2018年08月
2018年08月31日
そんなに居るの
いよいよ8月も、きょうで終わり。いつものように午後8時少し過ぎたころ、ねえちゃから電話がありました。
「あしたはもう9月。3、4、5、6、7、8月と、グループホームへ来てもう半年になるんだね」というと、「えっ、半年!。うそ。そんなに居るの」とびっくりしています。
時間や場所がよく分からなくなる見当識障害のためか、2、3日前にホームへ来たばかりだと思っているようです。
ホームへ入ってから面会に来てくれた人たちの名前を上げていくと、「え、そんなにみんな来てくれたんだ。どれもみんな忘れちまってる」と、少々ショックのようです。
が、「もう、ここで年を越して、その後もずっとここで楽しくやっていけるんだよ」というと、「わかった」と気持ちを切り換えて、元気に「おやすみ!」。
2018年08月30日
2018年08月29日
エアコンが故障して
岐阜市のY&M藤掛第一病院で、80代の入院患者5人が相次いで亡くなりました。エアコンが故障していたのに、放置したため、熱中症で亡くなった可能性があるとみられています。
亡くなった5人は、いずれもエアコンが故障した病室にいたと見られます。病院によれば、一部屋に1台の割合で扇風機を設置したり、一部の患者はエアコンが作動している病室に移動するなどの措置を取ったとか。
体温より気温が高くなると、汗を出して気化することで体温を平常に保ちます。が、大量の汗をかいて体内の水分が失われると、それ以上汗をかくことができず、体温が上がっていきます。汗をかくことによる体温調節機能が失われ、生命の危機的ラインとされる42℃を超える高熱が出るなど体に異変をもたらすのです。
ねえちゃのグループホームでは、エアコンには日々、気を配ってくれています。が、「熱中症」に最も熟知していて、万全な対応をとっているはずの病院で、こういったことが起こったというのは、なんとも情けない話です。
2018年08月28日
入浴中
午前中、久しぶりにねえちゃのグループホームを訪ねると、ちょうどお風呂に入っているところでした。
日記には毎日のように「今夜はお風呂はない」と書いていますが、実際は、定期的に昼間に入れてもらっているのですが、なかなかそれを頭の中に入れることができません。
お風呂でくつろいだせいもあるのか、ねえちゃは穏やかで、落ち着いた表情を浮かべていました。
「心配事とかない?」と聞くと「ずっとここに居ていいの?」と聞き返します。いまのまんまホームに居られれば、それがいちばん幸せなのだそうです。
ねえちゃは、しばらくぶりに実姉のところに電話をしました。週3回デイサービスに出かけて、リハビリにがんばっているそうです。
2018年08月27日
2018年08月26日
2018年08月25日
2018年08月24日
野菜
今夏の猛暑の影響で、ブロッコリー、トマト、夏秋イチゴなどについて長野県の一部産地でも、深刻な被害・収量減が見込まれているようです。
暑さで乳牛がバテて乳量が平年より低下したり、カーネーションやトルコギキョウが早く開花してしまって、秋の需要期の出荷量が大幅に減る可能性もあるとか。
それでも今夏、グループホームのねえちゃのもとには、面会に来ていただいたかたたちから、キャベツやトマト、玉ネギ、トウモロコシなど、いろんな差し入れをいただきました。
やっぱり、農業に関係する親戚や知人がいるということは、ありがたいことです。
ねえちゃ自身は、バテることもなく、グループホームの庭でミニトマトの収穫の手伝いをして「かわいい~こんなに採れた」とはしゃいだりして、家に閉じこもっていたときには出来なかった、野菜とのちょっとしたふれあいを楽しむこともできました。
2018年08月23日
働ける
認知症の人が介護サービスを利用しながら、ボランティア的なかたちで働いたり、対価として謝礼を受け取ることが可能であることを、厚労省が自治体や事業所に通知したそうです。
介護保険の対象になるデイサービスでは、歌をうたったり塗り絵をしたりといった活動が一般的。ですが、特にカラダに問題がない若年性認知症のかたの中には、こういった活動だけでどうなんだろう、という違和感も少なくなかったようです。
労働不足の近年は、若年性認知症の人が公園の清掃をしたり、自動車ディーラーで洗車の仕事をして謝礼を受け取ったり、という取り組みも行われています。
自分でやったことが少しでも、社会に役立ったり、お金になったりすれば、達成感を味わい、生きがいにつながっていきます。それは、ちょっと“お手伝い”をするだけで気分よく睡眠に入れるねえちゃを見ていてもよく分かります。
厚労省の通知が、認知症患者を含めたみんなが社会参加できる世の中に向けての一歩であればいいな、と思います。
2018年08月22日
2018年08月21日
2018年08月20日
宝くじ当選したら?
