2018年07月
2018年07月31日
一票
朝9時半ごろ、ねえちゃを迎えにグループホームへ行きました。
簡易書留で届いていた「後期高齢者医療被保険証」の受け取りのため、まずは指定された郵便局へ。
それから、長野県知事選挙と県議会議員補欠選挙の期日前投票をするため、市役所の支所へと行きました。
少し戸惑うのかな、と思いましたが、係の人にやりかたを何度か尋ねながらもちゃんと、それぞれに一票を投じていました。
ねえちゃは「知事には**さんに入れてきた」と、それなりに「知事はあの人」というのはあったようですし、「ある程度年齢がいっていないと」というリーダーに対するこだわりもあるようです。
「きょうは何してきたの?」と、聞いてもすぐに選挙のことは忘れてしまっていましたが、市民の権利をちゃんと行使できる力はまだ健在です。
2018年07月30日
2018年07月29日
2018年07月28日
きょうは3回
朝6時ごろ、ねえちゃからの電話でたたき起こされました。また「おばあさんここに居ていいの?」。きのうの夜からこれで6回目です。
「大丈夫だから。もうすぐ朝ごはんでしょ!」
台風が接近してきた夜8時ごろ、また電話がありました。「夕食が終わって、みんなとくつろいで、いま部屋へもどってきた」。
「きのうから何回も電話あったけど?」「えッ、おばあさん、そんなに電話したの!」「何か困ったことでもあった?」「何もない」「それじゃあ、ゆっくり眠れるね。おやすみ」「おやすみ」。
すると、30分後にまた、電話。眠っているような声で「おばあさん、ここに居ていいんだよね?」。「いいんだよ。何かヘンなことでもあったの?」「なんにもないよ」「じゃ、ゆっくり眠ったら」「そうする」。
2018年07月27日
5度の電話
午後7時ころ、ねえちゃから電話がありました。「きょうはずいぶん早いね」というと、「ご飯が終わって、いったん部屋に戻ってきたところ」だといいます。
「もう日記書き終わった」というので「何を書いたの」と聞くと、「一日ごろごろしていたって書いた」。
午後8時ごろ、また電話。「いままで、お隣の人なんかとテレビを観ていたの」と、ずいぶん楽しそうに「おやすみ」。
かと思うとその20分後にまた電話。今度はちょっぴり不安げに、「おばあさんいつまでここに居るの? 明日帰らなきゃ」
「明日なんて台風で帰れないよ。ずっと居られるんだから。お金も大丈夫」。
「ずっと、ここに居ていいんだね。それじゃ、おやすみ」。
そしてまたまた8時40分ごろ。「リュックを覗いたら、お金も何も入ってないんだけど大丈夫だろうか?」「大丈夫。おやすみなさい」。
さらにまたまたまた午後10時ごろ、5度目の電話。「おばあさん、これからのこと考えなくちゃ。来てね。おやすみ」。
そしてまたまた8時40分ごろ。「リュックを覗いたら、お金も何も入ってないんだけど大丈夫だろうか?」「大丈夫。おやすみなさい」。
さらにまたまたまた午後10時ごろ、5度目の電話。「おばあさん、これからのこと考えなくちゃ。来てね。おやすみ」。
2018年07月26日
週末
週末は、台風が上陸。そして、気象庁が26日に発表した「1か月予報」によると、北・東・西日本では、暖かい空気に覆われやすく、向こう1か月の平均気温はかなり高くなりそうです。
7月は、23日に埼玉県熊谷市で最高気温41度1分を観測して、国内歴代最高気温を5年ぶりに塗り替えるなど、記録的な暑さになりましたが、8月もまだ暑さの勢いはおさまりそうにありません。
きょうも9時すこし前に、ねえちゃから電話がありました。「おばあさん、ここに居ていいの?」といつものように言います。
「週末は台風。そのあとは、またすごく暑くなるみたいだから、雨や熱中症に気をつけてね!」というと、「わかった。おやすみ」と床に入りました。
2018年07月25日
2018年07月24日
夕暮れ症候群
午後8時ごろ、ねえちゃに電話してみると「ここにいていいの? 帰らなくていいの?」と、いつものように繰り返します。
