Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」とアルツハイマー病に関する記録です

台風3号が、すごいスピードで、日本列島を通って行きました。7月としては、2年ぶりの上陸です。

ねえちゃはむかしから、気圧の変化に敏感です。台風や低気圧が近づいてくると、頭が痛くなったり、体調を崩したりすることがよくあります。

そんな台風の影響もあってか、「頭がへんでおかしい」ときのうから今日にかけて何度も東京へ電話をして来ました。

でも、特に異変が起こったというわけでもなさそうです。ただ「バカになってずっと、寝てばかりいる。だれも外を歩いてない」と不安だといいます。

「バカになったのはいまに始まったわけじゃないでしょ。それに台風が来てるんだから、外をうろうろしている人なんているはずないでしょ」というと、少し思い直したようです。

お医者さんからは、めいっぱいの薬を処方してもらっています。介護の再申請をして、7日には調査員の人が来ます。一歩一歩やれることはやっているのですが。

私が高血圧の治療などに通っている東京の内科のお医者さんのところで、「なにがなんだかわからなくなっちゃって」とさかんに話している高齢の女性を見かけました。

どうも、連れて来てもらったヘルパーさんに、寝て起きたときそれが朝なのか、夜なのか、自分は何なのか分からなくなって困惑している様子を訴えているようです。

ねえちゃも「なにがなんだかわからなくなっちゃって」と、この女性とまったく同じフレーズを口癖のように繰り返して言います。

認知症の同じような症状に、同じような困惑を覚えているのかな、という気がしました。

月曜日のきょうはねえちゃの家に生協の配達が届く日です。今回からネット注文です。

いつもなら、生協の担当者の人が来たかどうかなんて受けとった瞬間に忘れてしまうのですが、きょうはどうしたことか「生協からいろいろ来たよ」と電話で知らせて来ました。

「冷蔵庫へちゃんと入れた? 暑くなってきたから、必要なものはちゃんと入れとかないとすぐ腐っちゃうよ」というと、自信はあるようでした。

最近、ねえちゃの食生活の多くは、月曜日に生協から届く食料品によっています。

ねえちゃは、カタログを読むことも、注文票を書くこともできないので、私が毎週記入していました。

けれど東京から長野へ行って、週に一度、注文票に書き込むのは、忙しいときなどなかなか大変です。

認知症が進んで、ねえちゃは注文票を渡すことも難しくなりつつあります。それで今回からネットでの注文に切り替えました。

商品の番号を打ち込めば、商品名がどんどん表示されるし、つぎつぎに合計金額が計算されます。注文メモもクリック一つでメールしてくれます。

こんなんだったら、もっと前からやっていれば良かったと後悔しています。

いずれにしても、いろんな工夫をしてこちらの負担を少しでも減らしていく努力が必要なときになっているな、と感じます。

長野県内のきょうは、梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んで広い範囲で激しい雨が降り、土砂警戒情報も各地で出ました。

ですから雨に閉じ込められて、さすがにねえちゃも「知らない間にちょっと徘徊してスーパーへ寄って」というわけにもいかなかったようです。そういう意味では、恵みの雨です。

ねえちゃは、スーパーというところは、あれやこれやいろいろ買わないといけないところだと思っているようです。

「トウモロコシが食べたければトウモロコシだけ買っても、誰も文句は言わないから」といっても、けっきょくあれこれ不要なものを買ってきてしまいます。

今週は、生協の食品が来なかったのでちょっと心配でしたが、週の初めに私が買いだめして冷蔵庫に入れておいたものだけで、何とかもちそうです。

「冷蔵庫をゴソゴソ探せばいろいろ入ってるはず。それで明日を乗り切れば月曜日には生協からたくさん届くから」と電話でいうと、理解したのかどうかは分かりませんが、ねえちゃは明るい声で了解していました。

ねえちゃは、御菓子でも、果物でも、何かいただきものがあると必ず「まずはおじいさんに」と仏壇に供えます。

でも、供えたことをすぐに忘れてしまうので、そのまま傷んだり、カビが生えて食べられなくなることがしょっちゅうあります。

特別になもの以外は供えなくてもいいじゃない、といっても「まずはおじいさんに」と繰り返しています。

夕飯のおかずを、というと、亡くなって6年になり、料理ができなくなったいまでも「おじいさんの気に入るものを何か作らなければ」とイライラしていることがよくあります。

「おじいさんはもうずっと前に居なくなったんだから、自分で食べたいものを食べればいいの」といっても、「食べたいもの」を探しあぐねています。

タコとかトウモロコシとか、周りで見ているとねえちゃの好物はけっこうあるように思うのですが、長年「おじいさんの食べたいもの」ばかりを気にして、「自分が食べたいもの」を考えることがなかった“後遺症”なのかもしれません。

