Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する記録です

高遠の桜

ねえちゃは、いままで観たなかでいちばんきれいだった桜は「高遠の桜」だとよくいいます。

郷里に近い伊那市高遠町の城址公園にある、タカトオコヒガンザクラです。

いまが満開、公園全体を美しい薄紅色に染める様子が、長野へ帰ると県内ニュースで盛んに流れていました。

かつて高遠藩の馬場にあった桜は、シーズンには花に隠れて馬の姿が見えなくなるほどだったそうです。

明治8(1875)年、荒れたままになっていた高遠城址を何とかしようと、旧藩士たちが馬場の桜を城址に植え替えたのが、公園の桜の始まりだったとか。

タカトオコヒガンザクラは、ソメイヨシノより少し小ぶりで赤みがある独特の味わいが感じられます。園内には約1500本もの桜の木があり、全国の「さくら名所100選」にも選ばれているそうです。

エストロゲン

アルツハイマー病は、男性よりも女性の方が発症する人が多く、とくに閉経後は発症者が増えるといわれています。

東邦大学の研究で最近、女性ホルモンの代表格であるエストロゲンと、さらには「痩せすぎ」と、アルツハイマー病とのあいだに関連があることが分かってきました。

アルツハイマーの女性患者の大脳前頭葉と、そうではない人の大脳前頭葉を比べたところ、女性患者の前頭葉白質組織ではエストロゲンの受け手である「ER-β」という受容体が少なかったそうです。

つまり、エストロゲンの働きの低下が、アルツハイマー病に関係している可能性があることがわかったわけです。

また、肥満度を示すBMI(体格指数)が高い人は、エストロゲン濃度が高い人が多い傾向にあることも明らかになったとか。

ダイエットしすぎて痩せすぎたりすると、脳内のエストロゲン濃度を維持できなくなり、アルツハイマー病にかかりやすくなる可能性があるということになります。

ねえちゃはこれまで、とくにダイエットに力を入れたことも、「痩せすぎ」だったということもなかったように思いますけれど。
 

メマリー

「まったくバカになっちゃって」と、ねえちゃは毎日のようにいいます。本人も、症状が進んで来ているという感じをなんとなく持っているようです。

アルツハイマー病は、いまのころお医者へ行っても治せない病。できるここといえば、薬を増やしてみることくらしかありません。

中等度から高度アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑える「メマリー」という薬があるそうです。第一三共株式会社が2011年6月に発売した薬です。

認知症患者の脳内には異常なタンパク質がたまり、神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰な状態になる。そのため、記憶のシグナルが妨害されて記憶が困難になってしまう、という考え方があります。

メマリーには、過剰なグルタミン酸の放出を抑え、結果的に脳神経細胞死を防ぐ働きがあるそうです。錠剤には、5mg、10mg、20mgの3種類があります。5mgから始めて1週間毎に増やしていくそうです。

腎臓の悪い人は薬の排泄が遅れがちで、用量に注意するなど慎重に用いるようにする必要があるそうです。この間ねえちゃが採血をしたのも、腎臓の状態を調べるためです。この薬にお世話になる必要があるかもしれません。

冷凍エビ

平日は毎日正午少し前に、夕食のおかず用の宅食がねえちゃの家まで届きます。

それに加えて、毎週月曜日の午後には、注文しておいた一週間分のおかずや惣菜、果物、漬物、お菓子などが生協から届きます。

最近は、これらのものを冷蔵庫に保存しておいて、逐次食べるので、スーパーへ行く必要がほとんどなくなってきました。

とはいえ日曜日は、宅食もなく、生協のおかずも残り少なくなっているので、やりくりがちょっぴり大変です。

ねえちゃの食欲はいっこうに衰えません。それも、好きなものからドンドン食べてしまうのでなおさらです。

でも今週は「ぜいたくなおかず」、まさに取って置きの冷凍エビを、日曜日のきょうまで残しておきました。

電話で「あのエビ、解凍して食べた?」と聞くと、なぜか涙声で「食べた!」と言っていました。

藤村詩集

ねえちゃには、「家に居てやることがない、ないと徘徊して回るくらいなら、ちょっとずつでいいから本を読んだらいいのに、人生変わるよ」とたびたび言います。

本人も「そうだね」と口には出しますが、日記など「書く」ことには興味をもっても、「読む」ことは以前から苦手だったようです。

むかしから、本を読んでる姿を目にしたことはあまりありません。ただ、もう何十年も前ですが「本屋へ行くけど、なんか読みたい本があればついでに買ってくるよ」というと、「島崎藤村の詩集を読みたい」と言ったことがあります。