夕方になると「いつまでもここにいていいのかしら?」と落ち着かなくなったり、「家に帰らせていただきます」と徘徊をはじめたり、というケースは認知症によく見られ、「夕暮れ症候群」とも呼ばれているそうです。
認知症になると、いまいる場所がどこで、なぜここにいるのか分からず不安で、ストレスを抱えるようになります。そうした不安感が、日が暮れて辺りが暗くなるとなおさらつのる。しかも夕方は食事の準備などで何かとあわただしくなる時間帯。本人も「何かしなくては」と落ち着かない気持ちに拍車がかかる。こうしたことが、夕暮れ症候群の原因として考えられるとか。
夕暮れ症候群は、何かに夢中になっていると起こらないそうです。ねえちゃのケースが、夕暮れ症候群という部類に入るかどうかはわかりませんが、確かに、頭の体操をしたり、テレビに夢中になったりしているときには、こんなことを言い出すことはありません。不安は、ひとりになって寝ようかなという時になると決まって訪れてきます。
2018年07月23日
「はて」
午後8時すぎ「何がなんだか分からなくなっちゃって。おばあさん、ここに居ていいの?」といういつもながらの電話がありました。
きのうと比べると、だいぶ沈んでいる感じがします。家にいたときほど極端ではありませんが、躁と鬱の大きな波のようなものがあるのでしょうか。
いつものように食事を終えて、みんなでテレビをみながらくつろいで。それまではいいのですが、いざ部屋へ戻ってくると「はて」と途方にくれてしまうようです。
それでもまた一から、一人で暮らせなくなったからグループホームというところでみんなと暮らすようになって、お金は銀行から引き落とされているから大丈夫、といつもの繰り返しを言っていくと次第に落ち着いていきます。
2018年07月22日
リフレッシュ
日曜のきょう、朝8時ごろ、「朝ごはん、ごちそうになって、いま後片付けの手伝いをして来たの」と、ちょっと息をはずませながらも、すごく明るい声で、ねえちゃから電話がありました。
完全夜型の私は、熟睡中に起こされて、頭がややもうろうとしていましたが、ねえちゃは暑さも物ともせず、元気いっぱいの様子です。
「みんな忘れちゃうんだから、つまんないことでクヨクヨすることなく、いつもリフレッシュできていいじゃない」と、ときどき、ねえちゃに言うことがあります。
グループホームへ入って、ときおり「ここに居ていいの?」と分からなくなることはあっても、ある意味いつも新鮮で、明るい気持ちで、落ち着いて暮らせるようになりました。
認知症と暮らすということを、もっともっと積極的に考えていったほうがいいんじゃないかな、という気がこのごろしています。
2018年07月21日
2018年07月20日
オレンジカフェ
きょうも午後8時過ぎ、ねえちゃから電話がありました。さっきまでリビングでみんなでテレビを見て、部屋へ戻って来たところだといいます。
何かいつもと違うことあった、と聞くと、お見舞いに来てくれた長年親しくしているかたに昨日「オレンジカフェへ連れて行ってもらった」といいます。
オレンジカフェは、認知症の人やその家族、地域のかたたちとかが気軽に集まって、交流を深める場。認知症に関する国の方針を示した「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)にも認知症カフェの普及がうたわれています。
長野市では昨年度までに、16施設が開設されたそうです。いつものように、どこの施設でどんな話をしたかはみんな忘れてしまっていましたが、「オレンジカフェ」「オレンジカフェ」と楽しそうに何度も繰り返していました。
2018年07月19日
2018年07月18日
昔の記憶は
ねえちゃは、むかしのことはよく覚えています。グループホームの生活記録にも――
「アルバムを見ながら昔の事を話してくれる。戦地に行ったお兄さんや一緒に育った男の子の話など。昔の記憶は明確に覚えておられる」とありました。
70年も前の子どものころの記憶は鮮明なのに、どうして、きのうきょうのことはすぐに忘れてしまうのか。
それは「きのうきょう」のは、忘れるのではなく、覚えられないのだと考えたほうがよいようです。