25日朝、長野県南部で最大震度5強を観測したM5.6の地震以来、いまも余震がたびたび起きています。

震度5強を観測した王滝村では80代女性が自宅で落ちてきた物で頭を打ち、木曽町では60代女性が倒れてきたたんすに足を挟まれたそうです。

でも、ねえちゃは、25日からずっと県内で地震が頻発しているという認識はありません。

25日の朝、私は長野市のねえちゃ宅の2階に居て、ガタガタガタと家具などがきしむような揺れを感じて、一瞬緊張しました。少なくも震度2はあったと思います。

その後も、しばしば小さな揺れを感じています。 しかし、ねえちゃはぜんぜん感じななかったと平然としています。

認知症は、地震に関する感度も鈍くしてしまうのでしょうか。それとも、生まれつき鈍感だったのでしょうか。

きょうは、ねえちゃのデイサービスの日です。

朝は「からだの調子が悪いから」と行きたがりませんでしたが、「センターにはお医者さんもいるから大丈夫」と電話でお嫁さんに励まされてやっと出かけました。

帰って来ると、声はすっかり明るくて元気です。アタマやカラダの体操など、みんなといっしょに何かやることにはそれなりに意義がありそうです。

ただし、これもいつものように、覚えているのはお風呂に入ったことだけで、昼食が何だったか、どんなことをやったかはほとんど忘れてしまっていました。

介護の変更申請を出したところ、さっそく調査員の人から電話をいただいて面接の日が決まりました。

デイサービスの日を増やして、昼間も家でずっとパジャマのままでで、起きたと思ったら徘徊するような生活を脱することができればいいなと思います。

14歳の藤井聡太四段が、歴代単独1位となる29連勝を達成したニュースをおさえて、ねえちゃが取っている信濃毎日新聞の1面トップは、御嶽海の関脇昇進でした。

長野県出身の新関脇は、1933(昭和8)年1月場所で西関脇に就いた高登(下伊那郡喬木村出身)以来、84年ぶりだそうです。

関脇は、江戸時代の大相撲初期からの長い歴史をもつ地位で、「大関の脇」をつとめる者、という意味が語源だとか。

近年では、「3場所続けて三役の地位にあり、その通算の勝ち星が33勝以上」というのが大関昇進の目安とされてます。待望の大関が、そこまで見えてきたわけです。

とはいえ、新聞は取っていてもめったに読むことのないねえちゃには、藤井くんや御嶽海の快挙はトンと頭の中には入っていきません。

介護保険の変更認定の申請をきょう、近くにある市役所の支所に出しました。医師やケアマネのアドバイスをうけてのことです。

昨年の10月に初めて介護保険の認定(要支援1)を受けましたが、ねえちゃの認知症は、それでは対処できないところまで進行しています。

高血圧薬のほかに、アリセプト(5mg)さらにはメマリー(20mg)というアルツハイマーの2種類の薬を併用して飲むようになりました。

いまの医学の範囲でお医者さんが可能な治療はすべてやっていただけているな、と感じています。あとは、ケア態勢をどう整えていくかです。

デイサービスへ行く日にちを増やして、一日中家で寝ているのではなく、いろんな人と接する機会を少しでも増やすこと。

それから、現在ほぼすべて私がやっているねえちゃの食事や薬の管理を、少しずつ外部の人にも手伝ってもらえるようにしていくこと。

それらが、カラダは元気だけれど、アタマの病がどんどん進行しているねえちゃのいまの課題です。

いま、ねえちゃの食生活で欠かせないのが、生協からの宅配です。

しかし先週は、生協の担当者に注文票を渡してないので、来週分の宅配はありません。

そこで、きょうの夕方、いっしょに最寄りのスーパーへ、来週の食料品の買い出しに行きました。

最近はスーパーへ行っても、自分で何が食べたくて、何を買う必要があるのか、さっぱり分からなくなって来ました。

ただ、なんとなく習慣で、トウモロコシやタコ類をカゴの中に入れていきます。

「自分で食べたいなと思うモノを買えばいいだけじゃない」といっても、それができないのが認知症の切ないところなのです。

昼ごろ寝床から起き出して来たねえちゃに「何か要るものある?」と聞くと、「そういえばおコメがない」といいます。きょうの分はもう炊いてあるので大丈夫なようですが。

いつもコメは、石油を注文している業者にいっしょに持って来てもらっています。ねえちゃはその業者が「土日だけどすぐに持って来てくれるだろうか」と、妙に悩みはじめました。

チンすればすぐに食べられる「サトウのごはん」もたくさんあります。そんなに悩むほどのこともないと思うのですが、ねえちゃは思いつめるとわけの分からない言動に走ることが最近はよくあります。

けっきょく「わざわざ業者に届けてもらうよりスーパーで買って来たほうがずっと安いから、NTTに振り込まなければならない用事もあるので、あとで寄って買って来るよ」といことになりました。

そのときは理解したはずですが、私が買いに出かけようとすると、ねえちゃは何を思ったか業者に注文の電話を掛けています。さすがに頭にきて「すぐに断れ……」と怒鳴りました。

いつものことですが、ねえちゃの行動に理屈は通用しません。最近は、やることなすこと混乱を招くようになってきました。血圧が上がらないように付き合うのは、けっこう骨が折れます。

きょうの朝、ねえちゃのおいのところから宅配便でトウモロコシが届きました。十数本入っています。

さっそく箱を開けたねえちゃは、ご近所に少し配ったり、たまたま訪れた電力会社の女性に「飯田からちょうど届いたんだけど一本どう」とお裾分けしたりしていました。

こういうことは、とても認知症とは思えないくらいさっさと調子よくやります。けれど、いつものようにすぐ、どこから来たものだったのか、どこへあげたのか、お礼の電話をしたのか忘れてしまっています。

「どこかへ持って行く前に、テーブルのノートにメモすること」と口うるさくいうのですが、もちろん頭の中にはありません。送信履歴を見ると掛けた記録はあるので、お礼の電話はしたようです。

トウモロコシは最近は、電子レンジでチンをして食べていますが、時間のセッティングの仕方を忘れたのか、うまくいかないと途中でやめて、鍋でゆで出しました。

塩を加えるのを忘れたようですが、なんとか茹で上がって、旬のトウモロコシを美味しくいただきました。

4日ぶりにねえちゃの家を訪ねると、今週の月曜日に渡したはずの来週分の注文票が出てきました。これ渡したんじゃないの」と言っても、いつものように「わからない」というだけです。

そういえば玄関の前に生協のボックスがたくさん置いてあります。中が空であることからすると、生協の人がここへ置いていったのを、ねえちゃが冷蔵庫などに入れたことはどうも間違いなさそうです。

月曜日の午後1時までは私が居て、ねえちゃに「きょうは生協の日だからずっと家に居ること」と念を押しました。

生協に問い合わせると、玄関のベルを2回鳴らしても出なかったので外に置いていった、とのこと。ただし、いつもの担当者とは別の人が来たそうです。

果たして、ねえちゃが徘徊に出てしまって留守にしたため注文票を渡せなかったのか。それとも、居たのに寝ているかしてベルに気が付かなかったか。生協の人が居るかどうかの確認が不十分だったのか。

