Aokijima

「認知症」と「ねえちゃ」に関する覚書です

「このまま何もかも分からなくなる前に、コロッととつぜん急に逝ってしまいたい」と、ねえちゃはよく口にします。

急死といえば、俳優の大杉漣さんが亡くなられたのにはびっくりしました。働き盛りのまっただ中で突然いなくなることによる喪失感は、家族や仕事関係のかたがたには大変なものがあるでしょう。

人間、だれも死にます。でも、覚悟のうえでの死と、突然の死のどちらかを選べるかといえば、多くはそうはいかないようです。

これまで病気らしい病気を経験したことのなかったねえちゃは、これまで「死」を自分の問題として考えることは、ほとんど無かったように思われます。

そして、アルツハイマーが進むいま、「死」というものがどうのこうのと考える以前に、何が何だか分からず右往左往するしかない状態に置かれてしまっています。

ねえちゃはきょうはデイサービス。いつものようにセンターでやってきたことはみんな忘れていましたが、元気に帰ってきました。

けさ、新聞1面に大きく「認知症患者、再入院リスクが1.5倍…機能低下・服薬困難で」という記事が載っているのを見かけました。

高齢で認知症を患っていると再入院が目立ち、退院して間もなく同じ病気やけがで再入院するリスクが約1・5倍に高まるという調査結果を、医療経済研究機構や国立がん研究センターなどのチームが発表したそうです。

全国987病院に入院した65歳以上の患者183万人のデータを活用した大規模な調査。病気やけが別では、転倒で足の付け根を折る大腿骨頸部骨折が1・46倍、脳梗塞が1・3倍、食べ物や唾液が気道に入って起こる誤嚥性肺炎が1・23倍と高かったとか。 

認知症の人は一般に、入院後、環境の変化などで意識障害や興奮が起きやすくなるうえ、ベッドに寝かせきりで活動量が減り身体機能も認知機能も落ちやすい。認知症をふまえたバランスの良い治療を受けずに退院するため、病気やけがが再発しやすいということが考えられるそうです。

ねえちゃはいまのところ、認知症以外に大きな病気はありませんが、近い将来どうなるとも知れません。ともかく、「高齢」+「認知症」という意識が、医療や介護の現場の現場に常に必要だということなのでしょう。

きょうは、朝、8時20分に近所の奥さんと待ち合わせて、ねえちゃは車で美容院に連れて行ってもらいました。

それまでにちゃんと起きて、支度をしておけるように、前の日、「お嫁さんに7時半に起こしてくれ」という依頼をしてのことです。

午後7時ごろ、「きれいになってきたかい?」と電話をすると、なんとか美容院のことを思い出して「うん!」と機嫌よく答えました。

でも、いつもお世話になっているからと用意しておいた東京の佃煮のおみやげは、やっぱり渡すのを忘れていました。

それでも「きれい」になって気分転換できたのか、おみやげを見つけ出すと元気に「これから渡して来るから」と話していました。

 朝、寝室をのぞいてみると、ねえちゃは横になって、「小平奈緒、五輪新記録で金メダル」の記事が一面を埋める新聞を覗き込んでいます。

「長野の小平さん、勝って良かったね?」というと、「えっ、何」とボーッとしてます。「そこ、大きな見出しになってるじゃん」。

新聞を見ていたのは、オリンピックがどうのではなく、きょうが何日なのか確かめたかっただけだったようです。

小平さんは、茅野市出身で、長野市にある信州大学で技術を磨き、松本市にある相澤病院に所属しています。

夏冬を通じ、五輪個人種目で金メダルを獲得した県出身選手の第1号という意味でも快挙でした。ねえちゃも、4年に1度の「沸き立つもの」を、どこかで感じてもらたいのですが。

あしたから私は東京へ帰るので、最寄りのスーパーへ、夕食のおかずとともに、ねえちゃの「おやつ」を買ってきました。

頭の機能は低下してきていても、食欲は衰えるどころか、逆に増加しているようにさえ思えます。

自分で「**を食べたい」と言うことはほとんどありませんが、買っておくと食べて確実に無くなっているものと、まったく関心を示さず残っているものにはっきり分かれます。

忘れずもくもく食べる「おやつ」は、まんじゅう、さきいか、干し芋などです。きょうは、まんじゅうとさきいかを補充して、「食べ過ぎないこと!」と念を押しておきました。

きょうはデイサービスの日。持って帰ってきた紙袋の中を見ると、クリアファイルに入った何か作業をしている写真と、画用紙に貼り絵をした2月の手作りカレンダー=写真=が入っていました。

カレンダー

「この写真、どうしたの?。みんなで何をやっているところを撮ってもらったの?」と聞いても、ちんぷんかんぷんで、いつものように何が何だか覚えていないようです。

手作りカレンダーのほうは、豆まきの鬼などの絵に、2月の日付が入っています。なかなか、楽しそうでいい雰囲気が醸し出されています。

「これ自分で、作ったの?」と聞いても、「う~ん」と唸るだけで、すっかり頭の中からは消えてしまっているようです。でも、そのときにはきっと、それなりに一生懸命やったのでしょう。