記憶には長期記憶と短期記憶があって、子どものころ「覚えた」ものは長期記憶の“倉庫”にしまい込まれているので思い出せる。
けれど、認知症で短期記憶の働きが弱まると、「思い出せない」以前に「覚えられない」という状態になるというわけです。
2018年07月17日
2018年07月16日
お手玉
小さな布袋に小豆や米などを入れて縫い合わせて作る「お手玉」。
ふつう、歌にあわせたり、一定のルールのタイミングで放り上げたりして楽しみます。
お手玉らしき物を投げて遊ぶ女性が描かれた古代エジプトの洞窟壁画(約4000年前)が残っているとか。
元来、お手玉はありふれた遊びとして親しまれ、母から娘、孫へと、作り方や遊び方が伝承されたものだったそうです。
ねえちゃも、子どものときはお手玉で友だちとしばしば遊んだそうで、余った布切れを使ってはよくお手玉を作っているのを見た覚えもあります。
グループホームでも時折「お手玉のレク」をするようですが、ねえちゃは昔取った杵柄で「3個まで上手に扱えていた」そうです。
2018年07月15日
2018年07月14日
2018年07月13日
2018年07月12日
2018年07月11日
チラシ
実質的にグループホームへ引っ越して約4カ月。ねえちゃの自宅の固定電話にはほとんど着信はなくなりましたが、郵便受けにはチラシがたくさん入っています。
中でも多いのが「みちのく三大半島めぐり」とか「憧れのホテルで非日常の体験を」といった旅行関係のチラシです。
10年前くらいまでは、夫婦でしばしば温泉など旅行に出かけたねえちゃですが、夫が亡くなってからはぜんぜん出掛けようとしません。
いろいろ準備をしたり、気をつかわなければならない旅行は、基本的にあまり好きではないようです。
きのうも「人生の最後に海外一周しようとか、そういう気はないの?」と聞いてみましたが、まるっきりその気はないようです。
「ここでのんびり暮らして、親しい人だけでこじんまりお葬式をしてもらえれば、それで十分」といいます。
2018年07月10日
2018年07月09日
2018年07月08日
脳トレ
認知症の予防策の一つに、近年、脳トレが注目されています。クロスワードパズルをする人は、認知症の発症率を40%ほど下げるという研究もあるそうです。
さらに、チェス、将棋、囲碁、麻雀など人と向き合って楽しむゲームは、一人でやるパズルよりも、ずっと効果があると見られています。
映画を見るのも、自宅で一人でDVDなどで見るより、映画館へ出かけていって多くの人と鑑賞するほうが、認知症の発症率をより下げるのだとか。
人と対面したて何かをしたり、人を意識しながら生活することが、認知症を防ぐのにいいというのは、グループホームでみんなといっしょにテレビを観たりしているときのねえちゃの嬉しそうな様子からも、頷けるように思えます。
2018年07月07日
とうもろこし
きょうの午前中、ねえちゃのグループホームの責任者のかたから電話をいただきました。
事務的な話のほかに、この間、ねえちゃの親戚からホームへとうもろこしをたくさん送ってもらってみんなでおいしくいただいた、とお礼を言われました。
私は、そのことを知りませんでしたが、「ねえちゃの甥のあの人」だなと想像はつきました。
とうもろこしが届いたとき、ねえちゃは甥にお礼を言っていたようですが、当然のごとく、今晩、電話をしても「えっ!」と、そのことをねえちゃは全然覚えていません。
でも、「いま、みんなとテレビ観ているところ」と楽しそうでした。いい仲間やいい親戚に恵まれて、ねえちゃはいまとても幸せなんだろうなと思います。
2018年07月06日
「BAN2401」
エーザイなどが開発している「BAN2401」というアルツハイマー病治療薬に、症状の進行を抑える効果があることが、第2相臨床試験(治験)の大規模試験で確認できたそうです。
認知症の原因物質とみられている、アミロイドベータというたんぱく質が、脳内で減ることも示されたとか。
2012年~18年、日米欧など856人を対象に投与して、18カ月間の解析をしたところ、症状の悪化の抑制やアミロイドベータ蓄積の減少が確かめられたそうです。