もちろん「記憶」というものが壊滅状態にあるねえちゃに聞いても無駄ですし、ですから、生協に文句を言う根拠も見つかりません。

注文票を渡してないので、いまやねえちゃの食生活の中心になっている生協からの来週一週間分の食料品が無いことになります。

それ以上に大きなショックなのは、ねえちゃのほとんど唯一の仕事だった、週一回、注文票と食品のやり取りをする作業もとうとう出来なくなってしまったのかな、という点です。

きょうは、デイサービスの日です。忘れずに行くようにと毎週朝、お嫁さんが掛けている電話には「着替えを持っていけばいいんだよね」と言って、出かけました。

帰って来て覚えていることといえば、いつものように「お風呂へ入ってきた」ことくらいです。

センターの人の話だと、特にこれといった問題もなく、みんなと馴染んで仲良くやっているようです。でも、なぜか、お風呂以外に印象的なことがないようです。

「家に居てもパジャマで寝ているだけでやることなんだから、センターへ行く回数を増やしたらどう」と言っても、なぜか乗り気ではありません。

もともと性格が受け身なせいもあって、ひとに勧められても「エイヤー」と何かをやってみようとする気持ちがねえちゃにはわいてきません。

長野のきょうは最高気温が34度近くまで上がりました。でも、一日中寝床にいるねえちゃには、あまり関係なかったようです。

長野県は、スイカの生産でも全国の上位を占めていますが、なかでも有名な松本市の波田でハウス栽培のスイカの出荷が始まったそうです。

今年は生育は順調で、とくに6月に入って昼夜の温度差が大きかったため甘みも十分だそうです。今年もいよいよ、トウモロコシとスイカの季節の到来です。

ねえちゃは、料理ができなくなっても、トウモロコシはさっさと皮をむいて電子レンジにかけることはできます。

スイカは、丸ごと買って、というわけにはいかないので、たいていスーパーで細かく切ってパックしたのを買ってきて食べています。

料理を自分で作れなくなってきたねえちゃの食生活はいま、ワタミの宅食と生協の宅配で成り立ってます。

ですが、当人は、どこが何をいつ届けてくれるのかチンプンカンプンでいまだによく分かっていません。

毎週月曜日は、注文しておいた一週間分の食べ物が生協から届けられます。

「きょう、生協届いた?」と夜、電話で聞くと、いつものとように「届いてない」とこたえます。

「え~。家を留守にしたの?」「いや、ずっと居た」。「じゃあ、受っとったはずでしょ」「え~ッ、そうだったかな」。

「注文した中にトウモロコシ3本があるはずだけど、そのヘンに置いてない?」

「ないよ」「そんなはずはないでしょ。ひょっとしてもう食べちゃったの?」

そんなやりとりをしていると、「チーン!」と音がしてきました。「ああ、トウモロコシ、いま電子レンジにかけているところだった」。

ただ一つの楽しみだったはずのお風呂。でも最近ねえちゃはしばしば、「スイッチどこ押すんだったっけ」と、入りかたがわからなくなるようになりました。

たいていは一日中寝床に居て、たまに起きてくると、放心したような顔をして「なにがなんだかわかんない」といっています。ただ、息子の顔はまだなんとか認知できるようです。

新しい薬を飲み始めるに際し、お医者さんからもらった「メマリーノート」という冊子の症状欄を見ると、「中等度」を過ぎて「高度」に入りかけたのかな、というような気がします。

「最近の大きな出来事(冠婚葬祭など)を忘れる」《中等度》は完全にそうですが、「昔の印象深い出来事を忘れる」《高度》ところまでは、まだ完全には行っていません。

食事については「日課でしなくなることが増える。簡単な料理でも間違う」《中等度》はずっと前からそうで、「家事をほとんどしない(料理ができないほど)」《高度》というのは、まさにそうなりつつあるところです。

薬は「言わないと服薬を忘れる」《中等度》はずっと前からで「介護者が管理しなければならない」《高度》の状態ですが、特製のピルケースに入れて管理することで、毎日服薬することはいまのところ何とかできてはいます。

認知症の症状が進行するにつれて、ねえちゃの食欲はどんどん旺盛になってきています。きのう4本買ってきたトウモロコシも、すぐにゆでて、「おいしい、おいしい」と平らげてしまいました。

けれども、トウモロコシを茹でる、というあたりまでは出来ても、それ以上の料理となると最近はほとんど不可能になってきています。

知り合いから野菜などをもらっても、私が居ないときは放ったらかしにしたままで、たいていは食べるどころかあることも忘れて傷んでしまいます。

親せきなど事情を知っている人たちは、最近は気をきかせて野菜の差し入れなどを控えてくれるようになってきました。

食欲旺盛と言っても特に「これを食べたい」というものがあるわけではありません。冷蔵庫の中にあるすぐ食べられる出来あいのお惣菜などを手あたり次第、むしゃむしゃ食べるのです。満腹中枢が少々おかしくなっているのでしょうか? 