一日に何度も電話をかけてくるのが日課のねえちゃ。何か困っていることある、というわけではなさそうですが、お金は大丈夫なのだろうかというのが心配な様子です。
グループホームの中では、お金を持つことは出来ません。が、ご飯は3度ちゃんと食べていられるし、寝泊りさせてもらえています。
お金払わないのに大丈夫なのだろか、という心配が、ひとりになったときなどに、ふと頭にもたげてくるようです。
お金払わないのに大丈夫なのだろか、という心配が、ひとりになったときなどに、ふと頭にもたげてくるようです。
「ちゃんと預金通帳から引き落とされていて、当分は大丈夫だから」と言うと、そのときは安心しますが、またすぐに不安が募っていきます。
この間、新聞記事を読みていてスタッフのかたに「宝くじ当選したら何に使いますか?」と聞かれると、ねえちゃは「将来の生活費にあてる」とこたえたとか。
認知症になっても、しっかり先のことを考えてものごとにあたろうとする真面目な性格は、変わってはいません。
認知症になっても、しっかり先のことを考えてものごとにあたろうとする真面目な性格は、変わってはいません。
2018年08月19日
イノシシ
長野市街地で、きのうの未明からイノシシの目撃情報が相次ぎ、店舗にイノシシが突進して窓ガラスが割れるといった被害が発生しました。
警察や猟友会員が捜索して、きのうの午後、ねえちゃのグループホームからそう遠くない路地で1頭が発見されて、吹き矢で麻酔を撃ち、捕獲されたそうです。
きょうも朝8時半と、午後6時半、午後9時、午後9時20分ごろの4回、ねえちゃから電話がありました。夕食のあとには、同じホームに入居している人と2人で、何かお手伝いをしてきたのだそうです。
「イノシシだいじょうぶだった?」と聞くと、「え~、そんなことあったの」と、イノシシ事件はまったく知らずに驚いている様子でした。
ホームへ入って6カ月。以前は「家へ帰らなければ」と急くように言っていたのが、「ここにずっと居ていいの?」と聞いては、ほっとして眠るようになりました。
2018年08月18日
寒い朝
長野県のきょうの朝は、上空の強い寒気の影響や放射冷却のため、全30の観測地点のうち12地点の最低気温が、8月の観測史上最低を記録したそうです。
最も低かったのは野辺山の4.2度で、全国2番目の寒さ。30地点の最低気温は、平年より11.2〜4.8度低く、9月下旬から10月中旬並みだったとか。
午後6時半ごろ、いつものように、夕食を終えたねえちゃから電話がありました。
「いまご飯をいただいて、これから、みんなとおしゃべりにまた食堂に行って来るの」と、すこぶる元気そうです。
「いまご飯をいただいて、これから、みんなとおしゃべりにまた食堂に行って来るの」と、すこぶる元気そうです。
「なにか困ったことはない?」と聞くと、いつものように「バカなことだけ」と率直に言います。
熱中症も、夏バテも、これといったトラブルもなく、グループホームでの初めての夏を乗り越えることができそうです。
2018年08月17日
あと1歳
きのうの夜も、テレビを観ながらみんなと談笑したあと、自分の部屋へ戻ったねえちゃから電話が掛かってきました。
「きょうの夕食は何が出たの?」と聞くと、「忘れちまった」。「この前の誕生日のときには、大好きなものを作ってもらったんでしょ?」。
「そうだったっけ」と答えながらも、今月、自分の誕生日があり、何かしてもらったことはなんとなく記憶にあるようです。
「おばあさん幾つになったの?」と聞くと、「82かな」とすぐに返事がかえって来ました。「すごいじゃん。すぐに、よく分かったね」。
「おじいさんは83歳のときに死んだんだよ」というと、「それじゃ、あと1歳でおじいさんと同じか」。
「でも、この調子だったら、おじいさんの歳を楽々超えて、ずっと、ずっと、長生きしそうだね。おやすみ」。「おやすみ」。
「でも、この調子だったら、おじいさんの歳を楽々超えて、ずっと、ずっと、長生きしそうだね。おやすみ」。「おやすみ」。
2018年08月16日
2018年08月15日
ベルリン五輪
グループホームから送っていただいた生活記録に、「お誕生日の昼食メニュー、御本人希望の五目炊き込みご飯、おやつはチョコケーキにさせていただきました」とありました。
うっかりして「おめでとう」をいうのを忘れていましたが、8月はねえちゃの誕生月。ただし役場への届出が遅れて、本当は何カ月か前に生まれたのだと本人はよく言いますけれど。
それはともかく、ねえちゃの誕生日になっている1936年の8月には、「ヒトラーのオリンピック」とも言われた第11回夏季オリンピックが、ベルリンで開かれています。
