Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する記録です

2016年05月

下山ダッシュ

3日後に迫った、実家での法事に出かけるねえちゃ。郷里へ帰るときはこのところ高速バスで近くまで行って、親戚に車で迎えに来てもらうパターンが多かったのですが、今回は久しぶりに飯田線に乗るつもりでいます。

飯田線は、愛知県の豊橋と長野県の辰野を結ぶJR東海の鉄道路線。開業は1897(明治30)年で、総延長195.7キロの路線に94の駅があります。

新幹線の拡大など急ピッチで高速化が進む時代にありながら、一時間に1本以下、天竜川の険しい渓谷を縫うように、いまも豊橋から辰野まで約6時間かけてノンビリと走っています。

飯田線のちょっとした名物に“下山(しもやま)ダッシュ”なるものがあるそうです。

飯田駅をはさんで伊那上郷駅から下山村駅までに五つの駅ありますが、その間、線路はゆっくりとオメガカーブを描いています。

そのため列車に乗ると13分〜20分かかりますが、伊那上郷と下山村の実際の直線距離は2km程度に過ぎません。なので、この間を全力で走る(下山ダッシュをする)と、列車よりも早く着くことができるのです。

伊那上郷が最寄り駅の飯田高校では、乗り遅れそうなときや列車代の節約のために、むかしから下山村駅で乗り降りして“下山ダッシュ”で登校していた生徒がいるとか。

ねえちゃが通っていたのは別の高校だったので“下山ダッシュ”をした経験はないようですが、「そんなふうに走って通ってるって聞いたことある」そうです。

 

新「長野駅」

北陸新幹線の開業、それから善光寺の御開帳にあわせて、昨年の3月、長野駅がリニューアルオープンしました。

もう1年以上になりますが、街へ出ることがほとんどなくなったねえちゃは、いまだ新しい駅ビルを見ていません。

ただ、以前の駅ビルにあった大好きなおやき屋さんが、建て替えのときに「どこかへ行ってしまった」のが気になってしかたがないようです。

「新しいビルになって、あのおやき屋さん、駅のどっかでやっているんだろうか?」

私にとっての長野駅というと、いまでも善光寺を連想させる「仏閣型」の駅舎が頭の中にあります。

1936年の善光寺御開帳に合わせて建てられたもので、撞木造りと唐破風を取り入れたデザインが全国に知られていました。

お寺の中にいるような趣のある駅のホームで、立そばをフーフーいいながら食べるのが楽しみでした。

長野冬季オリンピック開催に合わせて新幹線の開通することが決まり、1996(平成8)年、思いで深い仏閣型駅舎は取り壊され、近代的なデザインの橋上駅舎に改築されました。

昨年の更なるリニューアルで、お寺っぽさとは正反対の、いっそうスッキリした美しいデザインの都会的な駅ビルに生まれ変わりました。

けれど「仏閣型」ファンの私には、首都圏のどこにでもあるステレオタイプの駅舎のようで、何となく物足りないものを感じるのです。

松代地震

熊本地震のニュースが流れるたびに、ねえちゃは「ほんとうに、気の毒に……」と、心配そうに繰り返します。

最大震度7を観測してから、1カ月半になるというのにいまだに余震がつづいています。

ねえちゃは、これまでに熊本地震のような大地震を直に遭遇した経験はありません。しかし、いま住んでいる地域では、半世紀前、世界的にも稀有な長期間にわたる群発地震が起こったところとして有名です。

1965年(昭和40年)8月3日から、約5年半もの間続いた松代群発地震です。震源地は皆神山付近で、総地震数は71万1341回。うち有感地震は6万2826回を数えました。

震源の深さはごく浅く、群発地震での総エネルギーはM6.4に相当するとされます。

道路の地割れや住宅の損壊、液状化、湧水などが起こり、総被害は負傷者15、家屋全壊10戸、半壊4戸、地滑り64件。

ひっきりなしに発生する地震によって、ノイローゼを訴える住民も少なくなかったそうです。地震の前後で最大約1m隆起し、付近には松代地震断層が見つかっています。

群発した理由としては、地下深部の高圧な地下水が、割れ目に沿って上昇・拡散する過程で岩石の破壊強度を低下させて地震を引き起こすという水噴火説が、有力だとか。

5年半にもわたるこの群発地震は、中央隆起帯西縁に沿って発生してから、南西-北東方向に震源を拡大させながら活動は低下していったそうです。

なんとなくですが、今度の熊本地震とどこか似たところがあるような気もします。

天竜峡

ねえちゃの実家の法事も1週間後に迫ってきました。ねえちゃはそのため、近所の奥さんに車に乗せてもらって、美容院へ行きました。

今度の旅行では、高速バスとJR飯田線を乗り継いで、天竜峡まで行く予定です。「天竜峡の駅に下りるのは、高校生のころ以来」と、ねえちゃは楽しみにしています。

天竜峡は、暴れ川と言われる天竜川が切り開いた絶壁つづきの渓谷。花崗岩の岸壁にはアカマツやモミジが自生し、ちょうど今ごろは新緑が見事なはずです。

こうした景観を、船上から楽しむ舟下りでも知られています。

天竜峡温泉港から唐笠港まで大岸壁や奇岩など渓谷美を眺望できる天竜ライン。それから、天竜峡の上流の弁天港から時又港までの天竜舟下りです。

伊那節にも、「天竜下れば しぶきに濡れる 持たせやりたや 持たせやりたや 桧笠」と歌われています。

1989年には、天竜峡温泉も湧き出しました。久しぶりの天竜峡、ねえちゃの目にはどんなふうに映るでしょうか。

 

バスタ

東京から青木島のねえちゃの家に行くとき私は、もっぱら高速バスを使うようになりました。

新幹線で行くと、長野駅に着いてからバスかタクシーに乗り換えて、かなり時間や手間がかかります。

けれど高速バスなら、長野インターからまもなくの「しもひがの」という停留所で降りれば、歩いて10分ほどでねえちゃの家です。

この4月、新宿南口に「バスタ」が開業しました。それまで長野方面行きは、新宿西口なった古いターミナルから出ていましたが、立派な「バスタ」ビルの3階から出発するようになりました。

これまで新宿駅周辺19か所に分散していたバス停留所を、1カ所に集めたというバスタ。

バスタの中はいつも乗客でごった返している感はありますが、JRの南口に直結しているので、場所は格段に分かりやすく、交通の便も良くなりました。

高速バスだと長野まで3時間半ほど。新幹線の2倍くらいかかりますが、料金は半分以下と手ごろです。

バスにはカーテンで仕切られた個室的な席もあり、Wifyiも使えて、なかなか快適です。

それに、日本三大奇景の一つとされる妙義山が見渡せる横川サービスエリアで一服できるのも楽しみです。

松井潤
matsuijunta@gmail.com
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