Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する覚書です

南水

昼食をつくろうと居間へ行くと、「梨、いつ届いたんだろう」と、ねえちゃがきょとんとしています。

親せきから「南水」が段ボール1個とどいたようです。ねえちゃは、きのうはデイサービスで居なかったはず。だから、きょう午前中に受け取ったに違いありません。

「きょうに決まってるでしょ!」というと、今度はいつものようにまた「お礼の電話をしただろうか?」と心配でなりません。電話の送信通知を見ると、すでに電話は済ましているみたいです。

「南水」は、長野県南信農業試験場で「新水」と「越後」を交配して生まれ、1990年(平成2)年に登録された赤梨の中生種。いまが収穫の最盛期です。

扁円で、表面はやや赤めの褐色。果肉の色は白く、かじってみるとほどほどに歯ごたえがあり、濃厚な甘味があります。ごちそうになります。

お薬手帳

コピーを取らせてもらいたいとセンターから言われて9月27日、ねえちゃに持たせた「お薬手帳」が、見当たりません。

ねえちゃは、もちろん、センターへこの手帳を持って行ったことも、さらには「お薬手帳」なるものがどんなものなのかも記憶にありませんが。

デイサービスの日だったきょう、センターからもらってきた連絡カードには「コピーをとってお返しした」とありました。ということは、ねえちゃがどっかへやってしまったことになります。

そこで夕方、ねえちゃともう一度、家の中を隅々まで探しまくりました。すると、血圧計を入れてあるケースの底に張り付いていました。

「なんでこんなところに入れたの?」と聞いても、もちろん何も覚えていません。関係者のみなさま、たいへんお騒がせいたしました。

ジレンマ

ねえちゃは昼ごろになると、パジャマから普段着に着替えて、財布の鈴を鳴らしながら玄関を出たかと思ったら戻ってきてと行ったり来たりしています。

「どうしたの」と聞くと、手に持った銀行の預金通帳とカードを見せて「これ、どうするか分からなくなっちゃって」といいます。

週末になり、3連休。どうも、銀行から現金をおろしておく必要があるなと思ったのだけれど、行こうとして玄関を出ても、どうやって銀行でどうお金をおろすか分からなくなってしまったようです。

郵便物でも、いままでどおり封を切ってみても、中に入っているものが何が何だかわからずどこかへやってしまうことがしばしばです。

出来ると思っていることが、実際にはできないことが理解できてないので、次から次へとジレンマが巻き起こっていきます。

食べ終わってた

きょう、午後6時ごろ、ねえちゃの家に来たのですが、もう家のカギは閉じられていました。居間に入ってみると、ねえちゃはもう夕食を食べ終わって、ご飯ももう残っていませんでした。

きのうから、夕食の前までには明日行くから、と電話をしていたのですが、またすっかり忘れてしまっていたようです。

いつものことですが、息子が来ることも忘れていることにずいぶんショックなようで、「頭をぶったたいてくれ」と何度も言います。

「たたいたところで、治るわけじゃない。もっと悪くなるだけじゃないか」といつものように応じます。

行くのを忘れられることは、しょっちゅうのことです。ただ、以前はカレンダーやノートにメモをしたりとかしていましたが、最近はそういうこともできなくなりつつあります。

またちょっと症状が進んできたかな、という気がします。

話す愉しみ

きょうはデイサービスの日。ねえちゃは、帰って来るとすぐ元気に電話をして来ました。

きょうも、お風呂へ入ったこと以外、何をしたかみんな忘れていましたが、まだ行ったこと自体は頭に残っています。

水曜日と土曜日、週2回出かけるのも、だいぶ習慣化してきたようです。

デイサービスは、施設の雰囲気が合わなかったり、他の利用者と気が合わなかったりでストレスを感じてしまうといったデメリットもあるといわれます。

ねえちゃも、デイに行かなければならないと緊張するのか、行くのを嫌がるときもありました。出かけると、多少血圧も上がるようです。

が、センターでみんなといろいろ話すのが、家で一日独りぼっちでいるよりはずっと愉しいと最近はからだで感じているようです。

選挙権

ねえちゃのような認知症患者は、軽度も含めると2025年には高齢者人口の4分の1を占めるとされています。

22日投票の衆院選でも、北朝鮮問題や消費税だけでなく、介護や施設など認知症対策も争点として是非とも取り上げてもらいたいものだと思います。

それに加えて、認知症患者の投票それ自体についても、考えていくことがたくさんあるように思われます。

新聞にもテレビにも関心を持たない一人ぐらしのねえちゃは、近々どういう選挙があるかなんてまったく認識していません。近年は、投票所入場券が来ていることも忘れてしまっています。