せめていま何を食べているのかくらいは自覚してもらいたいと、食べたらすぐに今何を食べたかメモするように言っているのですが、当然、そんなことはすぐ忘れてしまっています。

きょうはお医者さんの日です。ここ1カ月は毎週通っていますが、ねえちゃはいまだにお医者さんの名前も、道順も頭のなかに入っていきません。

NMDA型グルタミン酸レセプターの拮抗薬「メマリー」を飲みはじめて1カ月。プロトコル通り5mg、10mg、15mg、20mgと増やしてきました。

ねえちゃの症状に顕著な変化は見られませんが、血圧も安定していて、本人も「頭以外にへんなところはない」といいます。

メマリーは、1日1回20mgを飲み続けることで効果がある薬だそうです。これから「20mg」を飲み続けて様子を見ていくことになります。

きょうは3週間分を処方してもらいました。まだ1週間分残っているので、あわせて1カ月分になります。

気持ちのいい風が吹く晴天。帰りに、旬を迎えたトウモロコシやまんじゅうを買って、トボトボ歩いて帰りました。

台所の三角コーナーで使う水切りネットが無くなって、ねえちゃは、ここしばらくスーパーのポリ袋などで代用していました。

高いものではないので、近くのドラックストアへ寄ったついでに、「特許申請中」とかいう水がたまらないように細かい穴が開いたオレンジ色の水切りネット(15枚入り)を私がきのう買って来ました。

さっそく三角コーナーに取り付けてみると、なかなか便利そうです。当分これを使ったらと昨夜、買ってきた水切りネットの袋をねえちゃに渡しておいたのですが、どこかへしまい込んだのか、捨ててしまったのか、すぐにその存在を忘れてしまっています。

「どこかにきっとあるだろう」ときょうもう一度、台所近辺を探しまわりました。すると、どうしたことか、青い水切りネット(50枚入り)と緑の水切りネット(35枚入り)が出てきました。

ねえちゃがいつか買って来ておきながら、いつものようにしまい忘れていたのです。肝心のきのう買ってきたオレンジ色のほうはというと、不思議なことにぜんぜん見つかりません。

きょう、ねえちゃはデイサービスの日です。だいぶ習慣になって来て、最近は行くのを嫌がることもなくなってきました。

いつものように、お風呂へ入ってきたことは覚えていますが、「ごろっと寝てただけ。ほかはみんな忘れちゃった」といいます。

アタマのほうはアルツハイマー病がかなり進行してきているなと感じますが、カラダについてはこれといった不自由はいまのところありません。

家にいても寝ているだけなので、「薬も増やしたことだし、デイサービスも週2回とかに増やそうか」と提案してみますが、本人はなぜか乗り気になってくれません。

まわりで行くように言うから行っている、というだけで、自分で積極的にしたいということがない。ねえちゃの“困りもの”の性格は、なかなかうまいようにはなりません。

ねえちゃの住む長野市の市長選挙が、もうすぐあるようです。

きょう、新人で会社役員の土屋龍一郎さん(55)という人が記者会見して、「長野市の歴史、文化、五輪など多くの資産を発掘し、活用することに尽力したい」と立候補を表明したと報道されていました。

土屋さんは、長野青年会議所理事長、日本青年会議所会頭を歴任し、最近まで市の第三セクター「エムウェーブ」の社長だったという人だそうです。

ねえちゃに「いまの市長さん何ていう人なの」と聞いても「知らん」といいます。県知事さんは、総理大臣と同じ呼びかたの「アベさん」らしい、というのは頭のどこかにあるようですが……。

報道によると現職は、加藤久雄さん(74)という人だそうで、すでに出馬の意向を固めて、近く市議会一般質問で表明する予定だとか。

共産党長水地区委員会や長野労連などで「市民が主人公の長野市政をつくるみんなの会」という、選挙の前になると似た名前をよく耳にする団体ができていて、選挙戦への対応を検討しているとか。三つどもえになる可能性もあるということでしょうか。

10月22日告示、29日投開票なのだそうです。選挙のことはよくわかりませんが、そのときねえちゃが、誰が立候補していて、自分は誰がいいと思い、投票に行ける、そんな状態であってもらいたいものだと願っています。 

毎週月曜日には、その一週間の「宅配おかず」の献立表が届きます。

今週のメインおかずは、月曜日「鶏の唐揚げ」▽火「サンマの煮付け」▽水「ハンバーグデミソース」▽木「白身魚のフライ玉子あん」▽金「牛肉と野菜の中華風」とあります。

献立表には今週のおすすめや、関係するエピソードなども書かれています。

これくらいは目を通して、今週はどんなもの来るのかなと楽しんだら、とねえちゃに渡すのですが、相変わらずぜんぜん興味は示しません。

冷蔵庫にあるものをあれこれ取り出して、むしゃむしゃとねえちゃの食欲は一向に衰えません。

けれど、「**を食べたい」という欲求や好きなものを食べる喜びを、感じることが無くなってきているようです。

きょう月曜日は、生協から一週間分の食べ物も届きました。きのうスーパーでなにやら買ってきたおかずで埋まった冷蔵庫に、なんとか詰め込みました。

きのうと打って変って晴天となった日曜日。昼過ぎ、ちょっと目を離したすきにねえちゃは徘徊に出て、スーパーでどっさり買い物をしてきました。

レシートを見ると全部で6000円近く買っています。無くて食べたいものならいいのですが、バナナ、トマト、惣菜など大半はいつものように冷蔵庫や台所にたっぷりあるものばかりです。

それに、嫌いで食べない肉類や、調理できなくなってしまったアジなど生魚もあります。むかし家族の夕食を作っていたときのパターンが頭の中にインプットされていて、買ってしまうのでしょうか。

「家にあるものや自分で食べないものばかり買ってきても、捨てるだけでしょ。こんな無駄遣いばかりしていると、施設へ入るお金どころか、すぐに破産してしまうよ!」

昨夜は、焼いていっしょに食べようと思ってキッチンに置いておいたサバの切り身を冷蔵庫にしまい込んで、一人で勝手に夕食を済ませて午後7時前に寝てしまいました。周りの者には、なんともウンザリの日々が続きます。

「郵便局から何か来ている。どうしたらいいんだろ。郵便局へ行かなきゃ」と、朝からねえちゃはまたトラブっています。

「土曜日だから郵便局あいてないでしょう。それに、それはきのう郵便局の人が来て解決したやつじゃないの! ノートを見てみな」。というと、「ほんとだ、書いてある」。

テーブルにノートをいつも開いておいてちょっとでも何かあったらすぐにメモをするようにと、いつも言っているのですが、たいていはメモをすることも忘れていまっています。きのうはたまたま私が居て、うるさく言ったので詳しくメモがしてあったのです。