当時、ベルリンの次の第12回は「東京」と決まっていました。が、3年後の1939年9月にドイツがポーランドへ侵攻し、第2次世界大戦が勃発したため、中止となってしまいました。
結局、ねえちゃが生まれたころ開かれたベルリン大会が、戦前最後のオリンピックとなってしまったのです。
2018年08月14日
実行機能障害
目的に沿って計画を立てて、修正しつつ物事を遂行していくことを「実行機能」というのだそうです。そんな実行機能の障害を示す典型例として、段取りよく料理ができなくなることがあげられます。
冷蔵庫にあるもののことをすっかり忘れて、同じものを買ってしまう。でも、いざ夕食の準備にかかると、さっき買ってきた材料のことも頭から消えている。
それで、けっきょく、冷蔵庫を開けてすぐ食べられそうな別のものを食べてしまう。冷蔵庫の中には、同じような食材が食べないままいっぱいたまっていく、という結果になってしまいます。
ねえちゃも、こうした実行機能障害によって、ひとりで料理をすることがぜんぜん出来なくなってしまいました。でも、グループホームへ入ったいま、できる範囲で食事の「お手伝い」をすればいいのです。
フラストレーションがたまることなく、それなりのやりがいを感じることができる。家にいたときにはなかった笑顔も見られるようになりました。
フラストレーションがたまることなく、それなりのやりがいを感じることができる。家にいたときにはなかった笑顔も見られるようになりました。
2018年08月13日
2018年08月12日
陳述記憶と非陳述記憶
記憶を別の観点から見ると、イメージや言語として意識的に想起できる陳述記憶と、意識的には想起されない非陳述記憶に大別できるそうです。
陳述記憶はさらにエピソード記憶と意味記憶に分類されます。
エピソード記憶は、昨日の夕食をどこで誰と何を食べた、というような個人が経験した出来事に関する記憶です。
出来事の経験そのものだけでなく、それを経験した際の時間や空間的な文脈や、自分の身体的・心理的状態など、いろんな付随情報を合わせて記憶されていることが特徴です。
意味記憶は、いわゆる知識に当たります。たとえば、「みかん」が意味する、大きさ、色、形、味、果物の一種としての位置づけ、といった知識に関する記憶のこと。
ふつう同じような経験の繰り返しによって形成され、その情報をいつ、どこで得たかは忘れ、内容だけが記憶されたものと考えられます。
非陳述記憶は、意識のうえに内容を想起できず、言語などを介してその内容を陳述できない記憶をいいます。
この中には、食器洗いをしたり、自転車に乗ったりといった、「体で覚える記憶」である手続き記憶などが含まれます。
これらの中で、アルツハイマー型認知症で早くから障害を受けるのは、エピソード記憶とされています。
確かにねえちゃを見ていても、知識(意味記憶)や「体で覚える記憶」(手続き記憶)は、まだまだ大丈夫かなという気がしています。
確かにねえちゃを見ていても、知識(意味記憶)や「体で覚える記憶」(手続き記憶)は、まだまだ大丈夫かなという気がしています。
2018年08月11日
近時記憶
きのうも、ねえちゃから、午後7時ごろと午後8時ごろの2回、電話がありました。
夕食を終えたところで1回、みんなでテレビを見たりして部屋に戻って寝る前に1回、というのが最近の日課で、朝の電話で起こされるということは減ってきました。
人間の記憶は、その保持間隔によって①秒単位で保持される即時記憶(短期記憶)②数分後に一旦脳裡から消えて再生される近時記憶③過去の出来事に関する記憶である遠隔記憶、に大別できるそうです。
アルツハイマー型認知症で最も初めの段階から障害を受けるのは、近時記憶とされています。ねえちゃの場合も、この近時記憶がだいぶ障害を受けているようです。
話していると、数分後には同じ質問が繰り返されます。夕食後電話したことなどもすぐに忘れて、寝る前にまた同じ内容で電話をして来るのです。ただ内容は同じでも、そのときの感情によって話しかたはだいぶ違っています。
これからみんなとテレビを見るというときは、すごく言葉がはずんでいますし、寝る前は沈んだトーンの時が多いように思われます。
これからみんなとテレビを見るというときは、すごく言葉がはずんでいますし、寝る前は沈んだトーンの時が多いように思われます。
2018年08月10日
2018年08月09日
2018年08月08日
2018年08月07日
2018年08月06日
逮捕
