Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する記録です

2016年03月

御嶽海は勝ち越したけど……

一日中パジャマのことが多い「ねえちゃ」ですが、起きてくると、ときどきテレビのスイッチを入れて眺めています。でも、ただボケッと眺めているだけで、何かの番組に興味を持っているという感じではありません。

大相撲の春場所もいよいよ大詰めですが、優勝の行方とか、綱取り、といった話をしてもぜんぜん関心がないようです。

大鵬、柏戸はまあ分かるにしても、現役で顔と名前がかろうじて一致するのは白鵬くらい。琴奨菊も稀勢の里も知りません。

地元、長野県から47年ぶりに生まれた関取として、みんなが期待を寄せている御嶽海も、「名前は聞いたことがある」という程度だといいます。新聞の1面で毎日、御嶽海の勝敗が大きく報じられているのですが……。

大の相撲好きの私は「ねえちゃ」のあまりの無関心さに少々いら立って、「御嶽海の顔が分からないなんて、“しなのの国”を知らないようなもの。自分が長野県人だと言う資格はないんだよ!」と声を荒げたりしても、きょとんとしているだけです。

もちろんプロ野球が開幕したなんて「ねえちゃ」の頭の中にはありません。覚せい剤で大騒ぎの「清原」という名前を耳にしても「そういえば、居たよね」というだけで、それ以上なにも出てきません。

ニュースやスポーツ以上にほとんど観ないのがテレビドラマです。NHKの朝の連続ドラも、大河「真田丸」も、まったく無関心です。

どんな番組でもいいから興味を持って、毎回ストーリーを追っていくようになってくれれば、「頭の体操」になるのではと思い、「ご飯食べながら毎朝15分間観るようにしたら」とか言っても、ぜんぜん効き目はありません。

観たいテレビもない。だから、「なにもやることがない」という「ねえちゃ」の悩みは深まっていきます。

2勝3敗

一昨日、行く直前になって突然キャンセルしてしまった歯医者さん。どうにか電話をして、1週間後の31日の予約を取りました。

これまで直前になって3度もキャンセルしたので、歯科の受付の人から大丈夫ですかと念を押されたのか「いまのところ行けると思いますが……」と、「ねえちゃ」はイマイチ自信なさげでした。

なぜか分からないけれど突然「登校拒否児」に変身したように、直前になると「行けない」と頑なに言い出す「ねえちゃ」。

近ごろではほとんど唯一の外出先となった歯医者さんには、これまで2回診てもらって、3回キャンセル。2勝3敗、それでもイチローの打率を上回る、4割の成績です。

最近の「ねえちゃ」としてはまずまずといえるかもしれませんが、けがに苦しむ照ノ富士だってカド番を脱したのだから、少なくとも「勝ち越し」はしてもらいたいもの。

というのも、親せきの結婚式に行く、という当面の大目標が2週間後に迫っているからです。

今回の3度目の歯医者さんキャンセルで、「こんなんじゃ、結婚式は迷惑かけるばかりだから断ろうか」と弱気な言葉が「ねえちゃ」から漏れはじめました。

「結婚式に出席するんだ、と固く考えることはないんで、たった一人の姉さんと久しぶりに、言いたいこと喋りまくりに行けると思えば、楽しいじゃん」と話すと、少しは気持ちのベクトルを変えることができたようです。