ふだんは、家で寝ているか、ぶらっと何かを思い立って徘徊に出ていくかのねえちゃ。郵便局とかがなんとなく気にかかると、わけもわからず出て行って、たいてい「きょうは誰もいない」といって帰って来ます。

でも長野県も梅雨に入り、きょうも一日雨。雨だとさすがにぶらっと外へ、という気も起こらないらしく、郵便局のことも頭から消えて、きょうは家で一日おとなしくしていました。

「郵便局が来る」とカレンダーのきょうの日付のところに赤いマジックで書かれています。でも、これが何を意味するのか、ねえちゃはすっかり忘れてしまっていて何のことだかわかりません。

「郵便局からそういう電話があったの?」と聞いても、「分からない」といいます。着信履歴を見ても、郵便局らしきから電話があった形跡はありません。

そんなことはないだろうけれど、郵便局員を装って詐欺的な事件が起こることがないとも限りません。ちょっと心配になって様子を探っていくと、どうも、郵便局の定期の通帳をすでに渡しているようです。

午前中、カレンダーに書いてあった通り郵便局の担当者の人が来ました。実のところは、福祉定期の書き換えで、記入した通帳と利子分の数千円の現金を持って来てくれたのです。

きょうは、ねえちゃのお医者さんの日です。雨が降りそうだったので、朝、9時少し過ぎに、行きつけの脳神経外科へ出かけました。

近ごろは毎週通って、「メマリー」を5mgずつ増やしてきました。血圧もまずまず、副作用らしきもないので、また5mg増やしてきょうから最終的な「20mg」をとりあえずは2週間分処方してもらいました。

これからは、アルツハイマー病薬の「アリセプト5mg」と「メマリー20mg」、それから高血圧薬の「アテレック10mg」の合わせて3種類を飲んでいくことになります。

まだまだ飲み始めたばかりなのでメマリーに効果があるのかどうかはよくわかりませんが、「頭がおかしくてダメだダメだ」と癇癪を起すようなことが減ったかな、という感じはしています。

ただ、家へ帰って来るとお医者さんへ行ったことはすぐに忘れて「カレンダーにお医者さんて書いてあるけど、行かなくていいの!」と繰り返しています。

きょうは、デイサービスの日でした。

いつものようにお風呂へ入ったことと、みんなで何かガヤガヤしゃべったことは覚えているそうですが、「何しゃべったかは忘れちゃった」といいます。

センターから、6月のイベントカレンダーというのをもらって来ました。

見ると、体力測定や理髪などのほかに、「モビール(吊るし飾り)作り)「書道教室」「川柳教室」「マレットゴルフ大会」など、いろんな活動が行なわれていることが分かります。

モビール作りというのは、「画用紙に書いてある雨やてるてる坊主、傘などを切り、紐に貼り付けるだけの簡単な作業」なのだそうです。

「作りたい方は職員にお声掛けください」とあるので、「やってみたらいいじゃん」とねえちゃに言ってみましたが、いつものように乗り気ではなさそうです。

ねえちゃは、ぬか漬けなど漬物はあうべて自分で漬けていました。

ですから以前は、「米ぬか」は生活必需品でした。

近年、米ぬかに含まれるフェルラ酸という成分が、アルツハイマー病に効くことがわかってきました。

予防だけでなく、実際にアルツハイマー病の患者にフェルラ酸入り健康補助食品を食べてもらうと、症状が改善されるという結果も出たそうです。

認知症が増えているのは、白米ばかり食べるようになったことも関係しているのではないか、という見方もあるとか。

最近、ねえちゃの食べる漬物は、もっぱら生協から届けてもらう出来あいの商品ばかりです。

漬物をしなくなったから認知症になったのでなく、認知症になったから漬物を出来なくなったのでしょうけれど。

最近はめったに買い物をすることがなくなったねえちゃですが、お医者さんの帰りなどにたまにスーパーに寄っても、買うものの見当がつかずにオロオロするだけです。

「食べたいもの買ったらいいじゃない」とうながすと、サカナや肉、キャベツ、ピーマンなど、何か料理をする気になってカゴの中に入れようとします。

でも、こうした食材を買って帰っても、いまは料理のしかたどころかレンジの使い方すら忘れてしまっているので、冷蔵庫に眠らせるか、腐らせたりしてしまったりするだけです。

いまはもっぱら、毎日の宅食のおかずや、月曜に生協からまとめて届く五目煮やきんぴらごぼう、黒豆、サラダ、漬物など……。

むかしは「出来あいのおかずなんてダメ」と受け入れようとしませんでしたが、このごろは「最近は、出来合いでもホント、いい味だしていて、おいしい、おいしい」といって食べます。