きょうは、お昼前に、定例のケアマネジャーさんの訪問と、生命保険会社のかたの、手続き書類作成のための来訪がつづいてありました。

「要介護」になったのに伴って、生命保険の毎月の支払いがだいぶ安くなります。ありがたいことに、要介護になった時点にまでさかのぼって保険料が戻って来るそうです。

私たちのような貧乏人には、生命保険にかかる月々の負担は決して少なくないので、助かります。「これでグループホームへ入れるね」とねえちゃに言うと、分かったか分からないかはしりませんが、うなずいてました。

手続きの書類にサインするなどの「仕事」を終えて、午後は、テレビで、オリンピックのフィギュアスケート男子ショートプログラムの観戦。

日本人ならたいてい、羽生くんとか宇野くんとかの演技に注目し、特別な思いで応援したと思いますが、ねえちゃには誰がどういう選手なのかほとんど区別がつきません。

出てくる各国の選手みんなに、「平等」に、「すごい。よくあんなことできるね」などと、同じような「コメント」を口にしていました。

リハビリだと思って毎日、携帯から家の固定電話に電話をするようにねえちゃに言っています。携帯の「連絡帳」ボタンを押して自分の家の番号を探し出し、そこにカーソルを合わせて「決定」のボタンを押す。

固定電話ならそうすれば受話器で話せますが、携帯だとさらに、緑の受話器のマークのついた、電話を掛けるためのボタンを押さなければなりません。

そうやって、やっとつながり、家の固定電話が鳴り出すところまで行っても電話を切ることが、まだうまく出来ません。

ねえちゃは「戻る」ボタンを押す癖がついているので、いくら押しても切ることができないのです。赤い受話器のマークのついたボタンを押せば切れるのですが、それができすにしばしばイライラしています。

1回できても、即刻わすれてしまいます。覚えられることはほとんどなく、いままで楽々できたことが次々に出来なくなっていっているのです。

きょうは、デイサービスの日。お昼に食べたものも、みんなとやってきた来たことも、いつものようにぶっかり頭の中から消えて帰って来ました。

「きょうはセンターで入ったからお風呂は入らない」と言った1分後には、もう風呂を沸かすスイッチを入れています。

夕食は、わたみの宅食のおかずとゆでタコの切り身、それに生協に注文したイチゴと、豆大福を「食欲だけはぜんぜん無くならない」とむしゃむしゃ食べました。

ノルディックスキー複合(ノーマルヒル)の渡部暁斗選手、それにスピードスケート1000メートルの小平奈緒選手が相次いで銀メダルをとり、県内出身選手たちもメダル奪取がはじまりました。

でも、ねえちゃは自分から自分からオリンピックに関心を示すことは、ほとんどありません。

きょうも朝からねえちゃは布団のなか。何かをする気力も湧かず、たまに起き上がると「ボケバアさん、お困りバアさん」といつもの自虐的な台詞を口にしています。

「ボケてることも、周りを困らせていることもみんな承知の上なんだから、滅入るようなこといちいち言わなくてもいいの!」というと、きょとんとしています。

懸案の携帯電話を掛ける練習は、きのう、一昨日と電話をしなかったので、また掛けられなくなってしまいました。そこで、口うるさくいって、親戚や自宅に掛ける練習を再開しました。

一日さぼると、二日間分ほど後退してしまう。それは、認知症のリハビリにもいえることのように思われます。何事にも消極的なねえちゃは、特にそうなのかもしれません。

ねえちゃの3連休は、デイサービス以外はいつものように寝ているだけで過ぎていきます。

オリンピックがはじまっても、ほとんど興味がないようです。「あれ、北朝鮮でやってるの?」「違う。韓国の平昌だろ!」

北朝鮮からの応援団やアイスホッケーでの合同チームなどの報道が目立つので、韓国ではなくて北朝鮮だと思っているのか。

それとも、韓国も、北朝鮮もねえちゃにとっては、「同じ国」なのか。そのへんは、判然としません。

「何が何だかわからなくて、頭ぶんなぐって殺してほしい」と口にしたかと思うと、「あれ、きょうは血圧が高い。どうしよう」と、矛盾を、矛盾と思わず、いつものように口にしています。

