Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する覚書です

2016年03月

菜花

「ねえちゃ」の家の近くには、畑やリンゴ園がたくさんあります。夫が亡くなった5年前の少し前まで、そんな農家から畑を借りて2人で家庭菜園をやっていました。

長ネギ、ニンジン、じゃがいもなど、「なんでもかんでもいろんな野菜を作っていた」そうです。

そんな家庭菜園で穫れたのか、きのう、親しくしていただいている近所の奥さんから「菜花(なばな)」をたくさんいただきました。

詳しくは知りませんが、「菜花」というのは「菜の花」と同類のアブラナ科の野菜で、若くてやわらかい花茎や葉、つぼみを食用にします。

菜の花というと、春、一面に黄色い花を咲かせる花畑を思い出しますが、菜の花はアブラナ科の黄色い花の総称で、正式な植物名ではないようです。

その仲間には、普通に「菜の花」と呼んでいる観賞用のほか、菜種油用のナタネ、野菜として食用にする菜花などがあります。

頂戴した菜花。さっそく茹でて、花かつおをたっぷりかけていただきました。

滑るような舌触りと確かな歯ごたえ、何ともいえない若干のほろ苦さも加わって、最高の味わいでした。ごちそうさま。

クンシラン

ねえちゃは、植物が大好きです。小さな庭ですが、以前はいろんな花を植えていました。

10年少し前まで、押し花教室に通っていました。いまでも、そのとき作ったなかなか見事な作品が、変色することもなく額に入れて飾ってあります。

きのう、いつも「宅食」を届けてくれる女性が、玄関に入るなり「ベランダの花、きれいに咲きましたね。なんていう花なの?」と尋ねていました。

「クンシラン(君子蘭)だと思うんだけど。今年もだいぶ暖かくなって」とこたえながら、「ねえちゃ」も春の訪れを実感したようでした。

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クンシランは、ランではなくてヒガンバナ科の園芸植物。南アフリカ原産で、肉厚の葉とオレンジ色の花が魅力的です。花言葉は「情け深い、誠実」。

庭に面した陽がよく当たるベランダに置かれた鉢植えのクンシランを、いつごろから育てているのか。「ねえちゃ」の記憶からはすっかり消えてしまっていました。

でも、寒さに弱く、越冬温度は5℃以上が必要といわれるだけに、今年も無事冬を越えて花が咲くのを見ることができて、ほっとしたみたいです。

暖かくなって土の表面が乾いてきたら、水をたっぷり与えたり、肥料や植え替えのことも考える必要が出てきそうです。そういた「手入れ」、忘れずに続けられればいいな、と思います。

賞味期限

「ねえちゃ」は、食べ物の消費期限、賞味期限をあまり気にしません。

冷蔵庫の中には、とっくに賞味期限が切れた納豆やおやき、消費期限が切れたハム、マヨネーズなどなど、いっぱい入っています。

円柱のアルミケースに入った七味唐辛子にしても、辛みも風味もほとんど消えて、ソバにかけてもまるでただの粉をかけているような感じ。

さすがの私もこれではたまらないと、袋入りの七味を買ってきて入れ替えました。

たとえば納豆にしても「もともと腐ってるんだから、ちょっとくらい過ぎたって大丈夫」というのが「ねえちゃ」の理屈です。

「それは理屈になってないんじゃないの」と言っても、持論は変えません。

冷蔵庫も普及していないむかし、物の少ない山ばかりを転々としいた「ねえちゃ」。

お店でカビの生えたパンが売られていることなどザラで、買って帰ってカビを落として食べていたことも日常的でした。

いまでは、そんなのはお店としても許されないことでしょうが、「ねえちゃ」の若いころは、まだまだ物の無い時代、食品衛生の意識が十分ではありませんでした。そんな時代をがんばって生きて来たのです。

最近はそういうのに加えて、物忘れがひどくなったため、何を買ってきたのか、冷蔵庫に何が入っているかといたことも、すぐに記憶から消えてしまいます。だから、賞味期限どころではないのです。

 

片づけ忘れ

「ねえちゃ」は、いつもコマメに「片づけ」をします。夕食も「まだ食べ終わっていないのに」と思えるうちから片づけにかかります。

夜遅くまでテーブルで食べたり飲んだりしていると、イライラしてくることもあるみたいです。

昼、パスタや日本そばの料理のため戸棚から取り出して、私がこのごろ毎日のように使うようになった大鍋やザル、専用の皿なども、使い終わったのを見つけるとすぐに戸棚の奥のほうにしまってしまいます。

それだけならいいのですが、近ごろの「ねえちゃ」は、「しまう」ことは念頭におかれていても、どこにしまったか忘れてしまうことが頻繁になってきました。

私が使っている鍋なども、別に意地悪をしているのではないのでしょうが、大抵は戸棚の奥の奥のほうにしまい忘れられてしまいます。だから私の料理は、まずは戸棚の鍋探しから始めなくてはなりません。

「毎日使う鍋くらいキッチンの上に置いておいてくれてもいいのに」と文句を言うと、その時は納得するのですが、すぐにそれも忘れてしまって戸棚の奥の奥へとまたまたしまってしまいます。

きのう、近づいてきた親せきの結婚式のためのご祝儀と贐用の袋を買って、テーブルに置いておきました。すると「ねえちゃ」はこれもまた、どこかへしまってしまって、いつものようにしまった場所を忘れてしまいました。

「どこへ行ったのだろう」。片づけ忘れ、を探し出すのに、また、また一苦労の日曜日でした。

こうやまき風呂

「ねえちゃ」は、お風呂が大好きです。よほどのことがない限り、寝る前に毎日焚いて入っています。

連れ合いが仕事で信州の山を転々としていた関係で、以前は、木曾の高野槇(こうやまき)で作った木風呂が家にありました。

日本の木の中でも、特に品質のいい木として定評のある「木曾五木」と呼ばれる樹木があります。

木曾檜(きそひのき)、椹(さわら)、翌檜(あすなろ)、黒檜(ねずこ)、そして、高野槇です。

これら木曾五木の中でも高野槇は、水や湿気に耐える力が最高で、高級な風呂桶や水桶、流し場船、橋梁などに最も適しているとされているそうです。

「木の風呂というと“ひのき”が有名だけれど、それより上なのが高野槇。天皇陛下(昭和天皇)も高野槇の風呂に入っているんだ」と、本当かウソかは知りませんが、亡くなった「ねえちゃ」の夫はよく自慢していました。

木なので、肌にもなじみやすく、ひのきほど主張しない木の香りも心地いい。浸かるのは快適でしたが、湯船が深くて大きいので、風呂掃除や手入れを担当した「ねえちゃ」は、なかなか苦労も多かったようです。

さすがの高野槇風呂も、長年使っていると水分を含んで黒っぽく変色してきました。そこで、いまの家へ引っ越して来るときには廃棄してしまいました。

現在は、ポリエステル系強化プラスチック製のごく普通のお風呂です。ただ、「ねえちゃ」の身長からするとかなり大きいので、ときおり、眠くなってウトウトしているうちにと沈みそうになって「ハッ!」とすることがあるそうです。

 

松井潤
matsuijun@jg8.so-net.ne.jp
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