ねえちゃの故郷の南信のほうで、近ごろ、ササの花が咲くのがよく目撃されているそうです。

枯れたように色の抜けた茎の先に長さ2、3センチの紫色の穂がたくさん付いて、そこから5ミリほどの黄緑色のおしべが垂れるのだとか。

ササの花が咲くのは、数十年に一度あるかないかと言われるほどのまれな出来事。ササの実は野ネズミの餌になり、大量発生につながって農作物を荒らしてしまいます。

そういうこともあってか、昔から「ササが咲くと、何か良くないことが起こる」と言われてきました。

富山県の北アルプスの山中に小型機が墜落。きょう、長野県の男性4人の死亡が確認されました。

3月には、長野県の防災ヘリコプターが松本市の山中に墜落して9人が亡くなったばかりです。

ササの花のせいにはできない、悲惨なできごとが妙につづいているのが気にかかります。

「せっかく新聞を取っているのだから、テレビ欄くらいは見て、きょうはどの番組をみようか思いめぐらすようにすれば楽しみができるんじゃない」。

そう言っても、ねえちゃはテレビにはほとんど無関心で、地上波やBSの区別や映るチャンネルがどれとどれがあるといったことも分かっていないようです。

基本的に一人暮らしで時間はあり余るほどあるので、チャンネル争いもせず、好きなテレビ番組を思いっきり見られるはずなのですが。

でも、考えてみれば、ねえちゃの人生の中で、自分でチャンネルを選んで好きなテレビを見るという機会がどれくらいあったのかな、と疑問に思われてきました。

もちろん、子どものころは見たくてもテレビなぞない時代でした。テレビが出まわるようになっても、チャンネルは子どもたちの好みに合わせて、でした。

連れ合いと二人で暮らすようになっても、チャンネルは亭主関白でノンベエの夫が言うがままだったことでしょう。

「自分の好きな番組を見る」という、どうということのない“宿題”を課すのは、経験のないねえちゃにとっては酷なものなのかもしれません。

ねえちゃが飲みはじめた「メマリー」は、中等度以上に進んだアルツハイマー型認知症の治療に用いられる、唯一、他の薬と併用が可能な薬だそうです。

併用しているアリセプトのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは作用機序が違って、アルツハイマー型認知症の原因のひとつとされる脳内の「グルタミン酸」の濃度の上昇を抑える働きがあるのです。

グルタミン酸は、記憶・学習などにかわる脳神経のシグナル伝達で重要な役割を担っています。メマリーは、このグルタミン酸の伝達通路で受け皿的な役割を担っているNMDAという受容体にフタをして、グルタミン酸の濃度が増えないようにする働きがあります。

興奮して怒りっぽくなる、攻撃的になる、徘徊するといった症状の軽減効果も期待できるとか。めまいや傾眠、幻覚、便秘などの副作用がでるケースもあるそうですが、ねえちゃにそうした気配はありません。

生活のなかで、目にみえるような効果を期待するのは無理でしょうけれど、何らかの働きが期待できるアルツハイマーの薬を日常的に飲むことができるようになったというだけでも、隔世の感がします。

きょうは、お医者さんの日。雷雲から一転、晴れ渡った午後、いつもの脳神経外科に出かけました。

アリセプトに加えて、メマリーを飲むようになって2週間になります。5mgから10mgへと増やしてきました。

2日分飲んでしまった日が1日ありましたが、ほかは何とか毎日飲みつづけ、副作用らしきもありません。血圧もまずまずです。

プロトコル通り、あしたからメマリーを15mgに増量することになりました。10mgと5mgの錠剤を1錠ずつ、アリセプトと血圧の薬を合わせると1日に4錠ずつ飲むことになります。

大病をしたことのないねえちゃは、これまでたくさんの薬を飲み続けたことはありません。1日4錠ずつ飲みつづけるというのは人生初の体験ということになりそうです。

きょうはデイサービスの日です。だいぶ習慣化して、連絡帳をどっかへやってしまうようなこともなくなってきました。

いつものようにセンターでやったことで覚えているのは、お風呂へ入ったことと、みんなでおしゃべりをしたことくらい。

ただ、お風呂では、からだを洗ってくれたり、あがてからヘアドライヤーをかけてくれたりする人も居てとても快適だったと、やや詳しい説明をしてくれました。

「食べたもので何か覚えてるのは?」と聞くと、「青いのがかかったケーキ」といいます。どうも、ブルーベリーケーキのデザートが出たようです。

自宅の駐車スペースをお隣に貸したので、お礼にホウレンソウをいただきました。でも、すぐにねえちゃの記憶からはなくなっていました。

ねえちゃの家には、車を2台置ける駐車スペースがあります。以前は、死んだ連れ合いが乗っていた軽自動車を入れていましたが、「置いといてもお金がかかるだけ」と処分しました。

なので冬、掻いた雪の置き場にするくらいで、入り口にいつも鎖をかけたまま何に使うということもなく放ってあります。

そんな駐車スペースを「友だちが来るので貸してくれない」と、お隣の女性が言ってきました。

「どうぞどうぞ、自由に使っていください」と調子よく返事をしましたが、言った直後にもう忘れてしまっています。

「引き受けたからにはちゃんと鎖を外して置いてやらないと入れないよ。明日はデイサービスで出かけるんだし」

そういうと忘れないようにと、すぐさま鎖を外しに行きます。が、すぐに「忘れないように」とやったこと自体を忘れて、習慣でまた鎖をかけてしまいます。

「特にいたずらされて困るというようなこともないのだから、ふだん鎖を掛けないで置いたら」といっても、それもまたすぐに忘れてしまいます。

テーブルにピルケースを貼りつけて、毎晩、飲み終えたら「もう飲んだ」の段ボールの切れ端をかぶせる、という方法をはじめてから、奇跡的にも、飲み忘れることなく毎日ちゃんと薬を飲んできたねえちゃ。

ところが、今朝ピルケースを覗いてみると、きょうの分がもうありません。「どうしたの?」と聞いてみても要領を得ませんが、どうも、今朝、間違えて飲んでしまったようです。

先週の1週間、朝と夜に分けて飲む期間をはさんだので、朝も飲まなければという意識が頭のどこかで働いたのかもしれません。

ちゃんとピルケースに用意しておけば、ねえちゃは薬を飲み忘れることはありませんが、飲んだかどうか心配になってついと、慎重な性格からか飲み過ぎすことはけっこうあります。

薬の量を増やしているところですが、副作用的な症状はいまのところありません。

きょうの昼過ぎ、ねえちゃの自宅に見知らぬ女性の来訪がありました。

ねえちゃはいつものようにパジャマで床の中です。寝ていたので最初は気づかなかったようですが、何度もインターフォンが鳴るので起き上がって玄関に出ました。

「朝起会」なるものをやっているからどうの、ということを話したうえで、「さしあげますから」と実践倫理宏正会というところが発行している『倫風』という雑誌を置いて、「また伺います」と去って行きました。