せっかく携帯電話を新しくしたのだからと、家族や親戚に電話をしたりメールを送ったりといった練習をはじめました。

電話がかかってきたときは、点滅するボタンを押して出ればいいだけなので、ねえちゃでも何とかできるようになりました。

ですが「連絡帳」から宛先を探して電話を掛けることはなかなかできません。数年前まではやれていたメールの送受信もいまやまったくできなくなっています。

電話は必須、そして可能ならばメールの受信くらいはできるようにするのが、グループホームへ入るための目標です。

きょうは、デイサービスの日。昼間は、過ごしやすいぽかぽか陽気になりました。

ねえちゃがセンターへ出かけている間に、最寄りの脳神経外科から「診断書ができました。午前中ならやってます」との連絡があったので、取りに行って来ました。

グループホームへ入所するための診断書。アルツハイマー病と高血圧以外は、これといった健康の問題はなさそうです。さっそく用意しておいたレターパックで送りました。

これで、グループホームへ入るための書類はすべて提出し終わりました。あとは、空き室が出るのを待つだけです。ホッと一息。

グループホームへ移ったときに持っていくものの準備を、少しずつしていかなければなりません。

とりあえず7年前に亡くなった「おじいさん」の仏壇は持っていくことに決めました。次に、ねえちゃにとって大事なものはとなると、家族と撮った思い出の写真でしょう。

というわけで、書庫の奥にしまっておいたアルバムの整理を始めました。

昔の写真を眺め始めると、ねえちゃの目つきが変わってきます。「これ誰だろう」「え、こんなとこ行ったんだっけ」……。

思い出せないのに少々苛立ちながらも、平昌オリンピックの開幕式そっちのけで夢中に見ています。

けっきょく“おじいさん”の仕事の研修の写真など「7年前に棺桶に入れていっしょに焼いてやれば良かった」と思われる3冊を処分し、残りはみんな持っていくことにして段ボールに入れました。 

いい天気になったきょうの午後、散歩がてら、ねえちゃとドコモショップへ行って携帯電話を新しいのに変えました。

ねえちゃは、いまの携帯電話(らくらくホン)を6年以上前に買いました。バッテリーの周りに静電気がたまるなどして、最近は利用できなくなることもしばしばあってあまり使っていません。

グループホームへ移るとなると、固定電話ではなく、携帯電話で連絡を取り合う生活に変わるので、早いうちに新しいのに切り替えて、携帯を使えるように練習をしておく必要がでてきたのです。

新しいのは、これまでと同じ「らくらくホン」の最新のタイプのです。ねえちゃの強い希望でピンク色にしました。

当面必要な、電話をしたり受けたりする操作は、これまでと同じ。でも使えるようになるには、忘れてしまった電話をかける方法をマスターするための練習を、繰り返す必要があります。 

きょうから第15回長野灯明まつりが始まりました。夜には、善光寺の本堂や山門などで、赤や緑、黄色などの発光ダイオード(LED)でライトアップ。

レーザー光線を使って15分ごとに「平和」の文字を日本語、韓国語、英語で投影。スケートやスキーなど冬季スポーツをテーマにした線画も描き出されるそうです。

今年は、長野オリンピック20周年の節目を記念しての開催だとか。

10、11日夜には、長野駅近くの小路で、雪で作った小さなかまくら形の灯籠にろうそくをともし、無料で灯籠作りを体験できる「夢灯籠イベント」も開かれるそうです。

ねえちゃは、きょうはデイサービス。いつものように、センターでやったことも行ったこともみんな忘れて帰ってきました。ただ、なんとなくオリンピックが近づいて来ているんだなという雰囲気は感じているようです。 

きょうは、ねえちゃのお医者さんの日です。肌寒くはあるもののすっきり晴れて、いつもの脳神経外科まで30分弱の道のりは、いい散歩にもなりました。

きょうは薬をもらうだけでなく、前回たのんでおいた生命保険会社へ出す診断書を受け取り、グループホームへ提出するための健康診断もやりました。

心電図、X線、それに、血管が出ない体質なので採血では二回針を刺すことになりましたが、「痛くもなんともなかったわ」。

採血の結果が出れば、健康診断書をすぐ発行してくれるそうです。これで、グループホームへ渡す必要のある書類もみんなそろいます。

1週間ぶりに長野へ行くと、長野オリンピックから20年の特集番組をやっていました。きのうは、20周年の記念式典も開かれたそうです。

「もう20年になるんだね。あのときのこと覚えてる?」とねえちゃに聞くと、なんのことだか、なかなか頭に浮かんで来ないようです。

そういえば、平昌オリンピックも、あと4日と迫りました。県勢には、女子スピードスケートの小平奈緒選手やノルディックスキー複合の渡部暁斗選手をはじめ、金メダルの有力候補もたくさんいます。

そういう意味で長野県は、20年前の地元開催以来の盛り上がりになるかもしれません。「オリンピック楽しみだね」とねえちゃに言うと、どこまで分かったか知れませんが「うん」と頷いていました。

インフルエンザが猛威をふるっています。日曜朝の情報番組「サンデーモーニング」の司会をしている関口宏(74)さんも、番組開始から30年で初めて病欠したとか。

家庭内での感染で最も多いのは乳幼児からで、乳幼児は家族の中で一番最初に発症する割合も高いそうです。

幸か不幸か、ねえちゃは一人暮らしで家庭内感染の心配はありません。最近はご近所も中高年者が増えて、小さい子どもと接触することもほとんどなくなりました。

乳幼児の次に罹りやすいのが高齢者のようですが、予防接種の効果もあるのか、いまのところねえちゃはインフルエンザとは無縁のようです。

それでも、デイサービスとかでうつしてはいけないからと、マスクを用意したり、毎日体温を計ったりとそれなりに気をつけてはいます。

カレーの鮮やかな黄色を出す着色料として使われるクルクミンに、記憶力を向上させる効果があることが米国の研究でわかったそうです。

クルクミンはウコンから抽出される着色料。51~84歳までの患者にクルクミンのサプリメントを毎日与える1年半にわたる研究で、クルクミンを服用した患者の28%に記憶力の向上が見られたとか。

