Aokijima

認知症と生きる「ねえちゃ」の近況と、アルツハイマー病に関する覚書です

リハビリ

日が暮れる少し前になると、ゆっくりゆっくり足を少しずつ前に出しながら、田んぼのわきを歩いている初老の男性にしばしば出あいます。
脳血管系の病気か何かで、半身が不自由になられて、そのリハビリのために歩いておられるのでしょうか。
ねえちゃはカラダは元気ですが、相変わらず、アタマのほうは「ぼか~んとしたまんま。何がなんだか分からない」と嘆く日々が続いています。
「何もやることがない」「何もしたいと思わない」「そのうちに何にも分からなるんじゃないかと気がきでない」
ハタから見ると元気で、自分でもカラダの衰えは感じていないのに、アタマの衰えがじれったくてしかたがないようです。
「決めたテレビ番組を毎日見るとか、毎日一品自分で食べたいものを作ってみるとか、一日一ページずつでも本を読むとか、あのおじさんのようにほんの少しずつでもリハビりだと思って続けたら」といつものように話します。
「そうなんだよね」といつものように応えながらも、こうした周りの言葉はねえちゃの頭には留まることなく、すぐに消えて行ってしまいます。

 

ブナシメジ

ご近所から、ブナシメジとエリンギを頂戴しました。

エリンギはさっそく今夜、炒め物にしました。シャキシャキと歯切れが良く、おいしくいただきました。

「ブナシメジはどうやって食べようか」と聞くと、ねえちゃは「やっぱり、みそ汁かなあ」。

ブナシメジについてねえちゃは、子どものころ実家で「クヌキ、コナラの原木に穴をあけてシイタケの菌を植え付けるように、たしかかブナの木に植え付けていたような気がする」といいます。

けれど、ブナがどういう木だったのか、どうしても目に浮かんでこない、のだそうです。

ブナは、日本列島に広く分布している落葉高木。長野県の山里でずっと暮らしてきたねえちゃですから、見たことが無いはずはないのですが。

スバル

ねえちゃの家には、2台分の駐車スペースがあります。でも、車は置いていません。
お客さんが来たときや、お隣さんが貸してほしいといってきたときに使ってもらうだけです。
連れ合いはずっと、スバルの軽自動車を愛用していました。
特に、「小さけどエンジンがすごくいい」と、「てんとう虫」の通称で親しまれた「スバル360」がお気に入りでした。
スバル360」は、日本初の「国民車」として人気があり、1958年から1970年までのべ12年間に渡って39万2000台が生産されたそうです。
「360」が製造されなくなっても、後継のスバルの軽に乗っていた連れ合いですが、5年前に他界。

ねえちゃは運転免許を持っていませんが、夫との思い出が詰まっている車を死後も置いたままにして、定期的にエンジンをふかしたり、掃除をしたりして来ました。
でも、維持費がかさむだけなので「このあたりで」と、3年ほど前にやむなく廃車、ということになりました。

果物の季節

散歩がてらぶらりと川中島の八幡原古戦場を訪れると、産直の売店にいろんな果物が並んでいました。

思わず、赤紅色に熟したネクタリンをザル一山、さらに「ビワもおいしいよ」とすすめられてついつい、それも一山買いました。

ねえちゃも「あんずの里」として知られる千曲市に住む従妹から、アンズをたくさんもらったと喜んでいます。

信州は、リンゴだけでなくいろんな種類の果物がとれます。果物の宝庫です。

しっかりした甘みとほどよい酸味が何ともいえないネクタリンは、長野県が全生産の8割近くを占めているそうです。

また、果実酒やジャムにしてもおいしいアンズは、全国の生産量を青森県と二分しているとか。

暑さが厳しさを増していくなか、信州もいよいよ果物のシーズン本番です。

 

長い夜

ねえちゃは、夜6時になると夕飯を食べて、7時を過ぎればさっさと片づけてしまいます。

テーブルに残りの食べ物やお菓子を置いて、テレビを観ながらのんびり夜を過ごす、というようなことはほとんどしません。
夜、テーブルにいつまでも食べ物が乗っかっているとイライラしてくるようです。
食事が済めば日記を書いて、血圧を測り、ふろを焚いて入る。
ふろを上がればアイスクリームを一本食べて、9時には就寝となります。
日曜日くらい、ふろがへ入る前に長野にも関り深い「真田丸」でも観たら、というのですが、相変わらずぜんぜん興味がないようです。
かといって、きょうもあしたも他に何かやることがあるわけでもありません。
「本でも読んだら」といっても、いつものように「そうだね」といいながら、全くその気はないようです。
日曜日も、月曜日も、いつものように「長い夜」だけが待っています。