読むことが嫌いなねえちゃが、そういうのに興味をもてるはずはありません。「なら、せっかくインターフォンがあるのだから、玄関へ行かずにインターフォン越しに断ればいいじゃない」というと、一応うなづきます。

でも、インターフォンの使い方も忘れてしまったのか、もともと使わずに済ましてきて習慣がないのか?。考えて見れば、少々物騒です。

ねえちゃのところに、「後期高齢者健診」の受診券が来ました。

昨年までは3カ月に一度、高血圧の薬をもらいに行っていた街の総合病院で健診も受けていたようですが、いまはアルツハイマー病の治療で毎週、近くの脳外科へ通う日々です。

血液検査は最近受けたばかりですし、CTやMRI検査も少し前に受けています。本来なら癌検診とかも受けたほうがいいのでしょうが、私的にはあまりすすめる気にはなりません。

人間は、必ず死ぬものです。長くても、短くても、それなりに味わい深く生きられたな、と思えて最期を迎えられたらそれでいいのではないのかなと思うのです。

これまで、カラダの悩みをほとんど感じることなく生きて来たねえちゃ。ところがいま、本人が予想だにしなかったアタマの悩みを抱えることになりました。

「元気だけど、バカでどうしようもない」。ねえちゃは、そのアンバランスをどうにもうまく受け入れられないでいるようです。それをねえちゃなりにちゃんと受け止めて、自分なりの最後の生き方を見つけてほしい。いまは、それを願うばかりです。

ねえちゃは、雨が降る前にと、きょうは、午前中に歩いてお医者さんのところに行きました。

新しい薬を増やして1週間、朝と夜とに分けて、“奇蹟的”にきちんと飲み続けることができました。

血圧もまずまず。薬の影響と見られる症状もまったくありません。

というわけで、プロトコルに従って、メマリー錠を5mgから10mgへ量を倍に増やして、1週間また飲んでみることになりました。

きょうからは、朝と夜とに分けずに、血圧の薬と合わせて夜3錠ずつまとめて飲むので、負担は減ります。

帰りにねえちゃは、お医者さんの近くの大型スーパーで天丼を買って、「おいしい。おいしい」と、家でそれを一気に平らげました。

夕方、ねえちゃの家を訪れると、またパジャマのまんま「なんだかわからなくなっちゃって」。そして「これ、なんだろう」と開封式のハガキを差し出しました。

見ると「互助会 掛金お積立状況のお知らせ」とあります。会費の状況についての案内のようです。

入会日は2001年8月22日、60回の掛金は2006年7月3日に「完納・満期」になっています。

最近は、お葬式も人によってさまざまなタイプがあるようです。

ねえちゃに「どんな葬式を挙げて欲しいと思っているの?」とたまに聞くことがあります。

以前は「ごくふつうにやってもらえればいい」と言っていましたが、このごろは「家族やごく近い親せきだけの簡単なの」と話すようになってきました。

きょうは、デイサービスセンターの水曜日です。が、いつものようにねえちゃは、風呂へ入ったことくらいで他はすっかり忘れています。

センターでは、アタマもカラダも適度にに動かしたはずですが、こういうときに限って、帰ってくるとすぐに徘徊してまわります。

早寝・早起き、酒も、たばこもやらず、一日の決まった時間に散歩をして、きっちり血圧を計ります。本や新聞、テレビもほとんど読まないので、年齢の割には目もすこぶるいいのも自慢です。

ねえちゃは、健康に悪そうなことは一切やらないこうした生活に、絶対の自信を持ってきました。でも、気がついてみたら、やりたいこと、楽しいなと思えることが何もないというのが現実でした。

そして、カラダは元気でも、アタマが思うにまかせなくという日々進行する深刻な事態を経験することになってしまっています。

それでも、ねえちゃは、これが一番いいことだと思って一途に徘徊に出かけます。

ねえちゃは最近、携帯電話を使うことはほとんどありません。たまに出歩くとき、歩数計の代わりに使うくらいです。

固定電話のほうも、家族以外からはほとんどかかって来ることはありません。

電話で調子よく受け答えしてもまったく頭に留まらず通過していくだけで、電話があったことも記憶に残りません。

ですから、電話でのやり取りはほとんど意味を成さなくなってきてるだけでなく、連絡をした、しないでかえって混乱を招くこともあるのです。

電話が来たという記憶がすぐに飛んでしまうので、電話がかかってきたかどうかは着信履歴を見て確かめるしかありません。

着信履歴に知らない番号が載っていると、ネットで、その番号がどこからのものかを調べるようにしています。

たいていは何らかのセールスなので、どこの会社なのか、それがつかめなくても、どこのあたりからかかってくるどういう系統の電話なのかは掴めます。

そして、それらの番号には、機械的に「こちらは○○○△△△□□□□です。この電話はお受けできません。ご了承ください」のメッセージで応じてくれる「迷惑電話」機能を用いることにしています。

けさ、JR長野駅善光寺口の公衆トイレで、異臭騒動があったというニュースが全国中継で流れ、ねえちゃもびっくりしていました。

多機能トイレに入った高校生たちが「異臭がして目が痛くなり、吐き気がする」などと訴えたそうです。消防車8台が出動、化学防護服を着た県警機動隊員も駆け付けたとか。

警察が調べたところ、異臭は確認されず不審物も見つからず。病院に運ばれた高校生2人も幸い、大事には至らなかったようです。

2015年の北陸新幹線金沢延伸に伴って、長野駅は、大庇と列柱が特徴的な5代目駅舎に建て替えられました。

それまであった飲食店は取り壊されて、お店は新駅ビルのなかに収められました。駅へ行くとねえちゃがよく立ち寄っていたおやき屋さんも、どこかへ行ってしまいました。

ねえちゃは新しい駅はまだ見たことがありません。だから「善光寺口の公衆トイレ」と言われても、どこのことなのかサッパリわかりません。

ねえちゃは、朝起きるとまず、洗濯機のスイッチを入れます。日曜日のきょうも、朝6時前から洗濯機が動いていました。

近ごろは昼間でもパジャマを着たままでいるので、洗濯するのは、その日の下着くらいしかないのですが。

私がのんびりテレビを見ながら食事をしていると、食器を次々に片づけて、いつのまにか洗い物をしています。ときどき、意地悪をしているのではないかと思うこともあります。

熱戦がつづく大相撲もきょうは、中日。中継の途中で、私がテレビの前を少し離れると、すぐに消してしまいます。まるでテレビは見るものではなくて、消すためにあるかのようです。