クルクミンには、アルツハイマー病の原因でもある脳の炎症を抑える効果も期待できそうです。

ねえちゃは以前は、まっ黄色をしたカレーを作っていました。でも本来的に辛いものは苦手なようで、料理が出来なくなった最近は欲しがることもありません。

きょうはデイサービスの日でしたが、いつものようにセンターで何を食べたかみんな忘れて、それでも元気に帰って来ました。

厳しい冷え込みが続いてますが、長野県の諏訪湖できのう、湖面の氷が割れてせり上がる「御神渡り」が出現したそうです。

出現は2013年1月以来、5季ぶり。 伝説では、上社の男神が下社の女神のもとへ出かけた跡だといわれる御神渡り。

今回は、湖の南側から西側に向かって数百メートルにわたって確認され、せり上がりの高さは最大で数十センチを記録したとか。

御神渡り期日は14世紀頃から記録され、寒暖の歴史を研究する貴重な資料になっています。近年は発現する年が減少する傾向にあるそうですが、今冬の寒さは厳しい現れでしょうか。

同じ長野県に住むねえちゃですが、今年はまだ本格的な雪掻きはしていません。が、寒くて誰も外に出てこないので寂しいと嘆いています。

国立長寿医療研究センターとノーベル賞化学者田中耕一さんら島津製作所などの研究グループが、微量の血液からアルツハイマー病の発症に影響するとされるタンパク質を計測してアルツハイマーを見つける技術を開発したそうです(31日付のネイチャーオンライン)。

アルツハイマー病は、発症する20~30年前から脳内にアミロイドベータという異常なタンパク質がたまりはじめることが知られています。

このアミロイドベータに関連する複数の化合物(ペプチド)を検出し、この比率の値から脳内蓄積の有無を判定する検出法なのだとか。

この検出にノーベル賞の対象にもなった質量分析技術が使われるのでしょう。ねえちゃもかかっている難病アルツハイマーにアプローチする技術が、少しずつ増えてきています。

きょうはデイサービスの日。ねえちゃは朝から機嫌が良くて、元気に行ってきました。

長野県人なら誰でも知っている県歌「信濃の国」がことし制定50周年を迎えるそうで、いろんなイベントが企画されているとか。

1899(明治32)年に松本市出身の浅井洌が作詞し、翌年に北村季晴が作曲。1968(昭和43)年に県歌に制定されました。

県の調査では、信濃の国を歌える県民(「すべて歌える」「1番は歌える」の合計)は79%だったとか。

あまり歌を歌うことのなねえちゃも、テレビから聞こえて来るの、とかに合わせてたまに「信濃の国は 十州に 境連ぬる 国にして 聳ゆる山は いや高く……」と口ずさんでることがあります。

「何を食べたいの?」と聞いても、ねえちゃの口からはコレといったものは出てきません。

何が自分の好物だったのか。食べたいと思っているものが何なのか。考える余地がいまのねえちゃには無くなっているようにも思われます。

ただ最近いえることは、おやつ、とりわけまんじゅうをむしゃむしゃよく食べることです。

最近は食事の代りに食べていることもよくあり、主食と間食の区別がつきにくくなっています。

そこできのうは、小さなまんじゅうがたくさん入ったのを2袋、それに、さきいかを2袋、むきぐりがたくさん入ったのを大袋を1つ、「少しずつ食べてね」と置いてきました。

10日間ほど長野にいて、きょう私は東京へもどりました。

帰るときはかなり寂しくなるようで、ねえちゃはいつも、ずっと手を振って見送ってくれます。

でも、夕方、東京から電話をすると、私が居たことも、いつ帰ったかといったことも頭にはありません。

それに、きょうの午後とどいているはずの生協の宅配も「そんなの来ていない」。でも冷蔵庫を覗き返してみると「あ、あるわ」と、自分で入れたのにびっくりしたように言います。

