ねえちゃの家の床には、あちこち、小さな穴が開いていたり傷がついたりしています。

壁や扉にもへこんだリしたところが、ところどころにあります。それらのほとんどは、私がつけたものです。

ねえちゃが、言うことを聞いてくれなかったり、わけのわからない行動に出るとアタマにきて、茶碗や菓子箱、電話機などいろんなものを投げつけてしまった、その痕跡です。

ねえちゃは、いまあったことや言ったことを次の瞬間には忘れてしまいます。冠婚葬祭や病院の予約など、直前になって勝手にキャンセルしてしまうのは当たり前。

一晩に2日分、3日分の薬を飲んだうえ、おまけに関係のない私の薬まで飲んでしまうこともあります。

そんなことがあると気が短い私はつい大声を張り上げて怒ったり、ものを投げたりしてしまうのです。 ねえちゃは、それが怖くなって真夜中にお嫁さんにSOSの電話をかけることもありました。

最近は「こんなんなら死んだほうがまし。でも殺してくれと頼んだら、お前が牢屋に入らなきゃならなくなるし」と、ときどき口に出すこともあります。

今年は、ねえちゃの認知症が急激に進んだ年となりました。一方で、専門医やケアマネージャーに相談に乗ってもらって、「これから」への模索を始めた年でもありました。

ねえちゃとずっと対峙してきた私には、人間というものについて、生きるということについて、あらためて考えさせられる年でもあったと思います。

それから、このごろは少し忍耐強くなってきたかな、とも。そういう意味では、ねえちゃのおかげで本当に勉強になった1年だったな、と感じています。