「相撲くらいゆくり見たら」といっても、いつものように「そうだね」とこたえはしても、集中して見る気にはならないようです。

人それぞれ、やりたいことも、愉しいなと思えることも違います。ねえちゃが、心底やりたいと思っているは「片づけ」なのかもしれないなと思うことがよくあります。

愉しければ、それはそれでいいのかもしれませんが、「バカになっちゃって、ダメだ、ダメだ」とこぼしながら「片づけ」にばかり精を出す姿には、やはり寂しいものを感じます。

ねえちゃは、きのう処方してもらったアルツハイマー病の新たな薬、メマリー(5mg)を、きょうから飲みはじめました。

これまで飲んできたアルツハイマー薬のアリセプトD錠(5mg)と、血圧を下げるためのアテレックも、そのままのみつづけます。

アリセプトとアテレックは1錠ずつ、毎夕食後に飲んでいます。それでも、飲み忘れや飲み過ぎをしてしまうので、工夫したピルケースをテーブルにくっつけて何とか飲みつづけています。

しかし、今度のメマリーは、朝食後に飲まなければなりません。朝と夜、忘れずに飲むにはどうしたらいいのか。悩みどころです。

とりあえず当面はいまのピルケースを使い、朝飲むメマリーについては赤いマジックでラベルに月日と曜日を書き込み、そこに薬を入れておくことにしました。

ピルケースには、黒い日付のところは夜、赤い日付のところは朝食後飲むこと、と記したラベルも貼りました。これで、間違えずに飲みつづけられるかどうか?

きょうは、降水確率ゼロの快晴。ねえちゃは、少し汗をかきながら、掛かりつけの脳神経外科まで歩いていきました。

先生の話では、このあいだの血液検査の結果は腎臓などに特別問題はなかったので、薬を増やしても大丈夫とのこと。

徐々に進んできているのが分かるので、さっそく、新たに「メマリー」という新しい薬を処方してもらうことにしました。

メマリーは、1日1回20mgをのみ続けることで効果が期待できる薬だそうです。飲み始めるときは、体を慣らすために、1週間ごとに薬の量を増やしていかなければなりません。

まず、きょうから最初の1週間は5mg、その後1週間ごとに10mg、15mg、20mgと増やしていきます。

ですから、これから1カ月弱は、毎週、お医者さんに通って診察を受けなければなりません。

ねえちゃは、一人では病院へ通うことが出来ないので、私が連れていける日程を何とかやりくりしなければならなくなってきました。

夕方、ねえちゃのところへ行くと、いつものようにパジャマ姿で「ほんとバカになっちゃって、なんだか分からない」と、いつものように繰り返します。

おみやげ渡すと、いつも美容院などに連れて行ってくれているご近所の奥さんのところに出かけて行きました。言うことを聞かず、最近はご近所に行くときもパジャマのまんま出掛けるようになっています。

奥さんのところに行って「バカになっちゃて困る」と言うと、「そんな格好でいるからだよ。朝になったらちゃんと着換えなきゃダメ」と怒られたそうです。

最近、私がいくら怒っても言うことを聞かなくなってきていますが、近所のかたから注意されるとさすがにねえちゃも少ししょげたみたいです。

「あしたから朝になったらちゃんと着替えること!」「そうしないと、付き合ってもらえなくなるんだよね」

きょうはデイサービスの日です。センターから帰ってきて、ねえちゃの記憶に残っているのはお風呂に入ったこと。それから、きょうはみんなで近くを散歩したのだそうです。

以前は、一日一回、散歩をするのがねえちゃの日課でしたが、道を忘れて帰れなくなるようなことが起こるようになりました。

最近は、外へ出かけると、自分でもよくわからず拾い物をしてきたりすることもあります。散歩から徘徊へとシフトしてきているようです。

「散歩」という名前は、むかし中国の貴族や文化人の間ではやった「五石散」という滋養強壮薬に由来するとか。この薬を飲むと体が熱くなる(散発)が、散発がないと体に毒が溜まって害になるとされていたそうです。

そこで、散発を促すように歩き回るようになった。つまり散発のために歩くことを散歩というようになり、これがただ歩くことに拡張して使われるようになったというわけです。

ともかく、これからは、デイサービスとか、お隣の犬の散歩に便乗させてもらったりとか、一人で行かない散歩に切り替えなくてはならなくなりそうです。

2015年国勢調査の「就業状態等基本集計」によると、長野県内の65歳以上の高齢者の就業率は、都道府県別で最も高い28.7%だったそうです。

信州の高齢者は日本一の働き者、というわけです。10年の前回調査も、1位で2.0ポイント上昇したとか。

15年10月時点の県内の高齢者は62万6085人で、うち就業者は17万9678人。

高齢者の就業率は、全国平均は22.5%で6.2ポイントも上回りました。

「中小規模の農家戸数が多く、高齢になっても働く人が多い」ことなどが原因としてあげられるそうです。

ねえちゃの姉は90歳を過ぎても毎日畑に出るそうです。

が、ねえちゃは、病気をかかえた連れ合いの世話をしなければならなかったこともあって、高齢者になってからは外へ出て働いたことはありません。

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