まして、どういう立候補者がいて誰を選ぶか考えるという有権者のあたりまえの行動も、出来なくなりつつあります。

周りで「〇〇さんに入れろ」と無理に強制するわけにもいきませんし、運転免許とちがって「選挙権」を返上するというわけにもいきません。

「あさま」

1997年に開業した長野新幹線(現在の北陸新幹線)が、この10月で20周年を迎えました。

それまでは、いまの新幹線と同じ名前の「あさま」という特急列車(エル特急)が、長野―上野間を走っていました。新幹線の2倍近い約3時間が、かかりました。

エル特急「あさま」は、険しい碓氷峠を越えるため、横川―軽井沢間で、「峠のシェルパ」ともいわれた「EF63」という補助機関車を付けていました。

「EF63」を連結するために停まっているあいだ、いまはもうない横川駅のホームで売られている「峠の釜めし」を買って、食べるのを愉しみにしていました。

ねえちゃは新幹線の「あさま」も1度か2度は乗ったはずですが、記憶にあるのはもっぱら、あの釜めしを売っていたころの特急「あさま」のようです。

5000歩

認知症を防ぐには、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的だといわれます。

東京都健康長寿医療センター研究所などが群馬県中之条町に住む65歳以上の高齢者を対象にした研究では「1日の歩数」と「中強度の活動時間」が増すほど、いろんな病気にかかる割合が低くなっていることが分かり、認知症についてはそれぞれ「5000歩」と「7.5分」あたりが適当だったそうです。

をの一方で、運動のし過ぎはかえって良くないこともわかったそうで、「12000歩/40分」が病気の予防効果の頭打ちだったとか。

負荷の大きい活動を行うと、細胞内で活性酸素が発生して遺伝子を傷つけ、その修復が間に合わないと認知症になるリスクが高まるからのようです。

ねえちゃは最近、徘徊しないように外出は控えるようにしています。ですが、起きているとこれといった用事はないのに、家の中をいつも行ったり来たり歩き回っています。だから、5000歩くらいは毎日歩いているのではないか、という気がしています。

離合集散

きょうはデイサービスの日。いつものようにセンターでお風呂に入ったことくらいしか覚えていませんが、楽しくやってきたようです。

衆院解散、「希望の党」旗揚げ、民進党の解党と、政界では嵐が吹きまくっていますが、当然のごとく、何が何だか、ねえちゃはほとんど何もわかってはいません。

ねえちゃには、これといった支持政党もないし、支持している政治家もいません。ただ、なんとなく身近なところで名前が聞こえてきた人に、毎回律義に投票しています。

以前、こちらはとても読める状態ではないのに、地元の民進党の衆院議員からしばしば問答無用に「後援会便り」がファックスで送られてきていました。が、いつか事務所に怒鳴り口調で文句を言ったら最近は来なくなりました。

私自身は若い頃から、いろんな選挙の現場を見て来ました。今回の、権力や票が欲しいというだけの離合集散を見ていて、むかしは立候補者も秘書たちも、まずは「志」で動いていた人が多かったのになあ、と寂しく覚えてなりません。

リニューアルオープン

気圧の谷の影響で冷え込み、長野県内の最低気温は全30観測地点で平年を下回り、10月上旬から11月上旬並みの気温となりました。

きょう、改装のため休業中だったねえちゃの最寄りのスーパー「マツヤ」が、「デリシア」という看板に変わってリニューアルオープンしました。

きゃべつ1玉98円、豊水梨1玉88円、舞茸1パック88円、白砂糖1キロ袋98円(先着1000名)など、記念のセールも行われたそうです。

冷え込んだうえ冷蔵庫にはまだまだ食べるものはだいぶあるみたいで、ねえちゃはきょうは、リニューアルした店に行ってみる気にはならなかったそうです。

松井潤
matsuijun@jg8.so-net.ne.jp
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