Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する覚書です

きょうは、ねえちゃの二人の姪が昼間、家を訪ねてくれました。

ねえちゃは、かなり年が離れた末っ子として生まれました。

生まれたときにはもう、一番上のお兄さんは役場に勤めていて、親の代わりに出生届を出してくれたのだそうです。

だから、このお兄さんの娘さんにあたる二人の姪とは、年齢も近く、姉妹のようにして育ってきたのです。

二人が来るからと、い草を使った夏用の畳底スリッパを新調しました。いつものおみやげ「みすゞ飴」も、二袋ずつ買ってきました。

昼食を持って来てくれて、6時間近く、ゆっくりと話すことができたとうれしそうです。

ただ、いつものように何を話したかはすっかり忘れてしまったそうですが。

ニュース

国民投票の結果、イギリスのEU(欧州連合)離脱が決定的になりました。

ねえちゃも一日中、テレビのニュースで盛んに報じられているのを観て、何かたいへんな事が起こったようだ、と思ったようです。

が、EUなるものがどういうもので、日本の経済や企業、為替相場などにもこんな影響を及ぼす可能性があるんだよ、などと話しても、ねえちゃには興味を持とうとする手がかりさえ見いだせないようでした。

公私混同で大騒動になった舛添さんについても、相当に「ケチな人」なんだな、となんとなく知ってはいても、それ以上に興味がありそうにはありません。

きょう、ねえちゃのいとこが訪ねて来て、参議院選や郷里の下條村長選についていろいろ教えてくれました。

こっちのほうは「EU離脱」に比べればかなり身近なので、少しはアタマに引っかかったかなと期待したのですが、何を話したのか夜にはすっかり忘れて去っていました。

「ところで、参院選の投票所入場券は送られてきたの」と聞くと「そんなの届いてない」。「そんなはず、ないはず」。

あちこち探しまわしたあげく、日記の裏表紙にはさんであるのを発見。ホッとしてました。

カレンダー

今週はどんな予定があるのか。ねえちゃにとって、ほとんど唯一の拠り所になっているのは、食卓に掛けてあるカレンダーです。

お医者さんの予約とか、町内会の集まりとか、誰かが訪ねて来るとか。予定が入ると、そこに赤いサインペンで、書き込むようにしてあります。

ですが最近は、書き込むことは書き込むのですが、それがどういう意味だったのか頭から消えてしまうことが多くなってきました。

あさって土曜日には、めい二人の名前が書かれて「お昼は買ってくる」とカレンダーには書かれています。

これについて、「あさって来るんだよね。これ、お昼を用意しなくていいってことだろうか?」と私に尋ねます。

まったく関与していない私に聞かれても、分かるはずがありません。

「メモ、メモ、メモ、メモ、みんな忘れるんだから聞いたらすぐにメモしておかないと」。

口を酸っぱくしていっても、いざそのときになると、やはりメモすることも忘れてしまっています。

公示

参議院選挙が公示になりました。ねえちゃも「選挙カーはまだ見てなけど、テレビや新聞で騒がしくなった」といいます。

参院選の長野選挙区では、これまでは自民党と民主党が1議席ずつを分け合ってきました。

ですが、今回から改選数が2から1に減りました。地元の新聞の調査などによると、自民党現職と知名度の高い民進党新顔との間でたいへんな激戦になっているようです。

日ごろ、地元の国会議員の事務所などから、ねえちゃの家にもファクスや手紙などあれこれ送られてきたりします。

ねえちゃは何が何だかわからず読むことはないので、ファクスなども受信拒否にしてあります。

「頭の体操だと思って、新聞を読んだり、候補者の主張を聞いたりして、今度の選挙は自分でちゃんと考えて投票したら」というのですが……。

とうもろこし

とうもろこしの食べごろ、旬の季節になりました。ねえちゃも、生協で届けてもらったり、スーパーで買ってきたりしたのを茹でて食べるようになりました。

ねえちゃは、農家に育ち、山里を転々として来たので、夏の食卓にはいつも山と盛られたとうもろこしがありました。

親戚や近所の農家で分けてくれることもしばしばありました。

生のまま置いておくと、糖分がでんぷん質にどんどん変化して甘みがなくなってしまうので、もらうとすぐに茹でて冷凍したりするので、冷蔵庫はいつもとうもろこしでいっぱいになりました。

米、そば、りんご、ぶどう、もも、レタスなど、色んな農産物が穫れる長野県。

とうもろこし(とうきび)というと何といっても北海道ですが、長野県もベスト5に入る生産量を誇っています。

ねえちゃは、大好きなとうもろこしを指できれいにもいで食べます。

最近は、大きな鍋でゆでることができなくなったので、電子レンジに頼ることが多くなってきましたが。

 

