Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する記録です

2016年10月

田部井淳子

ラグビーの平尾誠二さん、俳優の平幹二朗さんと、有名人の訃報が続いています。

ねえちゃにとって、特にショックだったのは登山家の田部井淳子さんの死だったようです。

1975年に、女性として世界で初めてエベレストに登頂。92年には、これも女性で初めての7大陸最高峰登頂を達成しました。

こうした世界的な大活躍だけでなく、北アルプスなど信州の山々でも、年齢に応じた地道な登山を続け、その楽しみをみんなに伝えてくれました。

ねえちゃも、テレビや新聞でしばしば目にする田部井さんの信州での活動に好感を抱き、尊敬していたようです。

そういえば私は、植村直己さんの最後の遠征になったマッキンリーへ向かう直前に、長野市で開かれた植村さんの講演を聞いたことがあります。

その時、植村さんにサインをしてもらい自慢げに見せた本のことが、いまも記憶にしっかり残っているとねえちゃはいいます。

ラ・フランス

先日、親戚から送ってもらったというラ・フランスのいくつかが、熟しすぎて食べられなくなってしまったとねえちゃは嘆いてます。

ラ・フランスはフランス生まれの洋梨。外観は不格好ですが、上品な香りに濃厚な甘み、なめらかな舌触りが何ともいえません。

原産のフランスでは気候が合わず、ほとんど生産されなくなったそうですが、日本では盛んに栽培されていて、長野県は山形県に次ぐ産地です。

送られてきたときにはまだ実が堅くて甘味もなく、おいしくはありませんでした。そのあと少しずつ柔らかくなるのを楽しみながら食べていました。

「あと1週間くらいでいちばん美味しくなるね」と、ねえちゃといっていたのですが、それを忘れていた間に一気に熟しすぎてしまったようです。

「赤ん坊の頬くらいの柔らかさになったとき」が食べごろだったようですが、いったん食べごろを迎えると一気に熟成が進むという、食べるのもなかなか難しい梨なのです。
 

ピルケースにふた

認知症が進んでいる一人暮らしのねえちゃにとって最も難題なのが、毎晩一回決められた薬をきちんと飲むことです。

15の部屋(セル)に分かれたピルケースに、それぞれ日付と曜日を書き込んだラベルを貼る。そして、そのケースをテーブルの、ねえちゃが座るところにくっつけて置く。

この方法でなんとかやってきたのですが、最近は夕食後にその日の分の薬を飲んで寝たあと、未明の2時か3時にトイレに起きたときに、また飲んでしまうことが増えてきました。

しょうがないので応急措置として、段ボールの切れ端に「今夜の薬はもう飲んだ」とマジックで大きく書き込んで、寝る前に薬を飲んだらこの切れ端を、ふたのようにピルケースに被せて置くように習慣づけることにしました。

とりあえず、今晩分の薬を飲んだ後、自分で字が書かれたこのふたをケースにのせて床に就きました。

はたしてうまくいくかどうか。将来的には毎日、その日の分の薬を届けてもらうようなサービスを利用しなくてはなりそうですが。
 

食べたものを書く

ねえちゃは、やったことを次々に忘れていきます。

ケアとか病院とか、最近はけっこうやることが多いのですが、日記には、きょうも何もやらずに過ごした、といった同じようなことを毎日書くだけです。

ずっと家にいたって、ご飯も食べるし、電話が来たりもします。昔、正岡子規が「病床六尺」でつづったように、その日に食べたことを書くだけでも、すごい日記になるんだから……。

そんな話をして、ノートに「昼には、あんまん、あんぱん、青汁入りの牛乳、ふで柿1個、みかん1個」などと試しに書くようにしてみました。

加えて、「きょうは薬を飲んだのでもう飲まない」とかもノートに書かせて、何かわからなくなったら常にノートを見て、何かあったらすぐノートに書くこと、と念を押しました。

けれどやっぱり、「きょうは何を食べたっけ」「薬を飲まなきゃ、どこへ行ったっけ」が、またすぐに始まります。

病院チェンジ

高血圧の薬を処方してもらうため、ねえちゃが長年通ってきた街の総合病院の予約を取り消して、今後、ここへの通院をやめることにしました。

アルツハイマー病の治療をしてもらうことになった自宅の近くの脳神経外科で、血圧の薬の処方も含めて一切をまかせることにしたからです。

街の総合病院だと、往復でタクシー代が5000円くらいはかかるし、予約した日時にきっちり行かなくてはならない。それでも長時間待たされます。

自宅の近くの脳神経外科なら、歩いて15分くらい。好きな時に予約なしで行けて、そんなに待つこともなく、先生にいろいろ相談にのってももらえます。

しかも、大型ショッピングセンターもすぐそばにあります。

それに、タクシー代の5000円がかからないから、その分おいしいものを買うことが出来ます。食欲だけはすこぶる旺盛なねえちゃにとっては、願ってもないところなのです。

松井潤
matsuijunta@gmail.com
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