ただ、毎晩、東京から掛ける電話だけは、いつ掛かって来るかと、いつも心待ちにしているのだそうです。

厳しい寒さがつづく中、床暖房やストーブに利用している灯油が少なくなって来たようなので、最寄りの店に注文しました。

最近ねえちゃは現金のやり取りが困難になってきたので、灯油屋さんには銀行引き落とし手続きの書類を送ったばかりでした。

満タンにすると、1万4000円ほど。銀行引き落としは、来月からで今回の支払いは現金です。

灯油屋さんとやり取りしてねえちゃは久しぶりに財布のお金を使ったはずですが、いつものように頭から完全に消去されてしまっています。

「灯油入れてもらった?」。「え~、来ないよ」。「タンクに入ってないの?」。「あっ、入っているわ。いっぱい」。

テーブルの上には伝票が置かれているところからすると、支払いは済ませたようです。

きょうはデイサービスの日。いつものようにみんな忘れていましたが、無事に行って帰ってきました。

インフルエンザが流行っているようですが、予防注射もしているねえちゃは、いまのところその気配はありません。

熱もありません。もしろ低いのが気にかかるくらいです。けさセンターで測った体温は35.2度。血圧は上が114で、下が66。最近は36度台が続いていたのですが、きょうは低体温症のレベルです。

低体温のときは、臓器の機能や免疫力が低下しやすいとか。特に具合が悪いということはないようですが、何となく活力がわいて来ないのか、センターから帰ったねえちゃはまんじゅうを食べて、すぐに床につきました。

たいていのことは、1分もたたないうちに忘れてしまうねえちゃですが、電気炊飯器で毎日ご飯を炊くことだけは忘れません。

自分で食べるためだけでなく、7年前に死んだ連れ合いのため、毎日、仏壇に備えなければならないと思っているからです。いまでも「お父さん」が第一なのです。

グループホームへ入るときのことを考えて、そろそろ持っていくもののことを考えなくてはなりません。

ねえちゃの大事なものといえば、家族との記念の写真や置き物、日記帳、血圧手帳。それに、こうしてみると、何をおいても「仏壇」ということになるでしょう。

「少し大きいけど、グループホームへ入るときに仏壇を持っていかなきゃダメだね」というと、何となく頷いています。

認知症になると、お風呂に入るのを嫌がるようになることが多いとよく言われます。ねえちゃも一昨年ごろから「めんどうくさいから入るのはやめる」と、入浴を拒否することが増えて来ました。

デイサービスで入るだけで家ではほとんど沸かさない時期もあったのですが、薬を増やした昨夏ころから持ち直して、最近はデイサービスの日以外はほぼ毎日入るようになってきました。

きのうは「デイサービスで入ってきたので風呂を沸かさない」と床につきました。ところが、布団に入るやいなや「お風呂が沸きました」の自動アナウンスが鳴り出しました。

思いとは裏腹に風呂を沸かす準備をしてスイッチを押していたのです。頭と行動の不一致が、最近とくに目立つようになってきました。

「せっかく沸かしたんだから入りなよ」と繰り返すと、しぶしぶ起き上がって風呂場へと向かいました。

きょうはデイサービスの日。前回、行きたくないとダダをこねて「迎え」のやり直しをしてもらったので心配しましたが、無難に行ってきました。

テーブルの上には自分で「頑ばれ」と赤マジックで書いた紙きれが置いてありました。デイサービスに行ってしまえばどうといことがないのでしょうが、朝、いざ服を着て出かけるときには、ねえちゃなりの心の葛藤があるようです。

デイサービスの日でも、ねえちゃは朝、洗濯と風呂の掃除は必ずやっていきます。

センターからごきげんで帰ってきたかと思うと、一転、ベソをかき出しました。きょうも冷え込んだため、朝あけていった風呂の窓が凍って閉まらなくなったというのです。

きょうの昼前、「ワタミの宅食」の担当者から「大雪の影響できょうはお届けできない」という内容の電話がありました。宅食を取りはじめて4、5年になりますが、雪で配達できないというのは初めてのことです。

サイトを見ると、「本日、東京都、神奈川県、千葉県、静岡県一部地域で商品のお届けが大幅に遅延、またはできない状況が発生しております。その他の地域、また、明日以降のお届けにつきましても、道路状況により影響が発生する場合は、弊社スタッフより事前にご連絡いたします」とありました。

大雪に不慣れな「都会」の大混乱が、雪国の長野にも波及しているわけです。この電話が来たとき、ケアマネのかたがちょうど定期の訪問でいらしていました。

昨夜、ねえちゃといっしょに夕食を食べた直後に、ねえちゃが私の部屋に来て、驚愕した表情で「お前いつ来たの」と叫んだことなど、最近の出来事について話しました。

穏やかな表情を浮かべていたかと思うと、突然「頭がふらふらして動けない」とデイサービスへ行くのを拒絶したりと、カタストロフィーのように気持ちが激しく変化するのが最近気にかかります。

本州の南岸を通過している低気圧の影響で、関東の平野部で積雪が急速に増え、東京の都心でも20センチ前後に達する大雪が降って大混乱を招いたようです。

長野市のねえちゃの住むあたたりでも午後から雪がたくさん舞い落ちるようになりましたが、きょうは降り積もるという感じはなく、暗くなるころには落ち着きました。

ねえちゃはこの冬、得意な雪かきをまだしていません。きょうも「雪はどうかな、と思ったときには、もう近所の若い人がうちの近くまで掃いてくれてた」とちょっぴり残念そうです。

