Aokijima

「認知症」と「ねえちゃ」に関する覚書です

2018年06月

ねえちゃの介護保険証が、7月から更新となります。

昨年までは調査員のかたが自宅へ来られて、私の立会いで認定調査が行われました。

が、施設に入った今年からは、調査員の面接はグループホームにおまかせすることになります。

生活記録を見ると、実際5月10日に要介護度の認定調査が行われ、調査で生年月日や自宅住所など、きちんと答えられたそうです。

新しい介護保険者が、そろそろ、ふだんは誰もいないねえちゃの家にとどきます。

うまいこと受け取れるようにしなければなりません。

警察庁によると、認知症か、その疑いが原因で行方不明になったという届け出が、2017年は前年より431人多い1万5863人にのぼったそうです。

5年連続で1万人を超え、過去最多を更新したとか。2017年中に警察の捜索活動で発見されたのは1万129人。帰宅したり、家族らが見つけたのは5037人、死亡していたのが確認されたのは470人にも及んだといいます。

発見されるまでの日数は、届け出の受理当日が半数以上の72.7%で、自宅周辺などを徘徊し、遠く離れるところまではいなかったケースが多いようです。

一概に「徘徊」といっても、いろんな場合が考えられます。これからは、そのあたりも詳しく検討していく必要がありそうです。

きのうの夜、8時半ごろ、ねえちゃから電話がありました。

「あした家へ帰らなきゃならないのに、財布がないし、鍵も見当たらないし……」と、いつもの話をします。

「グループホームでは、お金は持てないの。財布はこっちで預かっているから」とだんだん説明していくと、「じゃあ、お金なくても、ずっとここにいていいんだね」と納得していきます。

こうした記憶の堂々巡りは相変わらずですが、一昨日の実姉や甥たち一家の来訪については、その直後よりは、いくぶんクリアに記憶がよみがえってきたようです。

「来たことは思い出した。姉さまたち4人で来てくれて嬉しかった」そうです。

5月分のグループホーム生活記録がとどきました。

通信欄には、「食材の下準備、食器洗浄、選択干し、花壇の水くれなど生活全般で職員の手伝いをして下さり大変助かっています」。

ただ、夜間、トイレに目覚めた後などにどうしてホームに居るのかわからず不安になる、という状態は相変わらずの様子。

それでも、スタッフのかたが説明すると納得して「不満や興奮されたりすることなく常に穏やかに対応してくれ」る、とありました。

きょうの午後4時ごろ、ねえちゃの携帯に電話をして「午前中、誰が来たの?」と聞くと――

「え~、誰か来たっけ」。

つづけて、「何か、すごいおみやげもらったんでしょ!」と聞くと、

「え~」といいながら、部屋へ確かめに戻ってみたところ「長野のおばさまへ」と書かれた、なじみの家や郷里の風景などの写真がいっぱい入っているアルバムがあったと驚いています。

午前中に、甥や姪、実姉たち一家が面会に来てくれたはずなのです。

いろいろ重ねて聞いていくと、はっきりとではありませんが、「車のところまで行って」とか「おばあさんもつれて来て」とか、面会のときの記憶の断片が少しずつ呼び覚まされてきたようです。

「だれだれが来てくれて、どんな話をしたか。断片でも一言でもいいから思い出したこと、みんな今日の日記に書いておいたら」というと、ねえちゃは「そうだね。がんばる」と積極的です。

大事な面会の大半は忘れてしまっても、穏やかでうきうきしたねえちゃの口調からすると、きっと、来てくれたみんなと、すごく楽しく、有意義な時間を過ごしたんだろうな、と察せられました。

満期が来ていたゆうちょ銀行の継続の手続きをして、洗剤やらティッシュペーパーやらゆうちょでくれたものを持って、午後4時少し前、ねえちゃのグループホームに行きました。

きょうは、ねえちゃはホームの行事で、善光寺参りに行ってきたのだそうです。おみやげに買ってきたという「開運招福お守入おみくじ」をもらいました。

おみくじには「実」とあり、運勢は末吉。

「実力よりほんの少し背伸びしてみる どうなりたいかが大事 自分にもっと期待してみよう 実りの秋はもう近い」と、ありました。

2週間ぶりに長野の家に行こうと地下鉄で移動していると、午後1時半ころ、グループホームのねえちゃから携帯電話がありました。

特に用事はなさそうですが、半分、お昼寝に入っているのか「これから家へ帰らなきゃ。準備しなくちゃ……」とかなんとか、わけのわからないことを言います。

あしたは私、あさってはねえちゃの実姉の一家が、グループホームを訪ねる予定です。が、自分がどこに居るのかあやふやになり、夢かうつつか、家で迎える準備をしなきゃならないと思ったようです。