認知症の疑いが強い男の人が、周囲の説得を聞かずに車の運転を続けたため事故の危険性が高いとして、警察が異例の逮捕に踏み切るという一件があったそうです。
逮捕された神奈川県鎌倉市に住む69歳の男性は、10年ほど前から認知症が疑われる症状が進んで、車で出かけて帰り道が分からなくなるといったトラブルが相次いでいました。
先月、車検を更新しようと自動車販売店を訪れました。が、車検はすでに切れていたうえ、認知症を疑わせる言動があったため販売店は警察に相談。警察は、事故を防ぐためやむを得ないと判断して、車検切れのまま運転した疑いで現行犯逮捕して車を押収したとか。
少々荒っぽいやりかたのようにも見えますが、事故を起こして人さまの命を奪うことにでもなれば、と気遣う家族の意に沿うものでもあったようです。
ねえちゃの家の近くの交通の様子をみても、怖いなと思うお年寄りの運転に、しばしば遭遇します。人生の締めくくりに死亡事故を起こした、というのは、本人もその周辺もなんとも切ない。今回のような荒療治もいたしかたない時代なのかな、と思います。
2018年08月05日
2018年08月04日
きょう、お風呂は
きょうは、ねえちゃから、朝8時ごろ1回目、午後6時50分ごろ2回目、それから10分くらいたって3回目、さらに8時10分ころ4回目の電話がありました。
「いま、夕食が終わった。これから食堂へ行ってみんなでテレビを観るの」などと、いずれも元気そうです。
夜の電話のとき、ねえちゃは決まって「きょうは、お風呂はないようだから、これから寝るの」といいます。
グループホームでは、お風呂は昼間、スタッフの人に入れてもらうことになっているはずですが、ねえちゃはいまも家にいたときのように、夕食後に入っていると思い込んでいるようです。
「スタッフの人は夜は家へ帰るから、お風呂は夜じゃなくて、昼間入れてもらっているんだと思うよ」というと、「ああ、そうなんだ」とそのときは納得します。
2018年08月03日
納得
「いままで、みんなでテレビを見て、もどって来た」。きょうの午後8時すぎ、いつものようにグループホームのねえちゃから電話がありました。ずいぶんと明るい声です。
約1時間後、こんどはやや不安げに「おばあさん、バカになって分かんなくなっちゃったんだけど。ここに居ていいんだろうか?」
「だれか、居ちゃダメだって言ったの?」。「ううん。誰もそんなこと言わないけど」
「じゃあ、何も気にせずに、居させてもらえばいいじゃない」。「でも、こんなバカ、居られるの?」
「バカになっちゃって頭がうまく働かないあいだは、ずっと居られるんだよ!」
というと、「そうか!」と、すっと納得して、「このまま、周りの人の話よく聞いてやってればいいんだね。おやすみ」と、穏やかな声に変わっていました。
2018年08月02日
スマホ認知症
スマートフォンが中毒化して、「認知症もどき」ともいえる症状を訴える人が増えているそうです。
近年、「物忘れ外来」を訪れる患者さんに、30代~50代の働き盛り世代の、スマホのヘビーユーザーが目立つようになっているとか。
スマホから入る情報の選別や処理に追われて、脳に必要以上の負担を強いることになり、脳の容量、処理能力が低下してオーバーフローした状態になることが原因のようです。
これを「スマホ認知症」と名づけて、これがうつ病へと進んで、最終的には本当の認知症になる可能性も高くなると指摘する医師もおられるようです。
ねえちゃも私もスマホには無縁ですが、スマホにとり付かれたようにしている人たちの姿をあちこちで見かけるにつけ、そういうこともあるのかなと頷くような気になります。
2018年08月01日
次の計画
きのう、ねえちゃのグループホームへ行ったとき、3カ月ごとに作成される次の介護サービス計画書について、担当者のかたから、家族の考えを聞かれました。
ねえちゃが、落ち着いて、楽しく過ごさせてもらっているので、すごく感謝していて、特別に何か変える必要があることはありません、というのがいまの気持ちです。
とくに、食事の下ごしらえや後片づけを手伝わせてもらうと、ねえちゃはすごく生きがいを感じているようなので、今後もひきつづきやらせてもらえればいいな、と思っています。
介護サービス計画書を読んでいると、ていねいで、深い心遣いが、一字一句に感じられてきます。
現段階ではアルツハイマー病が治癒するということはありません。ハタから見ていても、ねえちゃの病状が進んでいるのがなんとなくわかります。
でも、どんな状況に置かれても、生ある限り、それ相応の人生の楽しみかたがあると信じていたい気がしています。