夕食のときには、東京に住んでいるお嫁さんと電話で「東京はたいへんなんだね」みたいな話をしていました。雪かきの腕前を見せるのは、明朝以降ということになります。

以前は整理するのが趣味という感じのきれい好きだったねえちゃですが、いまでは自分の部屋も着物や雑物の山ができています。

懸案の入れ歯もまだ出て来ませんが、探そうという気力がいまだに湧いてきません。「新しいの作るにしても、まずは探してみなきゃ」といっても、探すということ自体を忘れてしまったているようです。

最近は、マンション室内で認知症の高齢住人が、空き缶や食べ残しなどの大量のごみに埋もれて生死の境をさ迷う状態で発見された、といった騒動も少なくないそうです。

ねえちゃは、いまのところ辛うじて、ゴミ出しの日とそのやりかたは頭の中に留まっているようですが、捨てるものと取っておくものの区別がつかなくなって来ています。

「グループホームに入るのだから、いまから要らないものは捨てていかないと」と話しても、いっこうに進みません。

きょうは、デイサービスの日。きのうはいつもと変わりはなかったのですが、朝になって「ふらふらして歩けない」と、迎えに来てくれた担当者に、行くのを拒絶しました。

いつものように朝早く洗濯を済ませ、熱もないし、いつもの薬も飲んでいます。最近は行くのが習慣化してきたように思われたのですが。

テーブルの上には「頑張って行け」と、赤いマジックで自ら書いた紙が置いてあります。行こうと気合が入り過ぎて、いつもより早く起きたため、睡眠不足で体のリズムがちょっと狂ったのでしょうか?

「看護師さんもいるんだから、具合悪ければよけい行く必要があるでしょ」などと、30分ほど説得すると服を着はじめました。

センターからもういちど迎えに来てもらい、きのうから準備してあったリュックサックを背負って、ひょこひょこ出かけました。

テレビのローカルニュースを見ていたら、佐久鯉を使ったコイ料理の特集をやっていて、「むかしはよくコイの料理を作ったのにね」とねえちゃと話しました。

海のない信州では海産魚類の入手が難しく、日本海から信濃川に遡上するサケも、下流、中流域で捕獲され尽くしてしまいます。

そのため、淡水魚のコイは、古くから貴重な動物性蛋白源として利用され、祭礼や祝儀用食材として重用されてきました。

輪切りにした鯉を味噌汁で煮込んだ鯉こく、濃い口醤油、酒、砂糖でじっくり煮込んだうま煮など、ねえちゃの得意料理だったはずですが……。

3日ぶりにねえちゃのところを訪ねると、いつものように玄関にはカギがかかり、灯りも消えたままです。

東京だと夜でも懐中電燈が要ることはありませんが、ねえちゃの近所だといまでは午後5時を過ぎると玄関の灯りがないとカギを開けるのも困難になります。

大相撲が大詰めの時間帯。なんとかカギを開けて家に入って行くと、いつものようにパジャマで寝ています。「きのう行くって言っておいたじゃないか」と怒鳴っても当然、忘れています。

これもまた当然のことながら、みんな食べてしまって、私のぶんのご飯もありません。

上野駅で売っていた、お土産の「開運まんじゅう」を渡すと、いかにもすまなさそうな顔つきで「わざわざ来てくれるのに……」と言いました。

きょうはデイサービスの日。いつものように、やってきたことはみんな忘れていましたが、「のんびり過すことができました」と満足そうでした。

グループホームへの申し込みを終えたので、「いつでも引っ越しできるようにいまから準備しておかないと」というと「高校のとき以来だね」といいます。

ねえちゃにとって、家族以外の家で暮らすのは65年前、高校へ進学したときの下宿生活以来のことです。

いったいどんな暮らしが待ってるのか。何をもって行ったらいったらいいのか。65年ぶりのソトでの生活にいまからドキドキしています。

きょうねえちゃは近所の奥さんに散歩に連れていってもらったそうで、ご機嫌そうに電話が来ました。お医者さん行きやグループホームの見学などで、最近はよく歩いています。

不祥事つづきの大相撲ですが、長野県期待の星、東関脇の御嶽海は初日から3連勝と快調なすべり出しで、「大関」に向かって突き進んでいます。

最近はほとんど相撲中継も見なくなってしまったねえちゃですが、御嶽海の話題を持ち出すと「大関になるなんて長野県出身では初めてじゃない」と言います。

「雷電がいる!」。私が、信濃国小県郡大石村(現・長野県東御市)出身で勝率9割6分2厘、「史上最強」とも言われる雷電爲右エ門(1767-1825)の名前をあげると、「そんなの大昔の話でしょ!」と、相手にしてくれませんでした。

ねえちゃの携帯電話の着メロはこれまで、“イギリス第2の国歌”とも言われるエドワード・エルガー「威風堂々」になっていました。

けれど、これが鳴ってもこのごろはテレビか何かから流れているのではないかと思い、携帯電話だと気づかなくなってきました。

そこで、ふつうのベルの着信音に変えてみまたところ、「これなら電話だと分かる」とねえちゃは気に入っています。

グループホームへ移ることになったら、携帯電話でわれわれと連絡を取り合う必要があります。なので、とりあえず携帯を掛けたり、受けたりすることができるようにならなければなりません。