第2相試験は、第1相試験で安全性が確認された用量の範囲で、薬剤を使い、薬の効き目、適切な投与量などを調べますが、実際の治療に近いかたちで確かめる第3相試験がまだ残っています。
2020年代の早い時期の発売を目指しているそうです。アミロイドベータを標的とする薬はまだ実用化されてはいないそうですから、アルツハイマー病を直接やっつける、新世代の薬になる可能性があるかもしれません。期待しましょう。
2018年07月05日
万引き
万引きで窃盗罪に問われた女性(87)に対して、アルツハイマー病を理由に福岡地裁が公判を停止する決定をしたそうです。
被告の女性は昨年6月、福岡市の食品店で324円の缶詰1個を盗んだとして現行犯逮捕されました。
簡易精神鑑定では認知症の症状がうかがえたものの、地検は刑事責任は問えると判断して起訴しました。
ところが、今年に入って行われた公判のなかで、被告は事件当日の一部の記憶がない様子だったため、地裁が今年3~5月に詳しい鑑定を実施。アルツハイマー型認知症と診断されて、刑事責任能力が失われていると判断されたといいます。
高齢者の認知症の問題が、交通事故だけでなくこうした刑事事件にも大きな影響を及ぼすようになってきています。
2018年07月04日
余裕
専門家によると、散歩は認知症予防の王道として知られているのだそうです。五感を働かせるので、ジムよりも屋外を歩くこと、特に自然の多い場所に出かけると効果は大きいのだとか。
歩いているときには、脳が活性化していいアイデアが沸いてくるので、ペンとメモ帳を持って思いついたことを書き留めたり、スケッチしたりする「余裕」があると、さらに効果が上がるのだそうです。
ねえちゃは散歩は好きですが、散歩に出かけても修行僧のようにただ黙々と歩くだけで、あっちを見たり、こっちに立ち寄ったりして楽しむという余裕がありませんでした。
でも、グループホームへ入って、家のことなどをひとりで心配することなく、いろんな人と話したり、いろんな体験をしたりできるようになって、話していても「余裕」が感じられるようになってきました。
2018年07月03日
居場所
夜8時くらいになると「ここに居ていいの」と、ねえちゃから毎日のように電話がかかってきます。
ねえちゃの人生で最も多くの時間を過ごした居場所は、毎日ごはんを作り、掃除・洗濯、お風呂を沸かして夫の世話をしてきた「家」です。
逆に、毎日ごはんを作り、掃除・洗濯、夫の世話をしてきたのが自分の居場所だった、とも言えるのでしょう。
グループホームで暮らすようになって3カ月余り。ここでは基本的に、炊事や掃除・洗濯を自分でやらなくてもなんとかなります。お風呂も、必要があれば入れてもらえることもできます。
そうした、いわば主婦としてやらなければならない仕事をほとんどせずにずっと居られる場所があるということが、いまだにアタマでも、カラダでも、飲み込めてはいないようです。
でも、「心配しなくてもいいよ」とひとこと言ってやれば、安心してすぐに眠りにつきます。
2018年07月02日
熱中症の半分
消防庁が発表した平成29年夏の「熱中症による救急搬送状況」によると、平成29年5月から9月の熱中症による救急搬送人員数の累計は52,984人。
このうち、満65歳以上の高齢者が25,930人と最も多く、全体の半分近く(48.9%)を占めたそうです。
熱中症というと、真夏の炎天下というイメージがありますが、実際は梅雨明けのころ、これからいよいよ気温が上がるという時期に発症のピークが訪れるそうです。
人間の体の大半は水でできているといわれますが、体重に対する体液の割合は、小児80%、成人60%、高齢者は50%と、年齢がかさむにつれて減る傾向にあるのだとか。
いわば「貯水率」が若い人より少ないうえ、とくに認知症高齢者となると、自分の体が水分不足になってきたというサインに気づくのが困難になります。
グループホームに入ったので今夏は安心ですが、昨年までのねえちゃは、そばに置いて飲むようにといくら水筒を用意しても、水を飲むことなんてすぐに忘れたままになってしまっていました。