冷蔵品

毎週、月曜日の午後3時には、ねえちゃの家に生協の注文品がとどきます。

以前は、米とかトイレットぺーぺーとか、買い物がしずらい、かさばるものを主に注文していたのですが、このごろ日ごろ食べるものが増えてきました。

好物の酢だこやイカ、サケ、サワラ、サンマなどの魚、お風呂上がりに欠かせないアイスクリーム、トウモロコシやバナナなど。

冷蔵庫に入れておけば長持ちするので、最近はスーパーへほとんど行かなくても、食べるのに困らなくなってきました。

ただし、届けてくれた生協の担当者が、冷凍品、冷蔵品、その他と分けてくれても、ねえちゃは最近、それらをちゃんと分けて保管できなくなってきました。

先週も、納豆やロールケーキなど「要冷蔵」の食品を冷蔵庫にしまわず、外に放って置いたまま忘れていたので、カビが生えたり、傷んでしまったものがいくつかありました。

気温が上がり腐りやすい季節だけに、心配です。

電話

ねえちゃは、下條村に住んでいる姉のところに電話をするのを楽しみにしているのですが、かけてもなかなか話が出来ません。

きょうの午前中にも電話しましたが、家に居ませんでした。午前中は、畑に出て農作業をしてるのでたいてい不在にしているのです。

「そんなに話したければ、午前中には居ないことが多い意んだから、昼過ぎとか、夜とかに電話すればいいじゃない」と言っても、すぐに忘れてしまうのか、頑固だからなのか、いつもの習慣でたいてい午前中に電話をかけています。

ボケ気味になって交際も減って、ねえちゃのところに電話がかかってくることはあまりありません。

押し売り対策のため、非通知や「0120」からの電話は、受信拒否にしてあります。

ということもあってか、これといってやることのない日々をおくっているねえちゃにとって、電話がかなり恋しくなってきているようです。

 

藤山一郎

ねえちゃはきょうも、いつものように朝から「なにもやることがない」と、パジャマでゴロゴロ。

それならヒマつぶしにと、しまってあったCDプレイヤーを取り出してきて「懐メロ」ソングのCDをかけてみました。

中に、ねえちゃの連れ合いがよく歌っていた、古賀政男作詞作曲の名曲『影を慕いて』 が入っていました。

『影を慕いて』 は、1932(昭和7)年3月に藤山一郎が歌ってヒットしました。

藤山一郎は、東京音楽学校(東京藝術大学音楽学部)を首席で卒業したとか。

ねえちゃは高校のとき、音楽の先生が「藤山一郎は、声の出し方をきちんと勉強しているので、他の歌手とは違う」と絶賛していた記憶がずっと残っているそうです。

「将来、老人ホームへ入るにしても、何かカラオケの持ち歌がないと仲間に入れてもらえないかもしれないから、何か一曲、歌えるようにしておいたら」というと、いつものように「そうだね」と気のない返事をしていました。

 

音楽

5年くらい前、ねえちゃが「ピアノを弾いてみたい」というので、田畑を越えて家から40分ほどのところにある本屋さんに行って買ってきた『完全指づかい付 今日から弾けるやさしいピアノ 心のうた』という教則本を久しぶりに見かけました。

「ふるさと」「荒城の月」「ハッピー・バースディ・トゥ・ユー」など、だれでも知っているやさしい曲が、楽譜が読めなくても、図に描かれた通りに鍵盤に指を乗せていけば弾けるようになっています。

本を使い込んだ感じはありませんが、前のほうのページに折目はついています。

「少しは練習してみたの?」と聞くと、やはり「忘れちゃった」。

昔の歌謡曲や童謡がたくさん入ったCDなんかも居間に並んではいるのですが、私は聴いても、ねえちゃはいっこうに興味を示してくれません。

「これで、ラジオ深夜便を聞いたら」と買った旧式のラジオも、最近はぜんぜん使っていないようです。

家にいるときはラジオのFM放送を流しっぱなしにしていることが多い私には、何とも不思議です。

イチロー

テレビを観ていても、いつもボーッと画面を見つめているだけで、何をやっているのかほとんど関心をもたないねえちゃ。

でも、きょう、イチロー選手が日米通算4257安打という、世界でだれもやったことがない記録を打ち立てたというニュースが盛んに流れると、「イチローってすごいね」と何度も繰り返していました。

「イチローって知っているの?」というと、ねえちゃは、

「そりゃあ知っているよ。日本人だもん。日本でもやっていた細いからだの人でしょう」。

そんな、大記録が生まれたきょうは、ちょっとだけ外へ出て、近所の子どもたちと話をしたそうです。

松井潤
matsuijun@jg8.so-net.ne.jp
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