そこできのうから、自宅の固定電話や、私の携帯や、生前連れ合いが使っていた携帯やら、いろいろ電話を掛ける練習をはじめました。

電話が掛かったときは点滅するボタンを押せばいいので、受けることはできるようになりました。が、10回、20回と繰り返しやっても、思うように携帯電話を掛けることがまだできません。

仏壇に線香をあげるのに、火がつけられなくなっちゃったと、ねえちゃが騒いでいます。

どうも、線香に火をつけるための使い捨てライターのオイルが無くなってしまったようです。

近くのショッピングセンターへ寄ってみると、いろんな種類のライターが売られていました。でも、つまみが硬くてねえちゃの力ではなかなか点火できないものも、かなりあります。

いくつも試してみて、楽に火がつくピンク色のを二種類買って帰り、仏壇の前に置きました。

仏壇は、日記や血圧手帳と並んでねえちゃの必需品です。申し込みをしたグループホームへ持っていくかどうかも、思案どころです。

きょうはデイサービスの日、帰って来たときにはいつものように何をやったかすっかり頭から消えていました。「何を食べたの?」と聞いても、まったく覚えていません。

センターとの連絡のためのカードにある「食欲」の欄にねえちゃは、たいてい「普通」のところに〇をします。けれど、ハタから見ていると、どう考えても「旺盛」としか思われません。

今週の火曜日に私がお土産に持ってきた9個入りの饅頭を一夜で1箱平らげたと思えば、残っていた市田柿20個ほどもぺろり。きのう買ってきた5個入りの豆大福も、もう無くなりつつあります。

アタマやココロには「波」がありますが、食欲だけはいっこうに衰えを見せません。

年末年始、ちょっと多めに頼んだので冷蔵庫におかずがまだありますが、残ってしまう心配はなさそうです。

きょうの午後、グループホームの見学と申し込み手続きに行って来ました。

自宅から歩いて30分ほど。デイサービスに通っている医療法人が運営しているので、馴染みの場所のはずですが、ねえちゃは「どこに来たんだか、さっぱり」とちんぷんかんぷんです。

1ユニットの入居者は9人で、職員のかたが3人いて1人が3人のめんどうを見てくださる体制になっているそうです。クリニックも併設されているので、お医者さんに連れて行く必要もなくなります。

部屋は6~7畳ほどの大きさ。共同の大きなお風呂やくつろげそうなリビング。ねえちゃが楽しみにしている、いっしょに料理をしたり畑の作業をしたりといったことも可能だとか。

地域とのコミュニケーションを大事にしているそうで、地元のいろんなイベントに参加することもできそうです。

担当の職員のかたから詳しいお話を聞いて、いまのねえちゃにはぴったりだと感じ、申し込みの手続きをしました。

いま、5つのグループホームを運営しているようですが、空きが出次第、連絡をいただけるそうです。ねえちゃも、いつでも移ることができるように準備していかなくてはなりません。

まぶしい日差し、好天に恵まれたきょうは、かかりつけの脳神経外科に歩いて行きました。絶好のお散歩日和でしたが、以前に比べるとねえちゃの歩きは、少し遅くなってきたかなというのが気になります。

天気がいいせいか、待合室はいっぱいです。そのため、薬の処方と、生命保険で必要な健康診断書の依頼をするだけにしました。

診断書の中に「MMSE検査」というのと「HDS-R」という項目がありました。このうち後者は計測してあるが、前者は測ってないので必要があれば測定する必要があるという先生の話でした。

MMSE検査というのは、認知症の診断用に米国で1975年に開発された「Mini Mental State Examination」のこと。30点満点の11の質問からなり、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力などをカバーし、24点以上で正常、10点未満では高度な知能低下と診断されるのだとか。

HDS-Rも認知症の診断に使われる認知機能テストのひとつ。精神科医の長谷川和夫さんが開発した「長谷川式スケール」と呼ばれる検査だそうです。見当識、記憶など9項目からなり、30点満点で20点以下は認知症の疑いが高まるとされるそうです。

ねえちゃとじっくり話をして、グループホームの面接・見学をしてみることに決めて、資料を送っていただいた施設にうかがうため予約をしました。

連れ合いが亡くなって7年間、私が隔週で訪れて世話をしてきました。できることはすべてやって来たつもりですが、ねえちゃ自身の愉しみを見いだすことができないまま、認知症は進行していきます。

世の中には一人で暮すのに向いている人もいれば、みんなで暮らすほうが安らぎを感じる人もいます。

あまり積極的なほうではないにもかかわらず、誰かといつも話していたい、みんなと同じようにしたい、という希望が強いねえちゃには、いつも仲間としゃべって居られる環境に身を置いたほうが暮らしやすいだろうし、病気にもいいのではないかなというのが現段階での結論です。