2週間ぶりに家の郵便受をあけてみると、いろんなチラシや郵便、ご近所で改修工事が行われることの伴う粗品のタオルなどかなりいっぱい入っていました。新聞は、無し。ようやく配達ストップが徹底されたようです。

アルツハイマー病が悪化する最大の原因は、いわゆる「エピソード記憶」の減少だといわれています。

エピソード記憶とは、特定の出来事を起きた順序で思い出せる能力のこと。それがあるからこそ、私たちは過去の経験を頭の中で再生して思い出すことができわけです。

アルツハイマー病の患者が、わけのわからない記憶の断片に振り回されるのは、過去の出来事を順序立てて思い出すことができなくなることによるのです。

ニューズウィークによると、米インディアナ大学の研究チームは、ラットに対して異なる匂いを順序通りに覚えるよう訓練し、出来事が起こった順序で記憶する能力があるかどうかを検証しました。

すると、ラットは実験全体の9割近くで正解したのだそうです。こうした結果は、ラットがエピソード記憶を再生できることを示す有力な証拠と見られるのだとか。

さらに、こうした記憶は長続きし、他の記憶の介入による影響を受けにくいことも分かったそうです。

この研究を活用すれば、アルツハイマー病で起きる障害をより正確に動物実験で再現でき、動物で有効だった新薬が人間では効かなかったという失敗も減らすことができることになります。

それにしても、あの小さなラットの頭でもやっていることが、人間の頭でできなくなるというのは、なんともやり切れない思いがしてきます。

認知症で最も多いのは、アルツハイマー病です。アルツハイマーというのは、この病気の症例を学会で初めて報告したドイツの神経病理医アロイス・アルツハイマー(1864-1915)にちなんでいます。

このアルツハイマーの誕生日である「6月14日」が、今年から「認知症予防の日」として、認知症予防の大切さをより多くの人に伝えるための記念日になったそうです。

「認知症予防の日」制定を記念してあす10日には、申請していた日本認知症予防学会が主催する記念式典が東京で開かれるとか。

アルツハイマーが「大脳皮質の特異な疾患について」という論文をまとめて第37回南西ドイツ精神科医学会で発表したのは1906年11月のこと。

それから112年。一人の医師が見つけたこの病気は、遠い極東の国でも記念日になるほど、社会的にも、重大な意味を持つようになっているのです。

きょうの夕方、ねえちゃの甥から私のところへ電話がありました。来週の水曜日にグループホームへ、ねえちゃの「姉さま」をはじめ4人で見舞いに行くということでした。

「姉さま」は、ねえちゃより11歳年上。昨夏、脳梗塞で入院し、その後は長野県南部の山里でリハビリをつづけています。

「兄弟姉妹で生き残ったのは2人だけになっちゃったんだから」と、ねえちゃは姉にひときわ会いたがっていました。待ちに待った久々の対面が出来ます。

当日は、外出の行事は特に無いようです。来ること忘れないように、来週の水曜日に来ること日記帳に書いておくように電話でいうと、何のことかイマイチ理解できていないようではありましたが「すぐ、日記に書かなきゃね」と、応じていました。

2017年3月12日施行の改正道交法で、75歳以上が免許更新時などに受ける認知機能検査で「認知症の恐れがある」と判定された場合、医師の診断を受けることが義務になりました。

この改正道路交通法施行から1年余りが経ちましたが、この間に「認知症の恐れがある」と判定された57000人のうち4割が、免許の自主返納などで運転をやめたそうです。

そのうち、認知症の診断を受けて免許取り消しや停止となった人は1892人で、2016年の3倍に及んだそうです。

高齢ドライバーによる事故が問題視されるなか、検査がきっかけで自主的にハンドルを握るのをやめる高齢者が増えているのはいいことだと思います。が、まだまだ十分というにはほど遠い気がします。

歳を重ねると、顔や肌のシミが目立って愕然とさせられることがあります。歳を取ると脳のシミも増えてきます。大脳皮質など神経細胞のまわりにできる「老人斑」です。

老人斑は、主成分がβアミロイドと呼ばれるアミノ酸40個前後からなるたんぱく質で、正常な老人の脳にも見られますが、アルツハイマー病患者の脳内では異常なくらいたくさん沈着しているそうです。