たまたま、信州の文学の定番の本が口から出たのか。学生時代、国語とか、音楽とか、何かのきっかけで藤村詩に親しみを抱いたことがあったのか?。

そのときは、赤い表紙の新潮文庫の『藤村詩集』を買ってきた記憶があります。それをねえちゃが、読んだのかどうかは、定かではありません。

きしめん

一日中ポカポカ陽気の長野市でも、きょう、ソメイヨシノの開花が発表になりました。だいたい平年なみのようです。

陽気に誘われてなのか、ねえちゃは、きのうは「現金はあるので行く必要がない」といっていた銀行に出かけていって、お金をおろして来たようです。

行ったことを本人はすぐに忘れていましたが、テーブルのうえに銀行名が入った飴玉が置いてあるので「これ何」と聞くと、「そういえば貰って来たんだわ!」。

何をしようと思って出かけたのか、何か用があったのか、それとも徘徊なのか。最近の外出は、何がなんだか区別がつかなくなっています。

夜、これまで何度かふきのとうを持って来てくれた、同じデイサービスに通う男の人が、今度は「きしめん」を持って来てくれました。

ねえちゃはきょう、やっとその人の名前を聞いたそうですが、どこに住んでいる人なのかは、なんだかよくわかりません。ありがたいことですが、あまりに頻繁に届けてくださるのがちょっと気になっています。

採血

風は少し寒いのですが、山々がくっきりと見える晴天。きょうは、お医者さんの日です。
 
もう10回以上通っているのにいまだに行く道がわからないねえちゃと、いつもの脳神経外科に歩いていきました。

最近は、血圧が高い日も多く、気分の浮き沈みも激しさを増しています。それに最近は、大好きだったはずのお風呂にも入ろうとしなくなったという“異変”も起こっています。

そこで、先生と「薬を増やしてみましょうか」という話になりました。新しい薬を服用する前に血糖や腎機能を調べる血液検査が必要、ということで「採血」をしました。

ねえちゃはいつものように病院を出るとすぐに、自分がどこで何をしてきたか忘れてしまいます。右腕をめくらせて「これやってきたんでしょ」と採血の跡を示すと、やっと少し思い出すようでした。
 

朝風呂

きょうは、デイサービスの日。ねえちゃは、いつものようにお嫁さんの電話で「行く気」を起して、出かけました。

センターに行くとすぐに、お風呂。大きな湯船でのんびり「朝風呂」を楽しめたそうです。

自宅では、最近、ひとりで入浴するのになんとなく「怖さ」を感じるようになってきました。

それがどういう恐怖感なのかはよくわかりませんが、みんなが居るところだと、今のところそうした気持ちは沸いて来ないようです。

いつものように詳しいことはみんな忘れてしまったようですが、きょうは、センターの一階を「いろいろ見学して回った」のだそうです。

「ふきのとうを何回も持って来てくれたおじさんには会ったの?」と聞くと、「きょうは来なかったのかなあ?」と要領を得ない答えでした。

習慣

テーブルにくっ付けた、高血圧の薬とアルツハイマーの薬をセットで入れたピル・ケースの効果があって、最近は毎日きちんと薬を飲むようになりました。

何度言っても、何度も言ってもやらなかった、ノートへのメモも、何度も何度も言っていたら、ようやくテーブルにいつもノートを広げておくようにはなりました。

デイサービスセンターとのやり取りをするためのカードも、最近はようやく忘れないようになりました。あしたセンターへ行くので、今夜リックサックへ入れたり出したり、準備をしていました。

忘れていくのか、頭に入らないのか。すべてのことがほとんど記憶には留まらなくなってきたねえちゃですが、まだ、習慣にする能力は残っているようです。

習慣化の機能は、ふつうの記憶とは脳の別のところでやられているのでしょうか。いずれにせよ、いまはなんとか「習慣」を頼りに生活していくしかないのです。
 

お昼の日記

日記は、夜、一日にあったことを振り返って書くのが普通だと思います。

けれど、ねえちゃは最近、昼食に起きて来たときとかに、もう書いています。五年連用の、一日五行ほどの日記です。

「まだ、きょうはまだ半分あるのに!」と聞くと、「ほかにやることもないから」といいます。

日記と言っても、その日にあったことはほとんど頭に残らず過ぎていくので「きょうもバカで困る」とか、同じようなことが、同じように綴られていくだけです。

月曜日の午後は、生協の宅配で、一週間分の食料品を持って来る日。配達員の人とあれこれ話したり、配達されてものを整理したりします。

「そんなに書くのが好きなら、そういった一日にあったことを片っ端からノートにメモしておいて、夜、それを読み直して、肝心なところだけを日記に書いたら? そうすれば日記らしくなるし、頭の体操にもなるんじゃない!」

いつもの忠告をするのですが、実行に移すのはかなり困難になってきているようです。

松井潤
matsuijunta@gmail.com
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