きょうは、デイサービスの日でした。年末から懸案になってる入れ歯について突如、「3日前に行ったときデイセンターに忘れて来た」と言い出して、センターで聞いてみたりしたようですが、やはりありません。いぜん、行方不明状態です。

朝、ねえちゃから「ふらふらしていてどうにもならない」と電話がありました。

きょうの夜、私が行くと連絡していたので、誰かが来るなら何か作ってやらなければならない、とでも思ったようです。

何だか分からないけれど自分の中でトラブッてしまうと、からだが「ふらふらしてどうにもならない」という事態に、ここ数年、しばしば陥ります。

この7年間、私は月の半分近くねえちゃの家に行っているので、ごく日常的なことのはずですが、ねえちゃの頭は突然大昔に戻ってしまって、どうしよう、どうしようと切迫した気持ちになってしまいます。

「ふらふらするんなら寝てればいいでしょ。夕食を作ろうったって、料理なんかできないのは今にはじまったことじゃないんだから」

きょうは成人の日。あいにく天気は良くありませんでしたが、街中で、きれいな和服を着た若い人の姿を見かけました。

ねえちゃが住む長野県内で開かれる成人式の対象者は2万2372人(前年比309人増)だそうです。 

ねえちゃが成人したのはいまから60年以上前のこと。よくは覚えていないようですが、「もはや戦後ではない」と言われ、高度成長へと突入したころです。

高校卒業後、山の中の営林局の治山事業所で働いていて、7年前に亡くなった亡夫と出あうか出あわないか、といった時期だったはずです。

経済成長の息吹は田舎では感じ取れなかったでしょうが、それなりに青春まっただ中の「季節」にあったはずです。

それはともかく、きょうは一週間分の食べ物が生協かだ届く日。いつものように届いたことはすっかり忘れていましたが、無事、冷蔵庫はいっぱいになったようです。

去年までの5年連用日記をやめて、ねえちゃは今年から1年用に切り替えました。

そのため書くスペースは、2日で1ページと、ざっと5倍の大きさになりました。

「日記、ちゃんとつけてる?」と電話で聞くと、「埋まったところもあれば、ちょっとのところもある」といいます。

何もかもすぐに忘れ去ってしまうので、メモ代わりに書き込めるようにというのが、1年用にした理由です。

「朝は何を食べた。どこから電話がかかってきたと、時間を書いてどんどん書いていかなきゃダメ」といっても、なかなか要領を得ない様子です。

歯周病が認知症の症状を悪化させるしくみを、愛知県にある国立長寿医療研究センター、名古屋市立大学などのグループが解き明かしたそうです。

歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の原因とされる脳の「ゴミ」を増やして、認知症の症状が悪化するというのです。

認知症の6割を占めるとされるアルツハイマー病は、脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」がたまって神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられています。

研究グループは、アルツハイマー病を発症するマウスに歯周病菌を感染させ、歯周病でないアルツハイマー病のマウスの脳と比較したところ、5週間後、歯周病のマウスでは記憶をつかさどる海馬でアミロイドβの量が約1.4倍に増加。

また、記憶学習能力を調べる実験でも、歯周病のマウスでは認知機能が低下していたそうです。

ねえちゃはきょうはデイサービス。いつものように風呂に入ったのとゴロゴロしていた以外は、記憶にないそうです。ただ、入歯が行方不明になっていることもあって「歯」についてはとかく気になる様子です。

固定電話でのやり取りだけで、昨年ねえちゃはほとんど携帯電話を使わなかったので、携帯を使えるようにと、最近は携帯に電話を入れるようにしています。

当初は、携帯の着メロが鳴っても何が何だか分からずほとんど出ることは無かったのですが、最近はだいぶ慣れて来たようで、掛かってくるとピコピコ点滅するボタンを押して、ちゃんと出られるようになってきました。

昼間でも布団の中にいることが多いので、携帯のほうが便利なようです。私もねえちゃもかなり古いタイプの、当節では珍しくなってきた「ガラ携」です。

ただし、以前は出来ていた携帯電話で掛ける方法は、いまだ思い出せてはいないでいます。

私もねえちゃも、スマートホンに切り替える必要はなさそうですが、徘徊に出てしまったりといった、いざというときのことを考えると、やはり携帯電話は必需品です。

夕方、ねえちゃのところへ電話すると「入れ歯がなくなっちゃって、困った!」と、いまさっき失くしたかのように言います。

「そんなの去年から、でしょ。入れ歯がないほうが話が聞き取りやすいし、ご飯だって特に不自由というわけないでしょ」というと「そうかな」と返事をします。

家の中を探すように言っても、すぐに何がなくなったのか忘れてしまうので、自力でちゃんと探すまでには至りません。

ふだんは入れ歯がないことを忘れているのですが、ふと無いことに気がつくと「入れ歯がない」と驚いたようにまくし立てます。

さて、出てこないとなると、入れ歯を作り替えに歯科へ連れて行こうか。それとも、もう少し様子を見ることにするか。思案のしどころです。

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