βアミロイドは21番目の染色体上にある遺伝子から作られ、特殊な早発性家族型アルツハイマー病では、この遺伝子の突然変異が知られているとか。

ねえちゃは年齢の割に顔や肌のシミや皺が少なく、若く見えるとよく言われます。が、頭のシミのほうは年齢なみ、あるいはそれ以上になってしまって来ているようです。

「おばあさん、どこにいるの?。ここに居ていいの?」。きょうの夜8時40分ころ、ねえちゃから電話がありました。

いつもよりもやや遅め。だいぶ眠そうな声ですが、「のんびりそこで暮らせばいいの」と言うと、それなりに安心して眠りにつきました。

ゆうちょ銀行から「ニュー福祉定期貯金の満期のご案内」なる郵便が届いていて、あしたが満期です。

毎年、郵便局の営業の人らしき(やや物騒な感はしますが)、が来て、通帳やハンコを渡して手続きしていました。

が、グループホームへ入ったため今年からはそうもいきません。継続預入の取扱いができない定期のようです。

むろん話しても、ねえちゃは何がなんだかわりません。ゆうちょ用の委任状をダウンロードしてねえちゃに記入してもらい、近々、私が代わりに手続きにいく必要がありそうです。

ねえちゃの介護サービス計画によると、介護サービスの内容の一つに「不安や心配事がある時は傾聴し、安心して過ごせる様支援する」というのがあります。

家にいるときのねえちゃの「不安や心配事」といえば、きょうの夕食は何にするか、お風呂をどうするか、からはじまり、日常のあらゆることが不安であり、心配事でした。

しかしグループホームへ入ってからは、電話で「不安とか心配とか嫌なこととかない?」と聞いても、「ない。頭がバカなだけ」と答えるのがふつうになりました。

次々忘れてしまうので、「ここに居ていいの」としばしば戸惑うことはあっても、家にいたときのような不安や心配はほとんどなくなったようです。

それは、不安や心配事を傾聴してくれる人がいつもそばに居てくれる状態になった点が大きいのでしょう。おかげで表情も実におだやかになりました。

「今日の天気、どうだったっけ?」

グループホームへ入ってからもねえちゃは、スタッフのかたに、しばしば聞くそうです。

日記をつけるときに、毎日、書かなければならないからです。

別に認知症でなくても、家に一日閉じこもっていると天気が定かでないことはよくあります。

ひとりで家にいるとき、ねえちゃは、人が通らないかと、しじゅう窓から外を眺めていました。

けれど、グループホームへ入ってみんなといろいろやっていると、ポカンとひとり空を眺めている暇もなくなってきました。

そういったことも関係あるのでしょうが、ともかく、一日、一日、「きょうの天気」を確かめながら生きていられる、というだけでも、日記をつける効用はありそうです。

ねえちゃの毎日欠かせない日課は、血圧を計って手帳手帳に折れ線を書くことと、日記をつけることです。

家にいるときは、夜寝る前に、血圧を測って日記をつけて、という作業をいっしょにやっていましたが、グループホームへ入ってからは、血圧は午前中に測るようになりました。

そのため戸惑って、夜、ときおり「血圧計がない、どうしよう」と電話をかけてくることもあります。

グループホームへ入ってから、食事の下ごしらえや食器洗いをするといった「仕事」もやらせてもらっています。

それから、ホームの行事でお花見に行って団子を購入したときに団子代を代表して払ったりといった「仕事」もさせてもらっているそうです。

ホームにそれなりに役立ってみなさんに喜んでもらうのが、生きがいにつながっているようです。



ビタミンCがアルツハイマー病による認知症を発症するリスクを下げる可能性があることが、金沢大学の研究で分かりました。

研究者たちは2007~08年に、石川県七尾市で認知機能が正常な65歳以上の人の血液を採取。 アルツハイマー病発症の危険を高めるタンパク質を持つかどうかと、血中のビタミンC濃度を検査しました。

さらに2014~16年に、このタンパク質をつくる遺伝子を持つ女性47人を調べたところ、ビタミンC濃度が高い16人は、低いか中程度の31人に比べ、認知症や軽度の認知障害を発症した割合が際立って少なかったそうです。

ビタミンCの多い食品といえば、かんきつ類やイチゴ、野菜、いもなど。新鮮な果物や野菜は、認知症予防にも期待されるのですね。

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