態が、見当識障害です。ねえちゃのように、物忘れに加えて見当識障害もあらわれるようになると、単なる老化現象ではなくアルツハイマー病の可能性が高まることになります。

「季節感がなくなる」「夜なのに昼間と勘違いする」「よく知っているはずの道に迷う」といった症状、さらには「その人が誰だか分からなくなる」「娘を姉と間違える」といった「誤認」と呼ばれている症状も、人に対する見当識障害と捉えることができます。


2019年01月03日

丸ごと忘れる

アロイス・アルツハイマーが初めて下したアウグステへの診察から、現在のアルツハイマー病の定義まで、昨年末までにざっと眺めて来ました。

しかし、アルツハイマー病かどうか初期症状を識別することは、専門医でも難しいのだといいます。歳を取ればだれでも物忘れは多くなります。若者だってしばしば忘れることはあります。

では、単なる物忘れと、病気を分ける一線は、どこで引かれるのでしょう。

アルツ病

黒田洋一郎『アルツハイマー病』によれば、アルツハイマー病は新しいことを覚えること(記銘)ができなくなることから始まるのに対し、度忘れは覚えたことがらを思い出すこと(想起)が一時的にできなくなる、といいます。

一番はっきりした症状としては、毎日同じようなことを繰り返す動作や仕事を「したか」「しなかった」のか、その内容を含めて覚えられず、完全に忘れてしまうことです。

だから、もののしまい忘れや置き忘れが目立ち、探し回るようになります。朝ごはんを食べたにもかかわらず「食べていない」と言い張るようなときは、たいへん危険なのだそうです。

ねえちゃはきょうも寝る前に電話をかけて来ましたが、いつものように、やはり食べたことはすっかり忘れてしまっていました。

正常な若者でも、特別な行事でもない限り「一昨日の昼食に何を食べたか」と聞いてすぐ思い出せる人は少ないでしょう。歳をとれば朝食に何を食べたか夜には思い出せないことはよくあります。

ここでは、何かの内容を一部忘れることはあまり重要ではありません。「起こったこと全体を覚えていない(忘れてしまう)」ところに、アルツハイマー病の特徴があるのだそうです。それは、ねえちゃの場合からも頷けます。


2019年01月02日

新年の日記

きょうの午後、ねえちゃの次男がグループホームへ面会に行きました。

が、午後8時半ごろ、ねえちゃからかかって来た電話では「だれか来たような気もするんだけれど……」と、いつものようにほとんど忘れてしまって要領をえません。

「それじゃ、日記を見てみてみたら。書いてない?」と聞いてみると、「あ~っ。来たって書いてあるわ」

「新しい日記を、ちゃんと使ってるんだ? 偉いじゃん」。

日々、認知能力が失われていっても、それを少しずつでもフォローする方法を、できるところから工夫して実践していく。

今年も、そういうふうにして、ゆっくりと進んでいくしかありません。


harutoshura at 22:47|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況 

2019年01月01日

年賀状

あけましておめでとうございます。「ねえちゃ」の近況について「家族+α」の連絡用にと2016年02月08日に始めたこのブログですが、いつのまにか月日はめぐり、きょうで1059回目の投稿となりました。

最近は、ねえちゃの近況とともに、アルツハイマーという病について私なりに知ったり、考えたりしたことも紹介するページへと、広げてきています。今年も当分は、これら二本立てでやっていくつもりです。何らかのかたちで、ほんのわずかでも、みなさまのお役に立つことがあれば幸いです。

DSC_0041

元日、ねえちゃのグループホームから年賀状をいただきました。はがきには、ねえちゃのちょっと振り向いたポーズ写真に、「今年もよろしくね 母は元気よ」というメッセージが入っていました。

師走の忙しいなか作ってくれたグループホームのかたたちのあたたかい心遣いが、痛いほど伝わってきて、感激で涙があふれ出て来ました。そして、きょうも午後8半ごろ、ねえちゃから電話がありました。

「あけましておめでとう。年賀状ありがとう」というと、「おバアさん書いたの?」と、やっぱり何が何だかよくわからない様子。でも、いつものように落ち着いていて、生きているのが楽しそうでした。

みなさま、ねえちゃのこと、今年もよろしくお願いいたします。


harutoshura at 22:29|PermalinkComments(0)ねえちゃの近況