きょうは、ねえちゃの二人の姪が昼間、家を訪ねてくれました。

ねえちゃは、かなり年が離れた末っ子として生まれました。

生まれたときにはもう、一番上のお兄さんは役場に勤めていて、親の代わりに出生届を出してくれたのだそうです。

だから、このお兄さんの娘さんにあたる二人の姪とは、年齢も近く、姉妹のようにして育ってきたのです。

二人が来るからと、い草を使った夏用の畳底スリッパを新調しました。いつものおみやげ「みすゞ飴」も、二袋ずつ買ってきました。

昼食を持って来てくれて、6時間近く、ゆっくりと話すことができたとうれしそうです。

ただ、いつものように何を話したかはすっかり忘れてしまったそうですが。

ニュース

国民投票の結果、イギリスのEU(欧州連合)離脱が決定的になりました。

ねえちゃも一日中、テレビのニュースで盛んに報じられているのを観て、何かたいへんな事が起こったようだ、と思ったようです。

が、EUなるものがどういうもので、日本の経済や企業、為替相場などにもこんな影響を及ぼす可能性があるんだよ、などと話しても、ねえちゃには興味を持とうとする手がかりさえ見いだせないようでした。

公私混同で大騒動になった舛添さんについても、相当に「ケチな人」なんだな、となんとなく知ってはいても、それ以上に興味がありそうにはありません。

きょう、ねえちゃのいとこが訪ねて来て、参議院選や郷里の下條村長選についていろいろ教えてくれました。

こっちのほうは「EU離脱」に比べればかなり身近なので、少しはアタマに引っかかったかなと期待したのですが、何を話したのか夜にはすっかり忘れて去っていました。

「ところで、参院選の投票所入場券は送られてきたの」と聞くと「そんなの届いてない」。「そんなはず、ないはず」。

あちこち探しまわしたあげく、日記の裏表紙にはさんであるのを発見。ホッとしてました。

カレンダー

今週はどんな予定があるのか。ねえちゃにとって、ほとんど唯一の拠り所になっているのは、食卓に掛けてあるカレンダーです。

お医者さんの予約とか、町内会の集まりとか、誰かが訪ねて来るとか。予定が入ると、そこに赤いサインペンで、書き込むようにしてあります。

ですが最近は、書き込むことは書き込むのですが、それがどういう意味だったのか頭から消えてしまうことが多くなってきました。

あさって土曜日には、めい二人の名前が書かれて「お昼は買ってくる」とカレンダーには書かれています。

これについて、「あさって来るんだよね。これ、お昼を用意しなくていいってことだろうか?」と私に尋ねます。

まったく関与していない私に聞かれても、分かるはずがありません。

「メモ、メモ、メモ、メモ、みんな忘れるんだから聞いたらすぐにメモしておかないと」。

口を酸っぱくしていっても、いざそのときになると、やはりメモすることも忘れてしまっています。

公示

参議院選挙が公示になりました。ねえちゃも「選挙カーはまだ見てなけど、テレビや新聞で騒がしくなった」といいます。

参院選の長野選挙区では、これまでは自民党と民主党が1議席ずつを分け合ってきました。

ですが、今回から改選数が2から1に減りました。地元の新聞の調査などによると、自民党現職と知名度の高い民進党新顔との間でたいへんな激戦になっているようです。

日ごろ、地元の国会議員の事務所などから、ねえちゃの家にもファクスや手紙などあれこれ送られてきたりします。

ねえちゃは何が何だかわからず読むことはないので、ファクスなども受信拒否にしてあります。

「頭の体操だと思って、新聞を読んだり、候補者の主張を聞いたりして、今度の選挙は自分でちゃんと考えて投票したら」というのですが……。

とうもろこし

とうもろこしの食べごろ、旬の季節になりました。ねえちゃも、生協で届けてもらったり、スーパーで買ってきたりしたのを茹でて食べるようになりました。

ねえちゃは、農家に育ち、山里を転々として来たので、夏の食卓にはいつも山と盛られたとうもろこしがありました。

親戚や近所の農家で分けてくれることもしばしばありました。

生のまま置いておくと、糖分がでんぷん質にどんどん変化して甘みがなくなってしまうので、もらうとすぐに茹でて冷凍したりするので、冷蔵庫はいつもとうもろこしでいっぱいになりました。

米、そば、りんご、ぶどう、もも、レタスなど、色んな農産物が穫れる長野県。

とうもろこし(とうきび)というと何といっても北海道ですが、長野県もベスト5に入る生産量を誇っています。

ねえちゃは、大好きなとうもろこしを指できれいにもいで食べます。

最近は、大きな鍋でゆでることができなくなったので、電子レンジに頼ることが多くなってきましたが。

 

松井潤
matsuijun@jg8.so-net.ne.jp
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