ですが、美容院へ行ったり、着ていくものを決めたりと、「ねえちゃ」にとってはすこぶる高いハードルが、これからいくつも待ち構えているのです。

気まぐれ

「ねえちゃ」の歯医者さんの予約は、きのうの午後2時30分になっていました。

ひと騒ぎしてようやく見つかった、現在有効な「黄色い保険証」と診察券を、忘れないようにテーブルの上に揃えて置いてあります。

「まだ、1時間くらいあるね」

と、行く気になっているように見えたので、パジャマを着替えて、きのうの散歩のようにスムーズに出かけれられそうだとホッとしてました。

ところが、予約の時間になっても「ねえちゃ」が出掛けた様子がありません。

「どうしたの。行かなくていいの?」と聞くと、まだパジャマのまま「何となくふらふらするような気がして、断りの電話を入れた」と答えます。

いつものように、熱もなければ、血圧の異常もない、食欲も十分ある。居間でテレビを眺めていて、横になる必要もなさそうです。

ハタから見ていると「気まぐれ」としか思えない、いつもの「直前キャンセル」でした。

パジャマを着替えるのが面倒になったのか、登校拒否のような反射的な拒絶反応なのか、急に「鬱」が襲ったのか。

しばしば周りを驚かせる、病的とも思える「豹変」です。

なんのために苦労して「黄色い保険証」を探したのか。

とにかく、あした起きたらパジャマを普段着に着かえて、歯医者の予約を取ること。そう約束をしましたが、果たしてどうなることでしょうか?

5000歩

「ねえちゃ」の携帯電話は、シニア向けの「らくらくホン」です。連れ合いが亡くなった直後の4年ほど前に買い替えて、けっこう気に入っているみたいです。

だいぶ使い込んできたので「それそろスマホにでも替えたら」と聞いても、「とてもそんなの使えないからだめ」と受け付けません。

とはいえ、めったにかかって来ないので電話として使うことはあまりありません。以前はメールを打つこともありましたが、最近は、面倒になってきたみたいです。

現在、もっぱら「使い込んで」いるのは「歩数計」の機能。トップ画面に大きな字で出てくるようになっていて、珍しくリセットの仕方も忘れずに覚えています。

以前、毎朝、散歩を欠かさずに続けていたころは、携帯に目をやりながら「8000歩以上」の目標をきっちりクリアするように気を配っていました。

しかし最近では、8000歩以上歩くところまで行くと、迷って帰り道が分からなくなる、というような事態がしばしば発生するようになり、散歩するのがおっくうになりつつあります。

「暖かくなってきたのだから、目標の結婚式出席を達成するためにも、パジャマを着替えて外へ出てみたら」と言うと、きのうは午後になって散歩へと出かけて行きました。

比較的はやく帰ってきたなと思ったら、「携帯」の表示は5563歩。本人も「迷わなかった」と満足そうです。これからは、5000歩をメドに無理をせずに歩くのがベスト。そんな気がしています。

 

お彼岸とおやき

「ねえちゃ」はきのう、めずらしく午前中からパジャマを着替えて、「花を買って来る」と散歩がてらスーパーへ出かけました。

一昨日の夜、半額セールのおはぎを買って帰ったら、「そういえばお彼岸だったね」と、ハタと気が付いたようです。

お彼岸なのに、仏壇の花がしおれかかっているのが気になってしかたがなくなって、黄、紫、ピンクなど、「うちの仏壇に置けるような小さなお花」をいくつか買って来たのでした。

花といっしょに「ねえちゃ」は、ナス、野菜、小豆、野沢菜などの「おやき」をたくさん買ってきました。

おやきは、小麦粉や蕎麦粉を水で溶いて練り、薄くのばした皮で野菜や小豆などで作ったあんを包んで焼いた信州ならではの食べもの。形はふつう円形で、8センチくらいのが一般的です。

「ねえちゃ」によると、お彼岸に、長野では、「なぜかわからないけど、みんなでおやきを食べる」ことになっているんだそうです。

彼岸会は、サンスクリット語の「波羅密多」から来たもので、煩悩と迷いの「此岸(しがん)」の世界にある者が、「六波羅蜜」(ろくはらみつ)の修行をすることで「悟りの世界」すなわち「彼岸」の境地へ達することが出来る、というものだそうです。

お彼岸に限らず、何かあれば、おやきを食べている「ねえちゃ」のことです。きっと「彼岸」の境地へいくことができるでしょう。

 

松井潤
matsuijunta@gmail.com
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