朝、食卓へおりてくると、見慣れない置物が一対、棚のところに並べてあります。ようく見ると、底面が広い、円錐のかたちをした青と赤の紙雛のようです。

「どうしたのこれ」と、少し驚いてねえちゃに問いかけていくと、どうやら昨日、デイサービスセンターでもらってきたもののようです。

「みんなで作ったの?」。「そうじゃなかったと思う。終わった後、部屋から出たところでおみやげにもらってきた」と珍しく、記憶をさぐり出すことが成功しました。

平安時代には、白紙でつくられた紙雛が祓(はらえ)行事に用いられていたほか、「ひいな」とよばれる紙製人形の遊びもあったとか。

しだいにこれらに変化と技法を加えられ、江戸時代に入ると、雛段に飾られるようになったと見られています。

明治期までは雛段に立てて飾られていたようですが、内裏雛が流行するようになると紙雛は次第に衰えていったとか。

それでも、こうした手作り紙細工の技法は受け継がれ、姉様などの紙人形も生まれて発達しました。そして、いま、デイセンターでも作られているというわけです。

「今度行ったとき、作りかたも教わってきたら」と水を向けてみましたが、ねえちゃはいつものようにイマイチ積極的にはなれないようでした。