Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する記録です

2017年08月

古い日付から

毎週、月曜日は、生協からねえちゃの一週間分の食料が届く日です。昼食後、パジャマから普段着に着替えるようにうながして、午後3時ごろ、受け取りをしました。

このところ毎週とうもろこしを頼んでいます。が、先日はゆでるのを忘れていて届いて5日後にゆでたら甘みがすっかり無くなってしまいました。

まずは「届いたとうもろこし5本を、きょう中にゆでてしまうこと」。それが、ねえちゃの差し迫った大仕事です。

認知症が進んできてねえちゃ。食欲は相変わらず旺盛ですが、消費期限や賞味期限にますます無頓着になってきました。

先週たのんだ煮物のおかずが、まだ冷蔵庫の中に少し残っています。パッケージを見て古い日付のものから順に食べていくこと。それが次の課題です。

準々決勝

日曜日、ねえちゃはいつものようにパジャマ姿で、ソファーに座ってぼんやりとしています。

これといって観たい番組があるわけではありませんが、このところテレビはたいてい高校野球にチャンネルが合わせてあります。

「野球のルール知ってるの?」と聞くと、「分らんけど、打って、守って、点数が多いほうが勝ちで……」

きょうは、甲子園大会でもっとも面白いといわれる準々決勝です。「ああ、仙台育英と広陵がやっているんだ?」。

少しは分かっているのか、どこか興味をひくところがあるのか。と思っていると、すぐにソファーでうとうと眠り込んでしまいました。

「相撲か何か……」

土曜日のデイサービスがはじまりました。きょうが何曜日かなんてほとんど眼中にないねえちゃは朝、ゴミ出しをした後、たまにある拒絶反応を起こすことなく無事に行って帰って来ました。

――きょうは何をしたの?
「ただ、ごろごろしていただけで、何やったか忘れちゃった」

――お風呂は入ったの?
「お風呂は入った、と思う」

――昼食は何が出たの?
「食べたことも忘れちまった」

――水曜日と何か違ってた?
「いや、何も変わったことは……」

と、いつも通りです。ただ、「相撲か何かいまやってるでしょ!」と、妙なことを繰り返して言います推し量るに、どうも、デイセンターかどこかで高校野球をテレビ観戦し、それが頭のどこかに残っていたようです。

契約

「要介護」になり、これから週2回、デイサービスセンターへ通う諸々について契約を交わすため、ケアマネ、理学療法士、相談員の女性3人がきょうの午後、ねえちゃの家へ来られました。

今週から水曜日と土曜日の週2回になるデイサービスですが、土曜日のほうは専門家の指導によるリハビリテーションや運動指導に力点が置かれるのだとか。水曜日は1階で、土曜日は3階と、場所も違うようです。

契約を交わすのに印鑑が必要だからとねえちゃに頼んでおいたのですが、何を思ったか用意していたのは亡き連れ合いの印ばかりです。とりあえず代用を探して押印した後、いつも使っているのを探し出すのにまた一苦労しました。

誰かが来ると調子よく言葉を弾ませるねえちゃですが、いつものようにすぐに何が何だかわからなくなってしまいます。誰かが来たことも、すぐに頭から消えてしまいます。でもまあ、とにかく、明日から新たなリハビリが始まります。

発見

七回忌で集まった家族が帰ってからここ数日、電話のたびにねえちゃは「血圧手帳がない。血圧手帳がない」と騒いでいました。

だれかが来て、ちょっと片づけをしたりすると必ず何か“行方不明”のものが出現するのは、いつものことです。

きょうの夕方、ねえちゃ宅へ行くと、まだ「血圧手帳がない」という“緊急事態”は、続いていました。

おそらくあのあたりにあるだろうな、と見当をつけているところがあります。ねえちゃの寝室の、あれこれ物置にしている卓袱台の上です。

衣類やら新聞やらが山になっているのを掘り起こしてみると、いつもメモに使っているノートといっしょに血圧手帳が出てきました。

「なんで東京にいる人のほうが、どこに何があるのか分かってるんだろう?」と不思議がりながら、行方不明になっていたあいだ日記帳につけていた血圧の数値を、出て来た血圧手帳に、うれしそうに書き写していました。

松井潤
matsuijun@jg8.so-net.ne.jp
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